成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「ーー縁起の悪いことを……」
 
(フラグという存在を知らないのか……⁉︎ ーーまぁ知らないんだろうけどー……)

 顔をしかめたリアーヌに不可解そうな顔つきになったビアンカが口を開きかけた時だった。
 ーー昼休憩も終わりの時間が近づいてクラスに続々と人が増え出した廊下や教室。
 そこでいつもとは違う、サワサワとした少しのざわめきが広がり始める。

「……ウワサをすれば、なんじゃなーい?」

 盛大に笑った顔を歪めたリアーヌがビアンカに言うと(そういうこと……)と納得しながらも、しっかりと保身に走った。

「ーーあら? その話を持ち出したのは貴女の方でしょう?」
「……え?」
「貴女が先よ」
「ーー……迷信は迷信だと思わない?」
「……そういうことにして置いてあげても構わなくてよ?」
「アザッス」
「……その返事は嫌い」
「ーーありがとうございます」

 教室内の変化に気がついた者たちは、授業が始まるまでの短時間で少しでも情報を得て共有し合おうと、行動を開始し始めていた。
 教室内の人物たちが忙しなく動き始めた頃、ゼクスが教室に入ってくる。

「ーーやぁ皆さま。 充実した昼休憩を送っていらっしゃいますか?」

 リアーヌたちに近づきながら、少し離れた所で相談を続けていたレジアンナたちのグループにも声をかけるゼクス。
 レジアンナはそれをゼクスの好意だと理解して、リアーヌのそばに移動した。

「ーーたった今、少々気分を害しそうな気配を感じ取っている所ですの。 ……気のせいだと良いんだけれど?」
「おや……もしかして私が何かしてしまいましたかね?」

 おどけた態度と口調で答えたゼクスにレジアンナはクスリと笑いながら肩をすくめる。

「男爵はイジワルね、理由なんてご存知でしょう?」

 その言葉にゼクスは笑い声だけで答え、集まってきたレジアンナの友人たちやリアーヌビアンカをグルリと見ながら少しだけ眉を下げ、自分が持っている情報を話し始める。

「……今回の原因もかの方です。 場所も相変わらずです」

 ゼクスは言葉を濁しながらユリアがレオンやクラリーチェがいる教室で騒ぎを起こしたことを伝えた。

「ーー最近は平和でしたのに……」
「きっと新学期にも慣れ、が生まれたんじゃございませんこと?」
「……まぁ、それってーー」

 レジアンナの言葉にその友人たちが意地の悪い笑顔を浮かべながらユリアを貶していく。

(……今の感じはユリアに男漁りの余裕が出来たんだろって言ってんだろうな。 ーーその意見には同意するけど、やっぱりこの会話、こっちが悪者側だよなぁ……)
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