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第一幕 可笑しな戦国時代
三 可笑しな戦国時代
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「じゃあなんでもっと早く出てきてくれなかったのよ!」
「僕はあくまで君を補助する役割で、武将の情報などを教えたりすることしかできないんだ。この世界に、神の使いである僕が干渉することは許されないからね。だから、武将に愛を教えられるかは君次第なんだ」
私次第だと言われても、あんな人を物としか思ってない人達に、愛を教えるなんて本当にできるのか不安になる。
知らない世界、いつ殺されるかもわからないこの状況で、いったい私はどうやって教えればいいのだろう。
「何で私なの……?私は、武将好きでもなければ、ごく普通にいるただの一般人なのに」
「違うよ」
「え?」
「神様が君を選んだんだ。それに、今だってこうして無事にいる」
「それは運が良かっただけで……」
この少しの時間だけで、私は何回も死にかけている。
それでもこうして生きているのは運が良かっただけで、この先も無事でいられるなんて保証はない。
「その運も、君が引き寄せているものなんだよ」
「私が……?」
「そうだよ。それに、君が織田信長や豊臣秀吉と出会ったことによって、この世界に少しの変化が生まれてるんだ」
私には、本当に何かが変わっているのかはわからないが、刻が言うように、少しでも私がこの世界に変化を与えられているのなら、もう少し頑張りたいと思えた。
それに、このまま諦めて未来が無くなる運命を待つなんて出きるわけがない。
「運も実力のうちって言うし、めそめそしてたってどうにもならないよね。武将達に愛を教えられるように頑張るよ!」
愛を教えるなんて、私に本当にできるかわからないけど、きっと今私がここにいるのだって、何か意味があるはずだ。
それに、人を物としか思えないなんて、なんだか悲しい気がする……。
まずはやってみないとわからないんだし、やる前からダメだって思うより、駄目だったらその時別の方法を考えればいいのだ。
「やる気になってくれたみたいだね。じゃあ早速だけど、織田信長について説明するね」
刻は、信長についてのことを色々と私に教えてくれた。
織田信長。
新しいもの、珍しい物好きで、武器なども刀だけでなく鉄砲も取り入れたりとしているらしい。
そんな信長と同盟を結ぶのは、伊達政宗、徳川家康。
家来は、豊臣秀吉、明智光秀、石田三成の3人。
元の歴史とはかなり変わってきているらしく、同盟を結ぶ伊達政宗、徳川家康は、時期に安土城に訪れるらしい。
話を聞いていると、歴史に詳しくない私でも名前くらいは知っている武将ばかりだ。
「でも、何で伊達政宗や徳川家康は安土城に来るの?」
「戦のためだよ。この世界では、戦ばかりが行われているからね。いつ始まるかわからない戦に備えて、安土城に皆集まっておいた方のがいいってことみたいだね」
戦なんて私にはわからないけど、そのせいで大勢の命がなくなることくらいは私にもわかる。
きっとこの世界の武将の人達は、そんなこと気にもしていないのだろう。
「さっきまでも戦をしていたみたいだから、君が信長と会った時、あれは戦の帰りだったみたいだね」
刻に言われ、先程信長様と会ったとき、馬に乗った沢山の人がいたことを思い出す。
それにあのとき、信長様は鎧に兜をつけていた。
あれは戦の帰りだったんだ……。
考えてみたら、いくら戦国時代といっても何もないのに兜や鎧をつけているわけがないのだ。
「刻……。愛を教えることができたら、戦は無くなるかな……?」
「残念だけど、完全に無くなることはないよ、ここは戦国時代だからね。でも、戦を今よりも減らすことはできる」
その時、廊下から足音が聞こえ、こちらへと誰かが近づいてくることに気づく。
「僕ができるのはここまでだ。美弥、この世界のことをよろしくね」
刻が姿を消したと同時に襖が開かれると、襖の向こうから現れたのは秀吉さんだった。
「女、着いて来い」
それだけ言うと秀吉さんはすたすたと歩き出してしまい、私はその後を慌てて追いかけた。
何処へ向かってるんだろう……?
秀吉さんがある部屋の前で立ち止まると、襖の向こうからは人の話声が聞こえてくる。
襖を開き部屋へと入っていく秀吉さんの後に続き私も中へと入ると、そこには何人かの男性の姿があった。
「秀吉、なんだその女は、お前の女か?」
「んなわけねぇだろ!」
「冗談だ!お前に女なんかできんだろうからな」
仲が良いのか悪いのか、一人の男性は秀吉さんの反応を見て楽しんでいる。
そんな二人を見ていると、ふいにその男性と目が合った。
「俺に惚れたか?」
「違います」
突然の言葉に即答で答えてしまったが、その男性は私の言葉に突然笑いだした。
「くッ、ははは!!ハッキリ言うじゃねぇか!俺は伊達政宗、あんたは」
「御影 美弥、です」
私が自分の名を口にすると、私の横にいた秀吉さんが口を開く。
「お前の名前、美弥って言うんだな」
「て、何で連れてきた本人が知らねぇんだよ!」
「仕方ねぇだろ、この女をここに置くって言い出したのは信長様なんだからよ」
「へぇ~、信長様がねぇ……」
政宗さんは口角を上げ、ニヤニヤとしながら私を見詰める。
一体ここにいる方達は何者何だろうと思っていると、背後から声をかけらた。
「お前達、何をしている」
その声に振り返ると、そこにはいつの間にいたのか信長様の姿がある。
「女、お前は俺の横に来い」
「え?」
突然腕を掴まれ引っ張っていかれると、信長様が座る横へと私も座らされ、他の人の視線が信長様と私に注がれる。
「今日はよく集まってくれたな。しばらくは皆、安土城で生活を共にすることになる。今日は宴だ、皆、存分に楽しめ!」
信長様の言葉でさっき刻が話していたことを思い出し、ここにいるのはその武将達なのだと気づく。
「僕はあくまで君を補助する役割で、武将の情報などを教えたりすることしかできないんだ。この世界に、神の使いである僕が干渉することは許されないからね。だから、武将に愛を教えられるかは君次第なんだ」
私次第だと言われても、あんな人を物としか思ってない人達に、愛を教えるなんて本当にできるのか不安になる。
知らない世界、いつ殺されるかもわからないこの状況で、いったい私はどうやって教えればいいのだろう。
「何で私なの……?私は、武将好きでもなければ、ごく普通にいるただの一般人なのに」
「違うよ」
「え?」
「神様が君を選んだんだ。それに、今だってこうして無事にいる」
「それは運が良かっただけで……」
この少しの時間だけで、私は何回も死にかけている。
それでもこうして生きているのは運が良かっただけで、この先も無事でいられるなんて保証はない。
「その運も、君が引き寄せているものなんだよ」
「私が……?」
「そうだよ。それに、君が織田信長や豊臣秀吉と出会ったことによって、この世界に少しの変化が生まれてるんだ」
私には、本当に何かが変わっているのかはわからないが、刻が言うように、少しでも私がこの世界に変化を与えられているのなら、もう少し頑張りたいと思えた。
それに、このまま諦めて未来が無くなる運命を待つなんて出きるわけがない。
「運も実力のうちって言うし、めそめそしてたってどうにもならないよね。武将達に愛を教えられるように頑張るよ!」
愛を教えるなんて、私に本当にできるかわからないけど、きっと今私がここにいるのだって、何か意味があるはずだ。
それに、人を物としか思えないなんて、なんだか悲しい気がする……。
まずはやってみないとわからないんだし、やる前からダメだって思うより、駄目だったらその時別の方法を考えればいいのだ。
「やる気になってくれたみたいだね。じゃあ早速だけど、織田信長について説明するね」
刻は、信長についてのことを色々と私に教えてくれた。
織田信長。
新しいもの、珍しい物好きで、武器なども刀だけでなく鉄砲も取り入れたりとしているらしい。
そんな信長と同盟を結ぶのは、伊達政宗、徳川家康。
家来は、豊臣秀吉、明智光秀、石田三成の3人。
元の歴史とはかなり変わってきているらしく、同盟を結ぶ伊達政宗、徳川家康は、時期に安土城に訪れるらしい。
話を聞いていると、歴史に詳しくない私でも名前くらいは知っている武将ばかりだ。
「でも、何で伊達政宗や徳川家康は安土城に来るの?」
「戦のためだよ。この世界では、戦ばかりが行われているからね。いつ始まるかわからない戦に備えて、安土城に皆集まっておいた方のがいいってことみたいだね」
戦なんて私にはわからないけど、そのせいで大勢の命がなくなることくらいは私にもわかる。
きっとこの世界の武将の人達は、そんなこと気にもしていないのだろう。
「さっきまでも戦をしていたみたいだから、君が信長と会った時、あれは戦の帰りだったみたいだね」
刻に言われ、先程信長様と会ったとき、馬に乗った沢山の人がいたことを思い出す。
それにあのとき、信長様は鎧に兜をつけていた。
あれは戦の帰りだったんだ……。
考えてみたら、いくら戦国時代といっても何もないのに兜や鎧をつけているわけがないのだ。
「刻……。愛を教えることができたら、戦は無くなるかな……?」
「残念だけど、完全に無くなることはないよ、ここは戦国時代だからね。でも、戦を今よりも減らすことはできる」
その時、廊下から足音が聞こえ、こちらへと誰かが近づいてくることに気づく。
「僕ができるのはここまでだ。美弥、この世界のことをよろしくね」
刻が姿を消したと同時に襖が開かれると、襖の向こうから現れたのは秀吉さんだった。
「女、着いて来い」
それだけ言うと秀吉さんはすたすたと歩き出してしまい、私はその後を慌てて追いかけた。
何処へ向かってるんだろう……?
秀吉さんがある部屋の前で立ち止まると、襖の向こうからは人の話声が聞こえてくる。
襖を開き部屋へと入っていく秀吉さんの後に続き私も中へと入ると、そこには何人かの男性の姿があった。
「秀吉、なんだその女は、お前の女か?」
「んなわけねぇだろ!」
「冗談だ!お前に女なんかできんだろうからな」
仲が良いのか悪いのか、一人の男性は秀吉さんの反応を見て楽しんでいる。
そんな二人を見ていると、ふいにその男性と目が合った。
「俺に惚れたか?」
「違います」
突然の言葉に即答で答えてしまったが、その男性は私の言葉に突然笑いだした。
「くッ、ははは!!ハッキリ言うじゃねぇか!俺は伊達政宗、あんたは」
「御影 美弥、です」
私が自分の名を口にすると、私の横にいた秀吉さんが口を開く。
「お前の名前、美弥って言うんだな」
「て、何で連れてきた本人が知らねぇんだよ!」
「仕方ねぇだろ、この女をここに置くって言い出したのは信長様なんだからよ」
「へぇ~、信長様がねぇ……」
政宗さんは口角を上げ、ニヤニヤとしながら私を見詰める。
一体ここにいる方達は何者何だろうと思っていると、背後から声をかけらた。
「お前達、何をしている」
その声に振り返ると、そこにはいつの間にいたのか信長様の姿がある。
「女、お前は俺の横に来い」
「え?」
突然腕を掴まれ引っ張っていかれると、信長様が座る横へと私も座らされ、他の人の視線が信長様と私に注がれる。
「今日はよく集まってくれたな。しばらくは皆、安土城で生活を共にすることになる。今日は宴だ、皆、存分に楽しめ!」
信長様の言葉でさっき刻が話していたことを思い出し、ここにいるのはその武将達なのだと気づく。
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