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36.シャルルアン·ゴルドー①
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幼い頃からユリアナ・フォンベルトが大嫌いだった。
どこに行ってもユリアナの名前を聞いた。
(またその名前、みんなユリアナって子の話しばかりする)
家は商会をしているため、客から従業員から色んな情報が入る。
「フォンベルト侯爵家のユリアナは優秀だ」と。
勉強ができる、マナーも素晴らしい、剣も馬術も始めている。
なによ!あたしだってそんなのやれば出来るわ!みんなして大げさに話してるだけよ!
シャルルアンはまだ見ぬ相手に苛立ち、勝手なライバル意識を持っていた。
お父様もお母様も私を愛してくれていたが、ユリアナの話を聞くたびに、勉強しなさい、マナーを身に付けろとうるさい。
ユリアナのせいで家庭教師に怒られた。
家庭教師は、侯爵令嬢はもう初等部の学習を終了しておりますよと言った。
そんなはず無い、こんなに難しいのに!私にやらせるために嘘ついているんだわ。
もう勉強はやめる、家庭教師も嫌い!お母様に家庭教師が意地悪で勉強できないと言ったら、その人は来なくなった。良かった!
9歳になり、お母様に王妃様のお茶会に行くと言われた。そこには王子様がいるんだと言う。第一、第二王子はダメだから、第三王子と仲良くなるのよ、と何度もお母様は言った。私も王子様と仲良くしたい。
お茶会に行くと、初めてあのユリアナって子を見た。
金なのか銀なのかわからない髪色でサラサラと光っていて、白い肌に薄い紫色の大きな瞳は、うちの商会で一番値段が高い人形のようだった。
ふん!私の方が可愛いわ、王子様は私の方が好きよ!
お茶会が始まると、周りのお母様たちがまたユリアナの話を始めた。
隣の国の言葉を話せて凄いって、どこが凄いの?自分の国の言葉を話せばいいでしょ?
剣術も馬術も習っているなんて下品だわ!
本人は静かにお茶を飲んで、たまに本を読んでいる。チラッとみたら小さな字でだけ書いてある本だった。読めないくせに読めるふりして、なんてイヤな子なの!?
ここにいるのは面白くない、退屈だから王子様を探しに行こう。
シャルルアンは一人で薔薇の庭を歩き、疲れたのでそこを過ぎた奥の木にもたれて座った。
さっきお菓子をたくさん食べたから眠くなった。お城のお菓子はとっても美味しかったー!私がお姫様になったら毎日食べよう…そのまま木にもたれ眠ってしまった。
足の上で何かがモゾモゾ動く気配がして目を開くと、伸ばした足の上に何か小さな物が動いてピーピーと言っている。
なにこれ!気持ち悪い!立ち上がりそれをドレスからパッと落とした。
そして、あっちに行って!と足で蹴飛ばすと、芝生の上にポンと落ちたあと、静かになった。ふぁーあ、眠たいわぁ、大きな口であくびをした。
すると、後ろから声がした。
「何してるの?」
振り返るとキレイな服を着た、カッコいい男の子が立っていた。
あくびしたの見られたかしら、どうしよう。
「あっ、あの、これが、」
とっさにさっきの気持ち悪いものを指差した。あくびで涙も出ていたし、気持ち悪くて泣いてたことにしよう。
男の子は私をじっーと見た。
可愛いでしょ私。
「…これは鳥のヒナだね、かわいそうに巣から落ちたんだね」
えっ?これが鳥?こんな気持ち悪い鳥いるの?でもよくわからないし、
「はっ、はい…」モジモジしてよう。
男の子は後ろにいる護衛にその鳥を拾わせた。護衛は首を振っている。どうしたの…?
それにしても眠たい、あくびが出るけど、カッコいい子の前で大きな口を開けないよう我慢した。またあくびで涙が溢れたけど、ハンカチ忘れたから手で拭いちゃえ。
「君の名前は?」
そうよね、私のこと知りたいわよね。
「ごきげんよう、私はシャルルアン・ゴルドーと言います」
うるさいマナー講師に習った挨拶は多分こうだったと思う。スカートを持って頭を可愛くペコッと下げた。
男の子はクスッと笑ったから喜んでくれたと思うけど、後ろの執事みたいなおじさんは凄く変な顔をした、イヤな人ね!
「君を探していたんだ。ここで何を?」
何…?何と言われても、王子様を探してたら眠くなって寝ちゃったんだけど、
「あの、私、王子様…」
「ああ、そうだね僕の名前を言っていなかったね。僕はリチャード・カイザルだ」
男の子はそう言うと笑顔を見せた。
素敵…。
この人が王子様なら良かったのに。
「あっはい、よろしくお願いします」
リチャード様は少し驚いた顔をしてから、またニッコリと笑って手を出してくれたので、私も手を出すと私の指先をキュッと握って歩き出した。
リチャード様にエスコートされて、お母様のいる場所に戻ると、お母様は凄く驚いた顔をしていた。普段、私が顔に出すと怒るのに。
「ゴルドー伯爵夫人、シャルルアン嬢は薔薇園の奥で、木から落ちたヒナを助けようとしていたのです。心優しい行動ですね。なのでこの度の事は問題ありません」
そう言うと私をお母様の方に移動させて、手を離してしまった。あーもっと繋いでいたかった。
帰りの馬車の中でお母様に怒られた。
「勝手にどこに行っていたの!?あなたが居なくなって大騒ぎだったのよ!
まったく、本当に恥ずかしかったわ。ユリアナ様は大人しくしていて、王子殿下とご挨拶していたのに、あなたはお目通りもできなかったじゃない、本当に散々だわ…。
でも、いいわ第三王子殿下と顔合わせできたから。殿下と何を話したの?詳しく教えて頂戴」
「お母様、第三王子って?もしかしたらリチャード様のこと?さっきの男の子のこと?」
「まあっ!あなた第三王子殿下の顔も知らなかったの?最初に入口に立っていたでしょ?見なかったの?
あぁ…あの家庭教師を辞めさせるんじゃなかったわ…。ねえ、ちゃんとご挨拶は出来たんでしょうね?」
こんなに怒ってるお母様に、わからなかったけど、何となくご挨拶したなんて言えないわ。
「はい、きちんと教えられた通りにご挨拶しました。リチャード様は笑っていたわ」
お母様は、はぁーっと息をはいた。
「もうダメだわ。王家との繋がりはこれでなしね…」
どうしたのかしら、お母様。
リチャード様は私のこと可愛いと思ってるはずよ。また会えば私のことを好きになってくれるわ。
それから私は王妃様のお茶会には呼ばれなくなった。
お父様とお母様が話しているのを聞いたら、私が勝手にお茶会会場から居なくなったことで、あの場にいた貴族全員が帰れなくなり、私を探すのに、護衛を動かさなくてはならなくなったのが悪かったって。
でもお父様は、その他に私の何かが、お茶会に呼ばれなくなった一番の原因だって言ってた。
声が小さくて聞こえなかったけど、私は何もしてない!お菓子を食べて、木の下でちょっと眠って、気持ち悪い鳥を蹴飛ばして、そしたらリチャード様が来たのよ!
あー王子様って本当に素敵。また私を探して会いに来てくれないかなぁー。
私はそのあと初等部に入る予定だったけど、マナー講師の授業をちゃんと受けて、その人が許可してくれたら入学できると言われた。
嫌いよマナー講師なんて!
勉強も嫌いだし、初等部に行きたくないからちょうどいいわ!
どこに行ってもユリアナの名前を聞いた。
(またその名前、みんなユリアナって子の話しばかりする)
家は商会をしているため、客から従業員から色んな情報が入る。
「フォンベルト侯爵家のユリアナは優秀だ」と。
勉強ができる、マナーも素晴らしい、剣も馬術も始めている。
なによ!あたしだってそんなのやれば出来るわ!みんなして大げさに話してるだけよ!
シャルルアンはまだ見ぬ相手に苛立ち、勝手なライバル意識を持っていた。
お父様もお母様も私を愛してくれていたが、ユリアナの話を聞くたびに、勉強しなさい、マナーを身に付けろとうるさい。
ユリアナのせいで家庭教師に怒られた。
家庭教師は、侯爵令嬢はもう初等部の学習を終了しておりますよと言った。
そんなはず無い、こんなに難しいのに!私にやらせるために嘘ついているんだわ。
もう勉強はやめる、家庭教師も嫌い!お母様に家庭教師が意地悪で勉強できないと言ったら、その人は来なくなった。良かった!
9歳になり、お母様に王妃様のお茶会に行くと言われた。そこには王子様がいるんだと言う。第一、第二王子はダメだから、第三王子と仲良くなるのよ、と何度もお母様は言った。私も王子様と仲良くしたい。
お茶会に行くと、初めてあのユリアナって子を見た。
金なのか銀なのかわからない髪色でサラサラと光っていて、白い肌に薄い紫色の大きな瞳は、うちの商会で一番値段が高い人形のようだった。
ふん!私の方が可愛いわ、王子様は私の方が好きよ!
お茶会が始まると、周りのお母様たちがまたユリアナの話を始めた。
隣の国の言葉を話せて凄いって、どこが凄いの?自分の国の言葉を話せばいいでしょ?
剣術も馬術も習っているなんて下品だわ!
本人は静かにお茶を飲んで、たまに本を読んでいる。チラッとみたら小さな字でだけ書いてある本だった。読めないくせに読めるふりして、なんてイヤな子なの!?
ここにいるのは面白くない、退屈だから王子様を探しに行こう。
シャルルアンは一人で薔薇の庭を歩き、疲れたのでそこを過ぎた奥の木にもたれて座った。
さっきお菓子をたくさん食べたから眠くなった。お城のお菓子はとっても美味しかったー!私がお姫様になったら毎日食べよう…そのまま木にもたれ眠ってしまった。
足の上で何かがモゾモゾ動く気配がして目を開くと、伸ばした足の上に何か小さな物が動いてピーピーと言っている。
なにこれ!気持ち悪い!立ち上がりそれをドレスからパッと落とした。
そして、あっちに行って!と足で蹴飛ばすと、芝生の上にポンと落ちたあと、静かになった。ふぁーあ、眠たいわぁ、大きな口であくびをした。
すると、後ろから声がした。
「何してるの?」
振り返るとキレイな服を着た、カッコいい男の子が立っていた。
あくびしたの見られたかしら、どうしよう。
「あっ、あの、これが、」
とっさにさっきの気持ち悪いものを指差した。あくびで涙も出ていたし、気持ち悪くて泣いてたことにしよう。
男の子は私をじっーと見た。
可愛いでしょ私。
「…これは鳥のヒナだね、かわいそうに巣から落ちたんだね」
えっ?これが鳥?こんな気持ち悪い鳥いるの?でもよくわからないし、
「はっ、はい…」モジモジしてよう。
男の子は後ろにいる護衛にその鳥を拾わせた。護衛は首を振っている。どうしたの…?
それにしても眠たい、あくびが出るけど、カッコいい子の前で大きな口を開けないよう我慢した。またあくびで涙が溢れたけど、ハンカチ忘れたから手で拭いちゃえ。
「君の名前は?」
そうよね、私のこと知りたいわよね。
「ごきげんよう、私はシャルルアン・ゴルドーと言います」
うるさいマナー講師に習った挨拶は多分こうだったと思う。スカートを持って頭を可愛くペコッと下げた。
男の子はクスッと笑ったから喜んでくれたと思うけど、後ろの執事みたいなおじさんは凄く変な顔をした、イヤな人ね!
「君を探していたんだ。ここで何を?」
何…?何と言われても、王子様を探してたら眠くなって寝ちゃったんだけど、
「あの、私、王子様…」
「ああ、そうだね僕の名前を言っていなかったね。僕はリチャード・カイザルだ」
男の子はそう言うと笑顔を見せた。
素敵…。
この人が王子様なら良かったのに。
「あっはい、よろしくお願いします」
リチャード様は少し驚いた顔をしてから、またニッコリと笑って手を出してくれたので、私も手を出すと私の指先をキュッと握って歩き出した。
リチャード様にエスコートされて、お母様のいる場所に戻ると、お母様は凄く驚いた顔をしていた。普段、私が顔に出すと怒るのに。
「ゴルドー伯爵夫人、シャルルアン嬢は薔薇園の奥で、木から落ちたヒナを助けようとしていたのです。心優しい行動ですね。なのでこの度の事は問題ありません」
そう言うと私をお母様の方に移動させて、手を離してしまった。あーもっと繋いでいたかった。
帰りの馬車の中でお母様に怒られた。
「勝手にどこに行っていたの!?あなたが居なくなって大騒ぎだったのよ!
まったく、本当に恥ずかしかったわ。ユリアナ様は大人しくしていて、王子殿下とご挨拶していたのに、あなたはお目通りもできなかったじゃない、本当に散々だわ…。
でも、いいわ第三王子殿下と顔合わせできたから。殿下と何を話したの?詳しく教えて頂戴」
「お母様、第三王子って?もしかしたらリチャード様のこと?さっきの男の子のこと?」
「まあっ!あなた第三王子殿下の顔も知らなかったの?最初に入口に立っていたでしょ?見なかったの?
あぁ…あの家庭教師を辞めさせるんじゃなかったわ…。ねえ、ちゃんとご挨拶は出来たんでしょうね?」
こんなに怒ってるお母様に、わからなかったけど、何となくご挨拶したなんて言えないわ。
「はい、きちんと教えられた通りにご挨拶しました。リチャード様は笑っていたわ」
お母様は、はぁーっと息をはいた。
「もうダメだわ。王家との繋がりはこれでなしね…」
どうしたのかしら、お母様。
リチャード様は私のこと可愛いと思ってるはずよ。また会えば私のことを好きになってくれるわ。
それから私は王妃様のお茶会には呼ばれなくなった。
お父様とお母様が話しているのを聞いたら、私が勝手にお茶会会場から居なくなったことで、あの場にいた貴族全員が帰れなくなり、私を探すのに、護衛を動かさなくてはならなくなったのが悪かったって。
でもお父様は、その他に私の何かが、お茶会に呼ばれなくなった一番の原因だって言ってた。
声が小さくて聞こえなかったけど、私は何もしてない!お菓子を食べて、木の下でちょっと眠って、気持ち悪い鳥を蹴飛ばして、そしたらリチャード様が来たのよ!
あー王子様って本当に素敵。また私を探して会いに来てくれないかなぁー。
私はそのあと初等部に入る予定だったけど、マナー講師の授業をちゃんと受けて、その人が許可してくれたら入学できると言われた。
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