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ゼクスは鼻先で笑いながらユリアに話しかける。
バカにされたことぐらいは理解できたのか、ムッとしたように言い返すユリア。
「王命が絶対だってごとぐらい知ってます!」
「ーーだったらそれを俺一人の発言で覆すことなんか出来ないって事実は知ってる? たとえどんな手助けがあったとしてもーーね?」
完全に呆れていることを過去そうともしないゼクスの発言に、ユリアは怒りをあらわにしつつも、その意味が理解できなかったのかベッティに助けを求めるように視線を向けた。
(ウソだろ……? いくら貴族社会に慣れてなくったって、王様エライこの国一番。 と、王様逆らうダメ絶対。 ぐらいは常識でしょ⁉︎ だからこそこのゲームの悪役令嬢たちは犯罪者として断罪される必要があったんじゃん! まぁ、中には王命の婚約じゃないとこもあったけど、レジアンナのとことかクラリーチェ様んとかは、そのぐらいしないと婚約破棄なんて絶対無理だし)
リアーヌはそんなことを考えながら、ベッティとヒソヒソと会話するユリアの横顔を見つめていた。
ーーしばらくそのやり取りを眺めていたリアーヌとゼクスが視線で「もう教室行っていいと思う?」「行っちゃいたいですけどねぇ……?」という会話をしはじめた頃、ユリアが肩を怒らせながらリアーヌに向き直った。
「貴女! こんな風に無理やり結婚して幸せになれると思ってるの⁉︎」
「……え、私ですか?」
(ついさっきゼクスが『この婚約は自分が言い出した』ってあんなにはっきり言ったのに……? まだ私が悪者になると思ってらっしゃる……?)
ユリアに怒鳴りつけられ戸惑うリアーヌ。
ゼクスは素早く二人の間に体を割り込ませ「ーーいい加減にしてくんない……?」と低い声で威嚇するように言い放った。
そんなゼクスにユリアはジリリッと身体を後退させたが、思い直したかのようにギッと鋭い視線をリアーヌに向けると、一気に言い放った。
「私! 貴女を許さないわ! 人殺しのくせに人の幸せを掠め取ろうとばかりして! こんなの間違ってる! 悪い行いは必ず自分に返ってくるんだからっ!」
そう言い放つとそばに立っていたベッティの腕を掴んで駆け去って行く。
リアーヌは呆然とその後ろ姿を見つめながら小さく呟いた。
「ーー流石に訴えたら勝てる気がしてますけれど……?」
「……後ろのお方が出てこないのならば証言して差し上げてよ?」
そんなビアンカの言葉に、リアーヌはゾクリとしたイヤな感覚が背筋を這い上がるのを感じた。
「ーー出てきそう」
ポソリ……と呟いたリアーヌにビアンカは、でしょうね……と言わんばかりに肩をすくめながら口を開く。
バカにされたことぐらいは理解できたのか、ムッとしたように言い返すユリア。
「王命が絶対だってごとぐらい知ってます!」
「ーーだったらそれを俺一人の発言で覆すことなんか出来ないって事実は知ってる? たとえどんな手助けがあったとしてもーーね?」
完全に呆れていることを過去そうともしないゼクスの発言に、ユリアは怒りをあらわにしつつも、その意味が理解できなかったのかベッティに助けを求めるように視線を向けた。
(ウソだろ……? いくら貴族社会に慣れてなくったって、王様エライこの国一番。 と、王様逆らうダメ絶対。 ぐらいは常識でしょ⁉︎ だからこそこのゲームの悪役令嬢たちは犯罪者として断罪される必要があったんじゃん! まぁ、中には王命の婚約じゃないとこもあったけど、レジアンナのとことかクラリーチェ様んとかは、そのぐらいしないと婚約破棄なんて絶対無理だし)
リアーヌはそんなことを考えながら、ベッティとヒソヒソと会話するユリアの横顔を見つめていた。
ーーしばらくそのやり取りを眺めていたリアーヌとゼクスが視線で「もう教室行っていいと思う?」「行っちゃいたいですけどねぇ……?」という会話をしはじめた頃、ユリアが肩を怒らせながらリアーヌに向き直った。
「貴女! こんな風に無理やり結婚して幸せになれると思ってるの⁉︎」
「……え、私ですか?」
(ついさっきゼクスが『この婚約は自分が言い出した』ってあんなにはっきり言ったのに……? まだ私が悪者になると思ってらっしゃる……?)
ユリアに怒鳴りつけられ戸惑うリアーヌ。
ゼクスは素早く二人の間に体を割り込ませ「ーーいい加減にしてくんない……?」と低い声で威嚇するように言い放った。
そんなゼクスにユリアはジリリッと身体を後退させたが、思い直したかのようにギッと鋭い視線をリアーヌに向けると、一気に言い放った。
「私! 貴女を許さないわ! 人殺しのくせに人の幸せを掠め取ろうとばかりして! こんなの間違ってる! 悪い行いは必ず自分に返ってくるんだからっ!」
そう言い放つとそばに立っていたベッティの腕を掴んで駆け去って行く。
リアーヌは呆然とその後ろ姿を見つめながら小さく呟いた。
「ーー流石に訴えたら勝てる気がしてますけれど……?」
「……後ろのお方が出てこないのならば証言して差し上げてよ?」
そんなビアンカの言葉に、リアーヌはゾクリとしたイヤな感覚が背筋を這い上がるのを感じた。
「ーー出てきそう」
ポソリ……と呟いたリアーヌにビアンカは、でしょうね……と言わんばかりに肩をすくめながら口を開く。
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