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第二幕 戦国での初料理

二 戦国での初料理

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「人の部屋の前で何ニヤついてるんだ」

「わぁ!?」



いきなり背後から声をかけられたため、つい大きな声を上げてしまった。



「いきなり大きな声出すなよな!」

「す、すみません……」

「で、人の部屋の前で何してたんだ?」

「秀吉さんに好きな食べ物を聞こうと思ったんです」



秀吉さんは、少し考えて、何かを納得した。



「ああ、夕餉のことか!俺は食えるもんなら何でもいいぞ」



秀吉さんの答えが、私の想像と全く同じで、つい笑ってしまいそうになった。



「わかりました。美味しい料理を作りますね!」



あと聞いてない人は、政宗さんと、まだ会ってない武将の人が二人。

確か、刻の話していた武将でまだ会ってないのは、明智光秀さんと石田三成さんだったはずだけど、部屋が何処なのかわからない。



「今お聞きしたのが、信長様と家康さん、秀吉さんの3人なので、政宗さんと、他のお二人にもお聞きしたいんですけど、お部屋を教えていただいてもよろしいですか?」

「三成と光秀なら、そこの廊下を真っ直ぐ行った、あの2つの部屋だ。右から、三成、光秀。政宗さんは、そっちの廊下を真っ直ぐに行った、突き当たりの左の部屋だ」

「ありがとうございます!3人にも聞きに行ってみます」



秀吉さんに一礼をしたあと、先に三成さんの部屋へと向かった。


三成さんって、いったいどんな人なんだろう……。



「##NAME1##です。少しお話よろしいでしょうか?」

「入ってくれ」



ゆっくりと襖を開き、中へと入ると、そこには二人の男性の姿があった。



「こうやってお嬢さんと話すのは初めてだな。宴の時は挨拶できなかったが、俺の名は明智光秀だ、そしてこの横に座る、いかにも真面目そうな奴が石田三成」

「俺が真面目なのではなく、あんたが不真面目すぎるだけだろう」



三成さんは、冷静に言葉を発していて、光秀さんは、冷静な言葉の中に艶っぽさを含んでいて、他の武将の人達と比べると、二人からは大人っぽさを感じる。



「すまないな。俺に用だったのだろう」

「いえ。光秀さんのお部屋にも行こうと思っていたので」

「お嬢さんが俺にも用だなんて嬉しいな。どんな用だい?」

「お二人は、お好きな食べ物はありますか?」

「好きな食べ物か……。俺はあまり食べないからな、とくに好きという物はないな。一つあげるとすれば、女人が作った食べ物だな」

「俺は野菜だ、体に良い物だ」

「野菜ばかりだと良くないと思うが?」

「あんたのように、女人が作ったものだけというのも良くないだろう」



三成さんは野菜、光秀さんは女性が作る物は何でも好きみたいだけど、何だか二人とも、そればかりだと体に悪い気がする……。



「ところでお嬢さんは、何でそんなことを聞くんだい?もしかして俺のために作ってくれるとかかな?」



何だろう、さっき信長様に似たようなことを言われたような……。



「いえ。今日は私が夕餉を作らせていただくことになったので、皆さんに好きな食べ物を聞いて回っているんです」

「それは楽しみだな!いつか俺だけのために作ってくれる日を楽しみにしてるよ」

「人の部屋で口説くのは止めろ」

「堅いな三成は、お前も少しは色恋の話に興味を持ったらどうだい?」

「必要ない」



この二人は似ているようで似ていないのかもしれない。

三成さんは、冷静で、色恋には興味がない、真面目でお堅いイメージ。

それに比べて光秀さんは、女性好きみたいだけど、女性好きなのに、この人にも愛がないのかな……?

好きっていうのは恋から生まれるものだと思うけど。



「お二人の好きな食べ物も参考にさせていただきますね。まだ聞いていない方がいるので、これで失礼致します」

「ああ。何か手伝えることがあれば声をかけてくれ」

「俺も、お嬢さんのためなら手伝うよ!」



今度は二人っきりで、と、耳元で囁かれ、私は苦笑いを浮かべながら光秀さんにお礼を伝えると、最後に政宗さんの部屋へと向かった。


政宗さんとは、宴の時に会ったけど、あまり話せなかったんだよね。


政宗さんの部屋の前まで来ると、襖越しに声をかけた。



「##NAME1##です。少しお話よろしいでしょうか?」

「ああ、入れ!」



中へ入ると、畳へ座り、私へと視線を向ける政宗さんの姿があった。



「##NAME2##から俺に会いに来るとはな。やっぱり惚れ」

「てません」

「っはは!また即答か」



言い終わるより先に答えると、政宗さんは口角を上げ、笑いだした。



「用だったな、俺に話ってのはなんだ?」

「政宗さんの好きな食べ物を教えていただきたいんですけど」

「そんなん聞いてどうすんだ?」

「今日の夕餉を、私が作らせていただくことになったので、今皆さんに好きな食べ物を聞いて回っていたんです」

「なるほどな。俺は肉が好きだ、そしてお前もな」

「わかりました。お肉ですね!」



お前もな、と言う言葉は華麗にスルーをし、これで武将皆さんの好きな食べ物も聞けたため、早速厨へ行き準備をしようと、政宗さんに、失礼しますと一礼をし、部屋から出て行こうとしたとき。

待て、と声が背にかけられ、扉にかけていた手を放し、政宗さんへと振り返った。
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