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「ーーご婚約者様もご同席なさる、と言うことでしょうか?」
翌日の昼過ぎ、ゼクスに誘われるがままに村の集会場へとやってきたリアーヌだったが、そこにはすでに十数名程度の村人たちが集まっていて、リアーヌの姿を認めるとお互いに顔を寄せ合いながら何事かをヒソヒソと話し始めた。
なぜそんな態度を取られるのか分からず、戸惑っているリアーヌへゼクスがフォローを入れるよりも先に声をかけてきたのが、この村の代表者ディーターだった。
「ーーそうだよ。 席を用意してもらえるかな?」
「……恐れながら、今回の場は我が村とラッフィナート男爵家との話し合いの場であると認識しておりましたが……?」
言外にリアーヌを部外者扱いするディーターに、ゼクスの眉がピクリと跳ね上がる。
そして少々攻撃的な笑顔でディーターを見つめ続けた。
そのプレッシャーに負け、ディーターが目を伏せ、喉元まで迫り上がった「ご婚約者様のお席を……」と言う言葉が漏れ出るその瞬間に、リアーヌがゼクスに小声で話しかけた。
「ーーそういう場なら、私いない方が良くありません?」
(ーーぶっちゃけ、そんな難航しそうな話し合いの場とか、むしろ誘われない方が嬉しいんで、今後一切誘わない方向性で動いていただきたい)
「俺の婚約者ってことは未来の男爵夫人でしょー? いた方がいいに決まってるよ、一緒に借金の返し方考えようよー」
「ーーそれは……早く無くしたいところですよね……?」
(無催促なら最後の最後まで借りっぱなしでも……? とか思ったりしないこともないけどーーやっぱりダメだよねー。 だって借金は借金なんだし……お金のことはたとえ親子間でもなぁなぁにするのはよくないと思う。 ……ゼクスのお父さん、酔っ払った勢いとかで「道路の工事費ぐらい父さんが出しちゃうぞー⁉︎」とか言ってくんないかなぁ……?)
「だろ? あ、それにね? 多分長引いちゃうと思うから、ちょっとしたデザートも出してもらう予定なんだよ⁇」
「デザート……」
その言葉の甘い響きにリアーヌの心がグラリとゆらめく。
「ルチェの実を使ったクレープだったかな?」
ゼクスは同行していた一人の男性従業員を振り返りながら、リアーヌに聞かせるようにたずねた。
「ーーはい。 坊ちゃんの言いつけ通り、クリームもフルーツもたっぷりのクレープをご用意する予定ですよ」
従業員はこの旅で料理番を任されている男だったのだが、その旅の中、リアーヌがいかに食べ物に弱いかをきちんと把握していた。
なのでゼクスの援護射撃を行うが如く、満面の笑みを浮かべるとリアーヌに向かってこれから作るデザートの詳細を伝えた。
「ーーご婚約者様もご同席なさる、と言うことでしょうか?」
翌日の昼過ぎ、ゼクスに誘われるがままに村の集会場へとやってきたリアーヌだったが、そこにはすでに十数名程度の村人たちが集まっていて、リアーヌの姿を認めるとお互いに顔を寄せ合いながら何事かをヒソヒソと話し始めた。
なぜそんな態度を取られるのか分からず、戸惑っているリアーヌへゼクスがフォローを入れるよりも先に声をかけてきたのが、この村の代表者ディーターだった。
「ーーそうだよ。 席を用意してもらえるかな?」
「……恐れながら、今回の場は我が村とラッフィナート男爵家との話し合いの場であると認識しておりましたが……?」
言外にリアーヌを部外者扱いするディーターに、ゼクスの眉がピクリと跳ね上がる。
そして少々攻撃的な笑顔でディーターを見つめ続けた。
そのプレッシャーに負け、ディーターが目を伏せ、喉元まで迫り上がった「ご婚約者様のお席を……」と言う言葉が漏れ出るその瞬間に、リアーヌがゼクスに小声で話しかけた。
「ーーそういう場なら、私いない方が良くありません?」
(ーーぶっちゃけ、そんな難航しそうな話し合いの場とか、むしろ誘われない方が嬉しいんで、今後一切誘わない方向性で動いていただきたい)
「俺の婚約者ってことは未来の男爵夫人でしょー? いた方がいいに決まってるよ、一緒に借金の返し方考えようよー」
「ーーそれは……早く無くしたいところですよね……?」
(無催促なら最後の最後まで借りっぱなしでも……? とか思ったりしないこともないけどーーやっぱりダメだよねー。 だって借金は借金なんだし……お金のことはたとえ親子間でもなぁなぁにするのはよくないと思う。 ……ゼクスのお父さん、酔っ払った勢いとかで「道路の工事費ぐらい父さんが出しちゃうぞー⁉︎」とか言ってくんないかなぁ……?)
「だろ? あ、それにね? 多分長引いちゃうと思うから、ちょっとしたデザートも出してもらう予定なんだよ⁇」
「デザート……」
その言葉の甘い響きにリアーヌの心がグラリとゆらめく。
「ルチェの実を使ったクレープだったかな?」
ゼクスは同行していた一人の男性従業員を振り返りながら、リアーヌに聞かせるようにたずねた。
「ーーはい。 坊ちゃんの言いつけ通り、クリームもフルーツもたっぷりのクレープをご用意する予定ですよ」
従業員はこの旅で料理番を任されている男だったのだが、その旅の中、リアーヌがいかに食べ物に弱いかをきちんと把握していた。
なのでゼクスの援護射撃を行うが如く、満面の笑みを浮かべるとリアーヌに向かってこれから作るデザートの詳細を伝えた。
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