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31話:シーラの涙
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「えっ……」
シーラを含む四人はもう駄目かと思っただろう。だが当然そんな事はさせない。アースドラゴンはバランスを崩しその場で転んだ。いや転ばせたというのが正解だろう。
「はっ!」
この見えている壁には実は仕掛けがあり距離がある。というのも壁が貼られた時、空間そのものが現れたというのが正しい。ある一定の場所まで行くと足されるように空間ができる。そして壁と壁の間は異次元空間が存在しており、後ろ側の壁を破壊しないかぎり前の壁は再生し続けるといった仕組みで、目で視認しているこの壁は後ろ側の壁。俺がさっき壁に力を与えて壊れなかったのはそれが理由だ。単純にその空間の奥の壁にまで力が届かなかったという事だ。
「なら空間事ぶち開ける!」
空間に亀裂をいれ、そのまま腕を突っ込む。
「ヘッ!」
二人は驚いたような表情を見せるが今それに反応している暇はない。早く向こうに行かなければならないからだ。
「ハァァァ!」
そのまま異次元空間に入ると、少し離れた先に壁を確認できる。異次元空間は非常に不安定で迷い込めば戻ってくる事は困難な事が多いがここは安定している。仕掛けとして作ったからだろう。
「二人はそこにいて!」
そのまま異次元空間の向こうに見える壁の元に行き、壁に力を込める。
「ウォォォ!」
壁にヒビが入り壁の向こうに行くとシーラ達のいる方が見えて来る。
「よし!」
「ジンさん!」
無事向こう側につくと、アースドラゴンが懲りずにシーラを攻撃しようとしていた。
「インフィニティシールド!」
アースドラゴンの前足の攻撃はバリアに阻まれ通らない。
お前の相手は俺だ。俺の目の前でシーラやミーナを狙った報いは受けてもらおうか。
「ヴァイスシュヴァルツ!」
無数の白と黒の弾丸を対象に放つ第八位階魔法で追尾機能もある便利な攻撃魔法だ。
グゴゴゴッ
アースドラゴンのうめき声が響く。まだ終わらんぞ。
「プリズムアーク!」
棺から光を放出し周囲を跡形もなく消す第九位階魔法だ。素材は勿体ないが今の俺はっこれをお前に放ちたい気分だからな。存分に味わってくれ。
「凄い……」
ミーナが唖然とした表情で見る中アースドラゴンは完全に消滅した。するとバリアが完全になくなり、通れるようになった。
「シーラ!」
真っ先にシーラの元に行き、状態を確かめる。
「うっ……私……」
傷を負ってはいるが命に別状はない。剣が犠牲になったくれたお陰で直撃を免れた様だな。
「マスターヒール!」
シーラを抱きかかえお姫様抱っこした状態で魔法を発動する。この方が俺の魔法がより全体にいきわたり、魔力を少し譲渡させる事ができる。これで回復も早いはずだ。
「「シーラ!」」
三人もこちらに来る。
「大丈夫!命に別状はないさ」
「よかった……」
三人とも安堵の表情を見せる。本当に良かった……
「ミーナも回復させるからちょっといいかい?」
「はい」
抱きかかえたシーラを一旦降ろし、今度はミーナをお姫様抱っこする。
「ヒヤッ!」
「暴れないで……マスターヒール!」
ミーナも一度肩にダメージ負っているし今回の戦闘で魔力を使ったからな。ちゃんと補充させないと。
「体が癒される……」
「お疲れ様。無事で良かった……」
「ジンさんが助けに来るって信じてましたから……」
「うん、ちゃんと助けられて本当に良かった」
◇
シーラが目を覚ますまで休憩して待つ。
「う……う~ん……」
「シーラ!」
二十分ぐらいすると意識を取り戻し目を覚ます。
「あれ……私ドラゴンに……」
「ジンさんが助けにきて倒してくれたよ」
「ハハッ、流石はジンだね……」
シーラはそのまま立ち上がり体を動かす。回復魔法をかけたと同時に魔力も補充したからすぐに動けるはずだ。
「大丈夫かい?」
「ええ、ジンが助けてくれたんだよね?」
「ああ、間一髪だったけどね」
するとシーラは申し訳なさそうな表情をこちらに見せるとそのまま頭を下げる。
「ごめんなさい!」
「どうしたんだい?」
「私が先走ったせいで……ニーナも危険な目に合わせて……ここに入る前散々先に行かないようにって言われてたのに……」
確かにそうは言ったな。だけど今回の事故みたいなものだし、すぐに気づいて助けられなかった俺はシーラに対して怒る資格はない。目の前で苦戦しているのをただ指示していた自分がとても情けない。こんだけ強力な力を持ちながら二十柱の恥もいいとこだ。
「顔を上げてシーラ」
「えっ……」
そのままシーラの頭を撫でてスマイルを見せる。
「まぁ確かに先走ったけど今回のは事故みたいなものだよ……それにすぐに助けられなかった俺が何より悪いさ。結果二人を危険な目に合わせちゃったからね」
「ジン……」
「だから今回はいい勉強になったって事で次から気をつけようか」
「ウウッ……」
シーラは今にも泣きそうな表情でこちらを見つめる。
「ど、どうしたんだい?」
すると俺にそのまま抱きつき、涙を流す。
「ジンはなんでそんな優しいのよ……わ、わだじのせいでみんなに……迷惑かけたんだからもっと怒っても……」
いや、俺女の子にそんなキツく怒れないからな~最初からあれを使えばノーダメで勝たせる事も出来たのに、実力見たくてそれをしなかったなんて言えないしな。壁をこじ開ける事に集中して目さえ離さなければこんな事にならなかったわけで……
「ハハッ、今回は俺も本当に悪いし、そんな怒る資格がないんだ~怖かったかい?」
「ひくっ……当り前じゃないの~すんごく怖かったんだから!」
「だろうね。でも結果それを知るいい勉強になったし、こうやって無事なんだからさ」
「ううっ……」
シーラがこんな風に泣いて抱き着くような子だったとはな……胸も当たるしいい匂いしてるし何ていうか役得だな。
「もう大丈夫だから元気出して」
五分ほど頭を撫でながら泣き止むまで待っていると三人が白い目でこちらを見る。
「ねぇ……」
「いつまで抱き着いているのかしら?」
「シーラ、一回こっちに顔を見せて。今リオがシーラはに向かって魔法の準備をしているわ」
ミーナが不気味な笑顔でそれを言うとシーラは慌てて俺から離れる。
「なんだ脅かさないでよ」
「シーラ、私達にまずいう事は?」
リオが怖い表情でシーラを睨む。
「あ、ごめんなさい……私のせいで迷惑かけちゃって……」
シーラは頭を下げて謝る。
「まぁまぁシーラも悪気があったわけじゃないしそんなに責めないで……」
「ジンは黙ってて!」
セーブルが睨みつけながら言うので、口が勝手に黙ってしまう。
「それはもう怒ってないわ」
「えっ、それじゃあ何で……」
「どさくさに紛れて抱き着くなんてそんな抜け駆け許した覚えはないんだけど……」
「えっ……」
「まさかシーラがあんな積極性見せるなんてずっとペア組んでた私を見抜けなかったわ……」
ミーナの顔は笑っているが黒いオーラが出ているのか凄く怖い。こんな怖いミーナ初めてだと思えるほどに怖い。
「い、いやそれはジンの胸で安心を求めたくなったというか……その……」
「その?私もシーラの手法真似たくなっちゃったな~」
セーブルも初めて会ったあの攻撃的な時よりも遥かに怖い。闇のオーラが……
「はい正座……」
リオの圧力に負けたシーラはそのままその場で正座をすると、目の前に立つ三人の無言の圧力に負け、何度も土下座をしていた。
シーラを含む四人はもう駄目かと思っただろう。だが当然そんな事はさせない。アースドラゴンはバランスを崩しその場で転んだ。いや転ばせたというのが正解だろう。
「はっ!」
この見えている壁には実は仕掛けがあり距離がある。というのも壁が貼られた時、空間そのものが現れたというのが正しい。ある一定の場所まで行くと足されるように空間ができる。そして壁と壁の間は異次元空間が存在しており、後ろ側の壁を破壊しないかぎり前の壁は再生し続けるといった仕組みで、目で視認しているこの壁は後ろ側の壁。俺がさっき壁に力を与えて壊れなかったのはそれが理由だ。単純にその空間の奥の壁にまで力が届かなかったという事だ。
「なら空間事ぶち開ける!」
空間に亀裂をいれ、そのまま腕を突っ込む。
「ヘッ!」
二人は驚いたような表情を見せるが今それに反応している暇はない。早く向こうに行かなければならないからだ。
「ハァァァ!」
そのまま異次元空間に入ると、少し離れた先に壁を確認できる。異次元空間は非常に不安定で迷い込めば戻ってくる事は困難な事が多いがここは安定している。仕掛けとして作ったからだろう。
「二人はそこにいて!」
そのまま異次元空間の向こうに見える壁の元に行き、壁に力を込める。
「ウォォォ!」
壁にヒビが入り壁の向こうに行くとシーラ達のいる方が見えて来る。
「よし!」
「ジンさん!」
無事向こう側につくと、アースドラゴンが懲りずにシーラを攻撃しようとしていた。
「インフィニティシールド!」
アースドラゴンの前足の攻撃はバリアに阻まれ通らない。
お前の相手は俺だ。俺の目の前でシーラやミーナを狙った報いは受けてもらおうか。
「ヴァイスシュヴァルツ!」
無数の白と黒の弾丸を対象に放つ第八位階魔法で追尾機能もある便利な攻撃魔法だ。
グゴゴゴッ
アースドラゴンのうめき声が響く。まだ終わらんぞ。
「プリズムアーク!」
棺から光を放出し周囲を跡形もなく消す第九位階魔法だ。素材は勿体ないが今の俺はっこれをお前に放ちたい気分だからな。存分に味わってくれ。
「凄い……」
ミーナが唖然とした表情で見る中アースドラゴンは完全に消滅した。するとバリアが完全になくなり、通れるようになった。
「シーラ!」
真っ先にシーラの元に行き、状態を確かめる。
「うっ……私……」
傷を負ってはいるが命に別状はない。剣が犠牲になったくれたお陰で直撃を免れた様だな。
「マスターヒール!」
シーラを抱きかかえお姫様抱っこした状態で魔法を発動する。この方が俺の魔法がより全体にいきわたり、魔力を少し譲渡させる事ができる。これで回復も早いはずだ。
「「シーラ!」」
三人もこちらに来る。
「大丈夫!命に別状はないさ」
「よかった……」
三人とも安堵の表情を見せる。本当に良かった……
「ミーナも回復させるからちょっといいかい?」
「はい」
抱きかかえたシーラを一旦降ろし、今度はミーナをお姫様抱っこする。
「ヒヤッ!」
「暴れないで……マスターヒール!」
ミーナも一度肩にダメージ負っているし今回の戦闘で魔力を使ったからな。ちゃんと補充させないと。
「体が癒される……」
「お疲れ様。無事で良かった……」
「ジンさんが助けに来るって信じてましたから……」
「うん、ちゃんと助けられて本当に良かった」
◇
シーラが目を覚ますまで休憩して待つ。
「う……う~ん……」
「シーラ!」
二十分ぐらいすると意識を取り戻し目を覚ます。
「あれ……私ドラゴンに……」
「ジンさんが助けにきて倒してくれたよ」
「ハハッ、流石はジンだね……」
シーラはそのまま立ち上がり体を動かす。回復魔法をかけたと同時に魔力も補充したからすぐに動けるはずだ。
「大丈夫かい?」
「ええ、ジンが助けてくれたんだよね?」
「ああ、間一髪だったけどね」
するとシーラは申し訳なさそうな表情をこちらに見せるとそのまま頭を下げる。
「ごめんなさい!」
「どうしたんだい?」
「私が先走ったせいで……ニーナも危険な目に合わせて……ここに入る前散々先に行かないようにって言われてたのに……」
確かにそうは言ったな。だけど今回の事故みたいなものだし、すぐに気づいて助けられなかった俺はシーラに対して怒る資格はない。目の前で苦戦しているのをただ指示していた自分がとても情けない。こんだけ強力な力を持ちながら二十柱の恥もいいとこだ。
「顔を上げてシーラ」
「えっ……」
そのままシーラの頭を撫でてスマイルを見せる。
「まぁ確かに先走ったけど今回のは事故みたいなものだよ……それにすぐに助けられなかった俺が何より悪いさ。結果二人を危険な目に合わせちゃったからね」
「ジン……」
「だから今回はいい勉強になったって事で次から気をつけようか」
「ウウッ……」
シーラは今にも泣きそうな表情でこちらを見つめる。
「ど、どうしたんだい?」
すると俺にそのまま抱きつき、涙を流す。
「ジンはなんでそんな優しいのよ……わ、わだじのせいでみんなに……迷惑かけたんだからもっと怒っても……」
いや、俺女の子にそんなキツく怒れないからな~最初からあれを使えばノーダメで勝たせる事も出来たのに、実力見たくてそれをしなかったなんて言えないしな。壁をこじ開ける事に集中して目さえ離さなければこんな事にならなかったわけで……
「ハハッ、今回は俺も本当に悪いし、そんな怒る資格がないんだ~怖かったかい?」
「ひくっ……当り前じゃないの~すんごく怖かったんだから!」
「だろうね。でも結果それを知るいい勉強になったし、こうやって無事なんだからさ」
「ううっ……」
シーラがこんな風に泣いて抱き着くような子だったとはな……胸も当たるしいい匂いしてるし何ていうか役得だな。
「もう大丈夫だから元気出して」
五分ほど頭を撫でながら泣き止むまで待っていると三人が白い目でこちらを見る。
「ねぇ……」
「いつまで抱き着いているのかしら?」
「シーラ、一回こっちに顔を見せて。今リオがシーラはに向かって魔法の準備をしているわ」
ミーナが不気味な笑顔でそれを言うとシーラは慌てて俺から離れる。
「なんだ脅かさないでよ」
「シーラ、私達にまずいう事は?」
リオが怖い表情でシーラを睨む。
「あ、ごめんなさい……私のせいで迷惑かけちゃって……」
シーラは頭を下げて謝る。
「まぁまぁシーラも悪気があったわけじゃないしそんなに責めないで……」
「ジンは黙ってて!」
セーブルが睨みつけながら言うので、口が勝手に黙ってしまう。
「それはもう怒ってないわ」
「えっ、それじゃあ何で……」
「どさくさに紛れて抱き着くなんてそんな抜け駆け許した覚えはないんだけど……」
「えっ……」
「まさかシーラがあんな積極性見せるなんてずっとペア組んでた私を見抜けなかったわ……」
ミーナの顔は笑っているが黒いオーラが出ているのか凄く怖い。こんな怖いミーナ初めてだと思えるほどに怖い。
「い、いやそれはジンの胸で安心を求めたくなったというか……その……」
「その?私もシーラの手法真似たくなっちゃったな~」
セーブルも初めて会ったあの攻撃的な時よりも遥かに怖い。闇のオーラが……
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リオの圧力に負けたシーラはそのままその場で正座をすると、目の前に立つ三人の無言の圧力に負け、何度も土下座をしていた。
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