はじまりと終わりの間婚

便葉

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まひるの誕生日

…5

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そして、今日は私の誕生日。
ミチャ手作りのロボット似のてるてる坊主のおかげで、いや、てるてる坊主似のロボットのおかげか、空はパステルカラーのブルー一色だ。
ホテルのベランダから見渡せる沖縄の海は、透き通るほどに美しくて、これでこそ沖縄の海でしょ!と叫びたくなるくらい。

そして、私達は、私達には似つかわしくない海水浴へ行こうとしている。
準備をする段階からぎこちない私とミチャは、スマホで海水浴に何が必要か必死に検索している真っ最中だった。

「まひるは日焼けは嫌だろ?
だから、日焼け止めクリームは忘れずに。
あと、浮き輪とかは貸し出してくれるよね?
浮き輪がないとまひるは無理でしょ?」

うん、きっと、ミチャもね。

「ミチャ、ホテルのプライベートビーチで泳ぐんだから、忘れ物があっても取りに帰ってくればいいんじゃない?」

「それが、ダメなんだ。
このホテルは、水着みたいな恰好でウロウロするのは禁止らしい」

私は、このホテルの特にデラックススウィートルームの案内説明書を、念入りに読んでみる。

「ミチャ、ほら、ここ読んで。
デラックススウィートに泊ってる人達の特典で、ビーチにあるコテージを使えるって書いてある」

ミチャも私と一緒にその説明書を読んでみる。
ミチャの顔にホッした笑みが浮かんだ。

「海で泳ぐとか、僕にとっては未知との遭遇だよ。
分からない事だらけで、もう今の時点で疲れてる…」

未知との遭遇って、大げさだよ、ミチャ…
でも、そんなミチャが可愛くて可笑し過ぎる。

「とにかく、そのコテージに、タオルもシャワーも何でも揃ってるみたいだから、手ぶらで行っても大丈夫!」

私がそう言ってピースサインをして微笑むと、ミチャは顔をしかめてピースサインを返してくれた。
ただ楽しいはずの海水浴に、こんな必要以上の気合を入れないと挑めない私達は、きっとただのバカなのかもしれない。
だけど、二人とも似た者同士で本当に良かった。


コテージに着いた私達は、自分達だけの貸し切りになっている事に驚いてしまった。
デラックススウィートの偉大さに、二人とも涙が零れそうになる。
そして、先に奥のリビングへ入ったミチャが、大きな声で私を呼んだ。

「まひる~、え~、マジか~??」

ミチャの声に驚いた私は、すぐにリビングへ向かった。
一歩足を踏み入れた途端、普段の日常とは大違いの爽やかな空間に息を飲んでしまった。
リビングの正面は開放的なテラスになっていて、その先にはコバルトブルーの海と真っ白い砂浜が続いている。
テラスの四角い枠から見えるその景色は、まるで、アクリル絵の具で描いた浮きだす絵画のようだ。
友達のインスタとかで観た事のあるこの色鮮やかで陽気な風景に、私はちょっとだけ尻込みしてしまう。

そして、部屋の中も素晴らしかった。
エアコンのきいたリビングのテーブルの上には、果物の盛り合わせや色とりどりのケーキやゼリーが所せましと置いていて、そんなてんこ盛りのテーブルの中心に、“まひる様、お誕生日おめでとうございます”と書かれたメッセージカードがあった。

「ミチャ? これ、ミチャが頼んでくれたの?」

ミチャは静かに首を横に振った。
残念ながら僕の仕業じゃありませんと、反省しているように微笑んでいる。
でも、すぐに私はミチャの手を取ってそのテーブルの前に二人で座り、スマホで何枚も自撮りをした。
ミチャの顔と私の顔、そして、色鮮やかなご馳走と背景には海と空のブルーを織り交ぜて。

「まひる、せっかくだから、これ、頂こうよ」

ミチャはすでにソファでくつろいでいる。
私もミチャの隣に座り、まずは大好物のマンゴーを頬張った。

「美味しい!
めちゃくちゃ甘い!」

ミチャも嬉しそうだ。
ミチャは丸く切り揃えられたメロンを口の中に放り込んだ。

「うん、メロンもいい感じに冷えてて美味しい」

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