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15話:クリスタルの加護
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炎のクリスタルのある祭壇のある洞窟に向かう。騎士団長のシドとセーブルの三人だ。セーブルは喜色の表情を見せ、鼻歌を歌っている。外に自分の顔を見せれるのが最高なのだろう。
「一つ聞きたいんだけどいい?」
「ええ何でも聞いて。でも私の体のことはまだ恥ずかしいからNGね……」
顔を赤くして恥ずかしそうな表情を見せる。
何の話だよ!
まぁ確かにそそる体してる美少女なのは認めるけどね。
「いや、王女なのに炎のクリスタルの祭壇に行った事がないのが気になってね」
「火傷ができ始めた頃、兄さんとお姉さまが呪いだとか言って行くなと言われたの。二人が言うには近づけてはならないなんて声を聞いたらしくてね」
「二人はセーブル以上に炎の加護を受け継いで強いの?」
「いや、セーブル様には遠く及びませぬ。二人はそれを認めたくない様ですが……」
うん?それはおかしいな。クリスタルの声は能力なき者には聞こえないし、セーブルクラスの能力を持つ者には加護を与えるように働くはずだ。つまり近づけたくない何か理由があるのだろう。
「その二人とは母親は一緒?」
「違うわ。私は正妻の娘で、二人は側室の子供かしら」
あっ……
「王妃のサリマ様は中々子宝に恵まれず、側室のマリネ様の方が早く子供を産んだのです」
「そのせいでお母さまはかなり苦労されたわ。マリネさんは一年前病気で死んだからお母さまの地位を揺るがすような人はもういないんだけどね」
「王位は男優先?」
「いえ、王妃であるサリマ様の娘たるセーブル様が正当後継者です」
なるほど。男優先とかではないんだな。もしあのまま火傷が治らなきゃどっちかが後を継いだわけか。火傷治れば表に出て来るし二人の出番はもうない。問題はクリスタルに触れて、加護を貰えば解決だという事を知っていた事だな。
「その二人のバッグには誰が?」
「公爵のネイツ殿ですね。マリネ様の弟にあたります。本来なら正室はマリネ様の予定でしたが、陛下はサリマ様と子供の頃から仲で正妻はサリマ様と強く決めていましたので」
「母の家は元々伯爵家で、公爵家の方が強かったけど父の強い意向には逆らえなかったわ。でも中々子供が産まれなかったせいで側室にマリネさんを持ってきたわけよ」
中々闇が深そうだが、貴族の争いなんてそんなものだ。このままセーブルを復活させて王位を継承されるのが困るので、防ぎたかったのだろう。まぁ俺と関わったのが運の尽きだ。大人しくご退場だな。
「なるほど。それでセーブルを炎のクリスタルの祭壇に行かせなかったわけだ」
「どういう事?」
「つまりあの二人はクリスタルの加護を受ければ、その火傷がなくなってより強くなることを知っていたんだ」
「なるほど……それでセーブル様を祭壇に近づかせない為に嘘をついていたという事ですな」
「そうだったのね……」
兄弟なんて言っても母親が違うし、ましてやセーブルは正妻の子だ。そして能力も十分とくれば妬まない訳がない。この後一悶着ありそうだな。
「この先が祭壇です」
一本道の洞窟を抜けると祭壇があり、真ん中には炎のクリスタルが宙に浮いていた。
「この祭壇は炎の加護を持たぬ者は行けませぬ。ジン殿と私はここで」
「いや、俺は大丈夫だからシドさんは待ってて」
「えっ……」
二人で祭壇に近づく。さてクリスタルに念話で話しかけるか。
「(炎のクリスタルよ。俺の声が聞こえるか?)」
「(聞こえるとも大いなる混沌の君よ)」
「(この娘を近づけさせないような指示を誰かにした事はあるか?)」
「(そんな事は一度たりともしてはいない。むしろ我はこの娘が来るのを待ち望んでいた)」
「(ここで誰かと話した事は?)」
「(何度かここに足を運んだ者がいたが、我が力を与えるに値せずして、その問いかけには答えておらぬ)」
やはりか。なら早くセーブルに加護を与えて終わりだな。まだ距離はあるが何人かがこちらに向かっているようだ。
「炎のクリスタルに触れて」
「わ、わかったわ」
セーブルがクリスタルに触れる。俺みたく強い力で念話は出来ないが、触れれば話す事が出来るはずだ。
「うっ……」
加護の付与が始まったな。
「王女、クリスタルと会話をしたけど、あなたに近づけさせないような指示は一度たりともしていないとのことです」
「うん……というかあなたもクリスタルと話す事が出来るのね……」
そりゃこの世界を守護し、クリスタルを作って設置した二十柱の一角ですからね。
「俺は少し特別なんですよ」
「クリスタルもそう言ってる。あなたに会えて良かったわ」
「そりゃ光栄です。あなたの笑った顔が見れてこちらも嬉しいですよ」
「もう……」
照れくさそうな表情で、顔を赤くする。これで半分解決だな。
「これで終わりだって」
数分すると付与が完全に終わったのか光っていたクリスタルが元の色に戻る。
「(各クリスタルの加護を得る四人が集まれば魔王討伐も余裕だろうな)」
「(力をつければ可能かと。ただあなた一人で全てが事足りますよ。勿論それに意味があるかどうかですがね)」
「(だな。当然そんな事はしないさ)」
魔王を討伐したって真の意味で世界が平和になるわけではない。平和への道はバランスをよくする事にあるからな。
「(この世界でも超人と呼ばれる域に行く者が出てくればいいのですがね……)」
「(ハハッ、それは難しいかもな。欠片をセーブルに渡してくれないか?)」
「(わかっていますよ混沌の君)」
クリスタルは再び輝きだし、セーブルに欠片のペンダントを渡す。
「これは……」
「加護を持つ者の証だよ。あなたに授けるとのことだ」
「わかったわ」
セーブルはペンダントを首にかける。さてこれで問題の一つはクリアだ。
「シドさん少し下がって戦闘態勢に」
「わ、わかりました」
祭壇から少し離れてこちらも戦闘態勢に入る。遠くから聞こえていた気配と物音はさっきよりも大きくなっていた。
「お出ましのようだね」
祭壇の入り口からたくさんの兵士がやってきた。セーブルを止めに来たのだろうがもう遅いな。さてどう出るか。
「一つ聞きたいんだけどいい?」
「ええ何でも聞いて。でも私の体のことはまだ恥ずかしいからNGね……」
顔を赤くして恥ずかしそうな表情を見せる。
何の話だよ!
まぁ確かにそそる体してる美少女なのは認めるけどね。
「いや、王女なのに炎のクリスタルの祭壇に行った事がないのが気になってね」
「火傷ができ始めた頃、兄さんとお姉さまが呪いだとか言って行くなと言われたの。二人が言うには近づけてはならないなんて声を聞いたらしくてね」
「二人はセーブル以上に炎の加護を受け継いで強いの?」
「いや、セーブル様には遠く及びませぬ。二人はそれを認めたくない様ですが……」
うん?それはおかしいな。クリスタルの声は能力なき者には聞こえないし、セーブルクラスの能力を持つ者には加護を与えるように働くはずだ。つまり近づけたくない何か理由があるのだろう。
「その二人とは母親は一緒?」
「違うわ。私は正妻の娘で、二人は側室の子供かしら」
あっ……
「王妃のサリマ様は中々子宝に恵まれず、側室のマリネ様の方が早く子供を産んだのです」
「そのせいでお母さまはかなり苦労されたわ。マリネさんは一年前病気で死んだからお母さまの地位を揺るがすような人はもういないんだけどね」
「王位は男優先?」
「いえ、王妃であるサリマ様の娘たるセーブル様が正当後継者です」
なるほど。男優先とかではないんだな。もしあのまま火傷が治らなきゃどっちかが後を継いだわけか。火傷治れば表に出て来るし二人の出番はもうない。問題はクリスタルに触れて、加護を貰えば解決だという事を知っていた事だな。
「その二人のバッグには誰が?」
「公爵のネイツ殿ですね。マリネ様の弟にあたります。本来なら正室はマリネ様の予定でしたが、陛下はサリマ様と子供の頃から仲で正妻はサリマ様と強く決めていましたので」
「母の家は元々伯爵家で、公爵家の方が強かったけど父の強い意向には逆らえなかったわ。でも中々子供が産まれなかったせいで側室にマリネさんを持ってきたわけよ」
中々闇が深そうだが、貴族の争いなんてそんなものだ。このままセーブルを復活させて王位を継承されるのが困るので、防ぎたかったのだろう。まぁ俺と関わったのが運の尽きだ。大人しくご退場だな。
「なるほど。それでセーブルを炎のクリスタルの祭壇に行かせなかったわけだ」
「どういう事?」
「つまりあの二人はクリスタルの加護を受ければ、その火傷がなくなってより強くなることを知っていたんだ」
「なるほど……それでセーブル様を祭壇に近づかせない為に嘘をついていたという事ですな」
「そうだったのね……」
兄弟なんて言っても母親が違うし、ましてやセーブルは正妻の子だ。そして能力も十分とくれば妬まない訳がない。この後一悶着ありそうだな。
「この先が祭壇です」
一本道の洞窟を抜けると祭壇があり、真ん中には炎のクリスタルが宙に浮いていた。
「この祭壇は炎の加護を持たぬ者は行けませぬ。ジン殿と私はここで」
「いや、俺は大丈夫だからシドさんは待ってて」
「えっ……」
二人で祭壇に近づく。さてクリスタルに念話で話しかけるか。
「(炎のクリスタルよ。俺の声が聞こえるか?)」
「(聞こえるとも大いなる混沌の君よ)」
「(この娘を近づけさせないような指示を誰かにした事はあるか?)」
「(そんな事は一度たりともしてはいない。むしろ我はこの娘が来るのを待ち望んでいた)」
「(ここで誰かと話した事は?)」
「(何度かここに足を運んだ者がいたが、我が力を与えるに値せずして、その問いかけには答えておらぬ)」
やはりか。なら早くセーブルに加護を与えて終わりだな。まだ距離はあるが何人かがこちらに向かっているようだ。
「炎のクリスタルに触れて」
「わ、わかったわ」
セーブルがクリスタルに触れる。俺みたく強い力で念話は出来ないが、触れれば話す事が出来るはずだ。
「うっ……」
加護の付与が始まったな。
「王女、クリスタルと会話をしたけど、あなたに近づけさせないような指示は一度たりともしていないとのことです」
「うん……というかあなたもクリスタルと話す事が出来るのね……」
そりゃこの世界を守護し、クリスタルを作って設置した二十柱の一角ですからね。
「俺は少し特別なんですよ」
「クリスタルもそう言ってる。あなたに会えて良かったわ」
「そりゃ光栄です。あなたの笑った顔が見れてこちらも嬉しいですよ」
「もう……」
照れくさそうな表情で、顔を赤くする。これで半分解決だな。
「これで終わりだって」
数分すると付与が完全に終わったのか光っていたクリスタルが元の色に戻る。
「(各クリスタルの加護を得る四人が集まれば魔王討伐も余裕だろうな)」
「(力をつければ可能かと。ただあなた一人で全てが事足りますよ。勿論それに意味があるかどうかですがね)」
「(だな。当然そんな事はしないさ)」
魔王を討伐したって真の意味で世界が平和になるわけではない。平和への道はバランスをよくする事にあるからな。
「(この世界でも超人と呼ばれる域に行く者が出てくればいいのですがね……)」
「(ハハッ、それは難しいかもな。欠片をセーブルに渡してくれないか?)」
「(わかっていますよ混沌の君)」
クリスタルは再び輝きだし、セーブルに欠片のペンダントを渡す。
「これは……」
「加護を持つ者の証だよ。あなたに授けるとのことだ」
「わかったわ」
セーブルはペンダントを首にかける。さてこれで問題の一つはクリアだ。
「シドさん少し下がって戦闘態勢に」
「わ、わかりました」
祭壇から少し離れてこちらも戦闘態勢に入る。遠くから聞こえていた気配と物音はさっきよりも大きくなっていた。
「お出ましのようだね」
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