【完結】その手をとらせて《完全版》

※(kome)

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ランプの魔人はかく語りき

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ある男の話をしようか――。

とおいとおい昔。
神々が絶大な力を振るい、人々を支配していた。
それが当たり前だった頃の話をしよう。


男は、国一番の戦士だった。
剣を振れば千の敵を薙ぎ倒し、弓を引けば万の鳥を撃ち落とす。
その名を聞けば敵は震え上がり、地を踏みしめれば風よりはやく駆け抜けた。

男には友がいた。
国の護り神で、男のことをなによりふかく愛していた。

戦のたびに勝利を手に凱旋する男。
歓喜に沸く民草。
より豊かになる国。

護り神が誇らしげに語ることを、誰が責められようか。

だがそれを、快く思わぬものがいた。

護り神を憎らしく思う一柱の神。
その神性は、あるものを敵国の王へと授けた。

神ですら癒やせぬ毒。
それを、敵国の王へと授けてしまったのだ。

毒刃に三たび斬られた男は、地に倒れ伏した。
血反吐を吐いて苦しみ、そうして黄泉の国へと旅だった。

護り神は嘆き悲しんだ。
海ほどの涙を流したが、もはや男は戻らなかった。

それでも、護り神は諦められなかった。
死した男の身体に自らの血と土を混ぜ、新たな命を吹き込んだ。

――“新たな命”。
そこに宿るは別の魂。
それでも愛する男が目覚めたことに、護り神は歓喜した。

だが“男”にとっては悪夢でしかない。
神の血と土が混ざったことで、その身体は不死となった。
男は自らの存在を呪い、護り神を詰まった。
なぜ目覚めさせたと責め立て、最後にひとつ願いを告げた。

お前が愛を嘯くのなら、“死”を与えよ。

その願いに護り神は応え、こういった。

運命を見る“目”と手繰るための“手”を与えよう。
この力で死ぬことはできないが、死にゆく運命を見つけ、入れ替わることができる。
そのときこそ、お前の願いは叶うだろう――。

そうして男は旅に出た。
三たび毒刃に斬りつけられたことで、男は願いを三つ叶える力を得た。

そうして男は願いを叶えるものとして、長いときを渡り歩くものとなった。


幾星霜が過ぎ、神々の気配もまばらとなってきた頃。

男はひとりの少年と出会う。
死にかけた、齢十にも満たぬ少年だった。

男は尋ねた。
永遠の命がほしいか、と。

少年は答えた。
死にたくない。生きたい、と。

男と少年の運命は混じり合い、そうしてまた、分かたれた。

こうして男の願いは果たされた。
男の魂は、果てのない旅路を歩くことはなくなった。


これは、ただ。
それだけの話だ――。
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