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彼の真実 …18
しおりを挟む「なんか、泣き過ぎて、すっごいお腹空いた。
寧々、もう少し時間あるから、駅前にある美味しいパスタ屋さんに行かない?
ここのお店は高すぎるから、場所変えよう」
私はコロコロ変わる寧々の表情を見て笑ってしまった。
小さい頃から人懐っこくて人気者で、そんな優樹菜が大好きで、大人になった優樹菜もあの頃と何も変わらない笑顔と態度で私に接してくれる。
「うん、パスタ屋さん行きたい」
優樹菜だって辛かったに違いない。でも、この場所で、私達はまた親友に戻った。
優樹菜に会えて本当に良かった。
私のたった一人の大切な親友。
私も幹太も大好きな、大切な大切な私達の友達…
優樹菜と私は、優樹菜のおススメのパスタ屋さんでランチを済ませ、幹太の待つ駅へ向かって歩いている。
幹太に会うのがちょっとだけバツが悪い私の事を、優樹菜は笑って見ていた。
「寧々、素直になればいいんだって」
私は大きくため息をついて頷いた。
駅の構内に入るとすぐに幹太が見えた。昨日までずっと一緒に居たはずなのに、何だか懐かしくて涙がこみ上がる。
「幹太!」
私より先に優樹菜が幹太を呼んだ。
幹太は二人で並んで歩いて来る私達を見て、本当に嬉しそうに笑った。
「楽しかった?」
幹太は柔らかい笑みを浮かべて私にそう聞いた。
私は何だか照れくさくて、幹太の顔を見ずに優樹菜の方を見て頷いた。優樹菜は肩をすくめ幹太を見て笑う。
「幹太、寧々は大丈夫だから…
幹太は自信を持って前へ進めばいいの」
優樹菜の言葉に、幹太も肩をすくめて笑った。
「寧々、そろそろ行こうか…
新幹線の時間に間に合わなくなるから。
それと、優樹菜、今日は本当にありがとな。
なんか二人とも楽しそうで、俺もめっちゃ嬉しい」
幹太はそう言い終えると、優樹菜から私の荷物を受け取った。
優樹菜の目にまた大粒の涙が溢れ出す。
まずは私にハグして、私の耳元で東京に遊びに行くからねと言うと、今度は、優樹菜に手を振る幹太を見て、優樹菜は幹太に大きな声でこう言った。
「幹太、頑張れ!
寧々を絶対に離しちゃダメだよ。
幹太は… 寧々がいないと生きていけないんだから!」
幹太は優樹菜の言葉に、へ?っていう顔をしている。何言ってんだよ、あいつ、みたいなひとり言が聞こえてくる。
涙でいっぱいの優樹菜に、バ~カ、うるさいぞって、幹太はふざけて手を振った。
「じゃあな、優樹菜」
あの事故以来、それぞれの道を歩き私達は大人になった。時間という流れ続ける川に身を任せ、私達はやっと同じ岸辺に辿り着いたのかもしれない。
改札を通った後も、私と幹太は何度も振り返り優樹菜に手を振った。
手がちぎれそうになるくらい手を振り続ける、私達の大好きな優樹菜が見えなくなるまで、ずっと…
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