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番外編
ジェイクサイド2
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ノアが働き始めた初日、書庫を覗くと、ノアが静かに泣いている。どうやらノアの身長では脚立にのっても本に手が届かないようだ。それに本一冊でも重厚なため、大変そうだ。
声を出すことなく、静かに泣いている姿を見ると心が痛む。
どうしてそこまでして働くのかなって思う。
おれのことそんなに嫌? って思うとおれも心が痛い。でも今はノアのしたいことを尊重しよう。
そう思ってノアが取りたそうな本を手渡す。
ノアは本を受け取ると、涙をこぼしながら「ありがとう」ってにっこり笑って言う。
・・・可愛いな。ほんとに。
夜も泊まるのを拒否されないことを良いことに一緒に寝る。疲れやすいノアは慣れないことをしてすっかりクタクタだ。家にいてノアがまだおれの世話をされていたときのように、半分寝ているようなノアの口に小さな食べ物を入れて食べさす。飲み込むまで見守る。
寝かしつけていると真剣な顔をしてお願いをしてくる。なんのことかと思えば、「起こして」って言ってくる。
真面目なノアは仕事に遅れないように必死なんだろう。それはおれも泊まっていいってことだよね。おれは「わかった」という。「だから安心して眠っていいよ」と頭を撫でると、ノアは安心してフワッと幸せそうに笑った。
その笑顔を見ているだけでおれは幸せになる。
おれの部屋のベッドより狭いし寝心地も悪いけど、こうやってノアと一緒に過ごせることが幸せだ。抱きしめあってすっぽりとおれの腕の中に入るノアが可愛い。
どんな場所だってどんな所だってノアがいないと意味がない。
ドムレットが、ノアのところに来ているのを捕まえる。大体この仕事もドムレットが紹介したってわかっている。安全な仕事で問題ないから何も言わないが、勝手なことをこれ以上してもらいたいくない。
案の定、ドムレットはノアに魔法で本を綺麗にする方法を教えていた。ノアは「ドムレットは親切だ」「魔法が使えた」って喜んでいる。おれはノアが魔法を使えるかもって思ったことはあるが、おれに頼ってほしいから何も言わなかった。
それにおれ自身も魔法でノアを綺麗にしたり、なんでもできたかもしれないが、全部手自ら行いたいから魔法は使わなかった。
ノアのことはなんでも自分の手でやりたい。ノアになんでも頼ってもらいたい。
その可能性をつぶしていく、たぶんノアの自立を促しているドムレットが邪魔だなって思う。
おれの冷たい眼差しにドムレットは、片方の眉を上げただけで答えると「じゃあな討伐考えろよ。自分の責任を果たせ」と言って去っていった。
ランクの高い冒険者は、領主や国の依頼は断れない。A級はまだ断れるが、S級に上がりたければ、そういった大規模な討伐に参加しないと上には行けない。
でもおれはノアを探すのが目的で冒険者になっただけだから、別にもう冒険者は辞めてもいい。
ノアと離れて暮らす方が嫌だ。ランクを落としてもいいし、もう少し稼いだら辞めてもいいとさえ思っている。
それに今離れるのは嫌だ。今は二人にとって大事な時期なんだ。
ノアは自分のことをほっといて行くようにときっと言うかと思ったら、おれが危ない目に合うのが嫌だという。心配だという。
そんなおれの心配をしているノアの顔を見ていると嬉しい。
「おれのこと心配しているの? おれA級冒険者だよ」
「ジェイクがA級冒険者でもおれは心配だよ」と嬉しいことを言ってくる。
話をしているうちに「一緒にいく」とノアが言い出した。「ジェイクがケガしないように見守るよ」と。おれより非力で、おれより何もできないノアが言う精一杯に頬が緩む。
領地の端まで行くのに、3日かかるが、その間に眺めのいい場所や、美味しい果物が取れる有名な場所があったはずだ。
一緒に旅行がてらいくのもいいかもしれない。旅の間に会うかもしれない盗賊は気にならない。それくらいの腕はある。
現地についてもおれがノアを守ればいいだけだ。
声を出すことなく、静かに泣いている姿を見ると心が痛む。
どうしてそこまでして働くのかなって思う。
おれのことそんなに嫌? って思うとおれも心が痛い。でも今はノアのしたいことを尊重しよう。
そう思ってノアが取りたそうな本を手渡す。
ノアは本を受け取ると、涙をこぼしながら「ありがとう」ってにっこり笑って言う。
・・・可愛いな。ほんとに。
夜も泊まるのを拒否されないことを良いことに一緒に寝る。疲れやすいノアは慣れないことをしてすっかりクタクタだ。家にいてノアがまだおれの世話をされていたときのように、半分寝ているようなノアの口に小さな食べ物を入れて食べさす。飲み込むまで見守る。
寝かしつけていると真剣な顔をしてお願いをしてくる。なんのことかと思えば、「起こして」って言ってくる。
真面目なノアは仕事に遅れないように必死なんだろう。それはおれも泊まっていいってことだよね。おれは「わかった」という。「だから安心して眠っていいよ」と頭を撫でると、ノアは安心してフワッと幸せそうに笑った。
その笑顔を見ているだけでおれは幸せになる。
おれの部屋のベッドより狭いし寝心地も悪いけど、こうやってノアと一緒に過ごせることが幸せだ。抱きしめあってすっぽりとおれの腕の中に入るノアが可愛い。
どんな場所だってどんな所だってノアがいないと意味がない。
ドムレットが、ノアのところに来ているのを捕まえる。大体この仕事もドムレットが紹介したってわかっている。安全な仕事で問題ないから何も言わないが、勝手なことをこれ以上してもらいたいくない。
案の定、ドムレットはノアに魔法で本を綺麗にする方法を教えていた。ノアは「ドムレットは親切だ」「魔法が使えた」って喜んでいる。おれはノアが魔法を使えるかもって思ったことはあるが、おれに頼ってほしいから何も言わなかった。
それにおれ自身も魔法でノアを綺麗にしたり、なんでもできたかもしれないが、全部手自ら行いたいから魔法は使わなかった。
ノアのことはなんでも自分の手でやりたい。ノアになんでも頼ってもらいたい。
その可能性をつぶしていく、たぶんノアの自立を促しているドムレットが邪魔だなって思う。
おれの冷たい眼差しにドムレットは、片方の眉を上げただけで答えると「じゃあな討伐考えろよ。自分の責任を果たせ」と言って去っていった。
ランクの高い冒険者は、領主や国の依頼は断れない。A級はまだ断れるが、S級に上がりたければ、そういった大規模な討伐に参加しないと上には行けない。
でもおれはノアを探すのが目的で冒険者になっただけだから、別にもう冒険者は辞めてもいい。
ノアと離れて暮らす方が嫌だ。ランクを落としてもいいし、もう少し稼いだら辞めてもいいとさえ思っている。
それに今離れるのは嫌だ。今は二人にとって大事な時期なんだ。
ノアは自分のことをほっといて行くようにときっと言うかと思ったら、おれが危ない目に合うのが嫌だという。心配だという。
そんなおれの心配をしているノアの顔を見ていると嬉しい。
「おれのこと心配しているの? おれA級冒険者だよ」
「ジェイクがA級冒険者でもおれは心配だよ」と嬉しいことを言ってくる。
話をしているうちに「一緒にいく」とノアが言い出した。「ジェイクがケガしないように見守るよ」と。おれより非力で、おれより何もできないノアが言う精一杯に頬が緩む。
領地の端まで行くのに、3日かかるが、その間に眺めのいい場所や、美味しい果物が取れる有名な場所があったはずだ。
一緒に旅行がてらいくのもいいかもしれない。旅の間に会うかもしれない盗賊は気にならない。それくらいの腕はある。
現地についてもおれがノアを守ればいいだけだ。
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