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「だからもうフィリップ様をいじめちゃダメ!」
「分かった。 ーーそれに私だって全面戦争は避けたいしね?」
レジアンナの言葉に、リアーヌは素直に頷きながら心の中で呟いていた。
(そっか……フィリップとゼクスの中の悪さって……そのレベルまでいってるんだ……)
「ーーありがとうレジアンナ。 やはり君は私の女神なんだね?」
「ーーあら? 今頃気がつきましたの?」
「ふふっ そうかもしれないなぁ……だって君は昔は私の天使だったんだから……」
「フィリップ様ったらぁっ!」
盛り上がり始めた一組のカップルを置いて、他の面々が自然と集まり始める。
「……知ってた? あの二人ほんの一年前までは拗れに拗れてたんだよ?」
「ーー上手くまとまって僥倖じゃない」
「……元々、強く想い合っていたんでしょうね?」
リアーヌの言葉にビアンカとパトリックが言葉を返す。
こんな軽口であっても、この場で笑い話に出来るような関係性ではなかったのだ。
「ーーなら拗れてない俺たちはもっとずっと何良くなってても良い気がしない?」
「……ぇ? っ⁉︎」
話しかけてきたゼクスのほうを向いたリアーヌがギョッとした顔つきでパッと顔を背ける。
「あ、ダメだよー目を合わせてくれなきゃかけられないだろー?」
そうからかうように笑ったゼクスの瞳は赤く輝いていて、ギフトを発動させていることを示していた。
「ーーあら、もったいない……パトリック様ーー」
「ーー僕は君しか見ないから、君もよそ見はやめてくれるかい?」
「……まぁ」
ビアンカの知識欲は、パトリックの渾身の口説き文句でどうにか抑え込めたようだった。
「ーー少し、羨ましいですわ」
「……ギフトかい?」
「……だってーー私が使えたら……」
そこで言葉を切り頬を染めながらチラチラとレオンを見つめるクラリーチェ。
「ーー君が魅了のギフトを持っていたら……私は不安に思うことだろう」
「……ぇ? あ、あの私……貴方の嫌がることなんて……」
「ーーただでさえ可憐な君が、今よりもっと魅力的に見えるということだろう? 今より自分を律していける自信が持てない」
「ーー……ま、まぁ……」
顔を真っ赤に染め上げ、上擦った声を上げるクラリーチェ。
レオンはそのそばに寄り添い、そっとその腰に手を回したーー
ーーリアーヌの人生で二回目の王城でのパーティーは、ハート飛び交うピンク色のバルコニーで無事に終了を迎えたのだった。
……途中、何度かユリアとその友人が、このバルコニーにやって来ていたのだが、パーティーの出席者兼護衛の者たちや、フォルステル伯爵、そして王妃の息のかかった給仕人たちの活躍により、リアーヌはユリアの姿すら見ないまま、帰路につくことが出来たのだった。
「分かった。 ーーそれに私だって全面戦争は避けたいしね?」
レジアンナの言葉に、リアーヌは素直に頷きながら心の中で呟いていた。
(そっか……フィリップとゼクスの中の悪さって……そのレベルまでいってるんだ……)
「ーーありがとうレジアンナ。 やはり君は私の女神なんだね?」
「ーーあら? 今頃気がつきましたの?」
「ふふっ そうかもしれないなぁ……だって君は昔は私の天使だったんだから……」
「フィリップ様ったらぁっ!」
盛り上がり始めた一組のカップルを置いて、他の面々が自然と集まり始める。
「……知ってた? あの二人ほんの一年前までは拗れに拗れてたんだよ?」
「ーー上手くまとまって僥倖じゃない」
「……元々、強く想い合っていたんでしょうね?」
リアーヌの言葉にビアンカとパトリックが言葉を返す。
こんな軽口であっても、この場で笑い話に出来るような関係性ではなかったのだ。
「ーーなら拗れてない俺たちはもっとずっと何良くなってても良い気がしない?」
「……ぇ? っ⁉︎」
話しかけてきたゼクスのほうを向いたリアーヌがギョッとした顔つきでパッと顔を背ける。
「あ、ダメだよー目を合わせてくれなきゃかけられないだろー?」
そうからかうように笑ったゼクスの瞳は赤く輝いていて、ギフトを発動させていることを示していた。
「ーーあら、もったいない……パトリック様ーー」
「ーー僕は君しか見ないから、君もよそ見はやめてくれるかい?」
「……まぁ」
ビアンカの知識欲は、パトリックの渾身の口説き文句でどうにか抑え込めたようだった。
「ーー少し、羨ましいですわ」
「……ギフトかい?」
「……だってーー私が使えたら……」
そこで言葉を切り頬を染めながらチラチラとレオンを見つめるクラリーチェ。
「ーー君が魅了のギフトを持っていたら……私は不安に思うことだろう」
「……ぇ? あ、あの私……貴方の嫌がることなんて……」
「ーーただでさえ可憐な君が、今よりもっと魅力的に見えるということだろう? 今より自分を律していける自信が持てない」
「ーー……ま、まぁ……」
顔を真っ赤に染め上げ、上擦った声を上げるクラリーチェ。
レオンはそのそばに寄り添い、そっとその腰に手を回したーー
ーーリアーヌの人生で二回目の王城でのパーティーは、ハート飛び交うピンク色のバルコニーで無事に終了を迎えたのだった。
……途中、何度かユリアとその友人が、このバルコニーにやって来ていたのだが、パーティーの出席者兼護衛の者たちや、フォルステル伯爵、そして王妃の息のかかった給仕人たちの活躍により、リアーヌはユリアの姿すら見ないまま、帰路につくことが出来たのだった。
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