『転生モブと魔獣の相棒ごはん屋 秘密を抱えた常連様に惹かれて』

miigumi

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1章

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◆第6話 「ラテプレート、はじめました」

「じゃーん、見てラテ!」

私は両手でそっと木の丸皿を掲げて、ラテの前に差し出した。

「どう? このハンバーグ、ラテの顔に似てない?」

「……もふ」

ラテはじっと皿を見つめ、鼻をくんくん鳴らしたあと、すっと視線をそらした。

「あー! 今、ちょっと不満そうな顔したでしょ!?」

「もふん」

前足でくいっと耳をかいたラテは、相変わらずのマイペース。
でも私にはわかる。これは「もうちょっと頑張れ」って顔だ。

「そっか~、じゃあ目はもうちょっと大きめにして……海苔じゃなくて、黒焼き葉の方が良さそう?」

お子様向けにと考えたプレートは、
・ラテ型のハンバーグ
・しっぽ型ライスコロッケ
・耳ポテト
・足跡プリン

その名も――「ラテプレート」!

森に来る旅人や、村の子どもたちに少しでも楽しい食事をしてほしい。
そう思って作ったけど……なかなか難しい。

「ミレイアちゃん、今日も試作してるの?」

後ろから顔をのぞき込んできたのは、薬師見習いのリデルちゃん。

「うん! ラテの顔がハンバーグになったら楽しいかなって思って……でも、ラテの厳しい審査が……」

「それ、絶対にラテプレートって名前にすべきだよ~! うちの弟たち、喜びそう!」

「やっぱり、そうかな!」

「あとね、耳ポテト、もうちょっと塩気強くしてもいいかも。薬草塩とか」

「おおっ、いいアイデア!」

試作に夢中になっていると、扉の鈴が静かに鳴った。

「……こんにちは」

「あっ、ヴァルさん!」

思わず声が跳ねた。リデルがじとっと視線を送ってくるけど、気にしないふり。

「今日は、焼き肉の包み飯……じゃなくて、こっちを試してみませんか? 新作なんですけど……」

「……これは」

「ラテプレートっていいます。うちの看板魔獣の……そっくり……の、つもりです……」

「……似てますね」

じっと皿を見つめるヴァルさんの目が、一瞬だけやわらいだ気がした。

ラテはその横で、「ふん」と鼻を鳴らしている。

「……では、それを。いただきます」

「は、はいっ!」

またちょっとテンションが上がってしまったけど、
これくらいならセーフ、だよね。

私はラテをちらっと見て、にやりと笑った。

「ラテ、ヴァルさん、今日もちゃんと推しだよ」

「……もふ」

ラテがしっぽでテーブルをぺちぺち叩いたのは、肯定か否定か。

――まだわからないけど、きっとこの時間が、今日も幸せな“日常”なのだと思う。
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