【完結】その手をとらせて《完全版》

※(kome)

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ランプの魔人と言う男Ⅰ

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このように自分に対してはどうにも優しくない魔人に、必要な物を買い与えることが続き、その一端として購入したのがこのビーズクッションである。

大柄な俺が抱えてもなお余るほどの、大きな一抱えの布製ビーズクッション。

言い換えるなら、クッションソファというのだろうか。
布地はさらりとして手触りがよく、腰を下ろせばどこまでも沈み込むほどにやわらかい。
そうしてなにより特徴的な、包み込まれるような安心感があるのだ。

この男、現れてから一週間かそこら、ずっと床でごろ寝をしていた。
いくら夏場でエアコンが効いていて涼しいとはいえ、タオルケットの一枚も敷かずに寝れば、いずれ身体を壊す。

来客用の寝具など、男の一人暮らしの部屋にはあるはずもなく。
当人の希望を聞こうとしたのだが、あの調子なので一切口にしなかった。

それがために、これもついでだと服とともに購入した。

日中は腰を下ろして休め、夜はそのまま寝床にもなる。
なかなか良い買い物をしたのではないか――と、自画自賛している。

本人もそのなんとも言えない座り心地が気に入ったらしく、夕飯を終えてテレビを観るときは決まってそこに腰を下ろしている。
画面の登場人物に合わせて前後左右に身体が動くさまは、見ていてなかなかに微笑ましい。
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