【完結】聖女の息子は加護という名の呪いを撃ちまくる

東雲夕

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女神の愛し子と薊の祝福

1.


 大捕り物になるかと思えば、肩透かしな程あっさりと片付いた。既に事の顛末は速報レベルで中央へは送ってある。

 すべてはカルロとマッツの調査という綿密な内偵の賜物だ。はからずもフェンガリが陽動の役目を担う事になってしまったが、結果的にそれで良かったという事で、王都へ帰還後二人には「行列のできるカフェのスイーツバイキング」を奢ってもらう事で手打ちとした。

 フェンガリは元より、二人とも甘味もイケる口なので、単純に慰労会になりそうで、今から楽しみにしているフェンガリなのだ。


 砦の上層部の人事は、月替わりを待つことなく、異例の速さで刷新される事が決まっている。神官長の着任と同時に、開かれた転移魔方陣より、本体の部隊が着任しすでに監査が始まっている。本日午後には役目を終えたフェンガリ達も、転移魔方陣の使用を許され王都へ帰還の予定である。

 セオドアを襲ったのは、彼と部隊を同じくする5人の同僚だった。うちセオドアに対して特別な執着を見せていた熊のような男が班長で、性処理にかこつけて個人的な付き合いも度々強要しては、その度セオドアから素気無く断れていたらしい。

 男は侯爵家の非嫡子であり、その素行の悪さでこの辺境に飛ばされたが、その性質が左遷されたくらいで矯正されるわけもなく、悪い仲間をつのって、魔石をはじめとした備品の横流しや、望まない性処理の強要に強姦など、調べれば余罪が山と出てきている。

 小悪党はもとより、砦の上層部は保守派の魔法士による、懐古主義的な性処理を尊ぶ思想の復権を、この王都から忘れられたような辺境の地で、再び芽吹かせようと図っていたらしい。

 魔力補充用の魔石をあえて配布せず、さも性処理が効率的であり、優先するべきだと、特に配属したばかりの新人に教え込む。

 勿論こちらも服務規程違反であり、そもそもモラルに抵触する行為を管理するべき上層部が推奨するなど問題外で、すでに彼らも早々に処分が決まっている。

 セオドアは優秀な成績で魔法学園を卒業して、本来なら王都の執行部へ配属される予定だった。

 それが数少ないが生き残っていた、セオドアを利用しようとする、マグワイアをはじめとした旧派閥の謀略により、この辺境に飛ばされてきたらしい。

 その人事にかかわった面子も洗い出されて、すでに失脚あるいは閑職への異動が済んでいる。

 この件ではフェンガリの姉、法務局風紀課長であるイリヤコースが、王都に残り自ら陣頭指揮を執っている。洩れなく一網打尽だと昨夜の通信で悪い顔で笑っていた。

 彼らはセオドアに失われた「マグワイアの金獅子」の役割をさせようと計画していたそうだ。そんな計画を聞かされては、姉であるイリヤコースの気合いが駄々上がりするのも当然である。

 その為には、セオドアを性処理を含め性行為そのものに耽溺させる必要があったのだが、当のセオドアは学生時代から淡白どころか、一切その手の行為に手を出さず浮いた噂一つない。幾度かしかけられたハニートラップも男女合わせてどちらも不発に終わり、もしや不能なのではと噂になっていた程らしい。

 薬を使ったのはそれもあり、なおかつ聖魔術師の公的な儀式の妨害をさせて、それをネタに強請ってセオドアを手駒として使う算段だったそうだ。

 ついでに、聖魔術師の若造も犯して手駒に加えてやれと欲を出したのが運の尽きだ。

 あの時セオドアは根本的に間違っていた。フェンガリにかけるべき言葉は「逃げろ」ではなく「助けて」が正しい。

 守られるだけだった幼い子供はもういない。ここにいるのは、トラウマ持ちだが、それなりに修羅場を経験し一人前に成長した、聖魔術師としての実績も実力も十分積んだ、大人になったフェンガリなのだ。


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説明回。理屈っぽなので
今日はあと二回アップします。

12時と22時です。
よろしくお願いします(゚∀゚)



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