元勇者で神に近い存在になった男、勇者パーティに混じって魔王討伐参加してたら追い出されました。

明石 清志郎

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38話:ナットウの街にて

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 「やっとか~」

 蜜熊の服の問題も済み、無事はちみつの森を抜け出した俺達はリオの故郷であるナットウの街に辿り着いた。街の感じは王都のように賑やか過ぎるわけでもなければ、田舎の街のように静かなわけでもない中間的な街だ。

 「久しぶりね~」
 「そういえば故郷出てどれぐらい?」
 「う~ん……一年半ぐらいかしらね」
 「そんなでもないんだね~」

 これが三年、五年とかだとかなり懐かしさを感じるんだろうな。

 「そうそう、だからそんなに懐かしい感じもないのよね~」
 「リオの家は貴族ではないけどそれに準じた家柄だったっけ?」
 「ええ、うちは少し特殊だから」

 リオに連いていき家へと向かう。貴族じゃないけどぞれに準じた家柄か~何をしているのか少し気になるな。

 「リオの家ってエインズレイだったわよね?」

 後ろで俺に聞いてきたのはセーブルだ。

 「そうだけど何か知ってるの?」

 王女様だし領内の有力な家柄は知っていても不思議ではない。

 「いや~昔お父様から聞いたんだけど忘れちゃったのよね~なんだっかしら……」
 「頼むよ~」

 まぁ家まで行けばわかる話だ。今ここでそれについて考える必要はないだろう。

 
 ◇


 「着いたわよ」

 街に入って歩く事二十分ほどでリオの家に着いたが、外観からして違う。何というか王都は俺の生まれ育った地球的に言えば洋風な様式の家が多い。それはリレイルも含め、その傾向が強い感じの世界ではあるなと思っていたが、この家は違う。この街の一部でも見られたが、この家は和風で、俺の故郷の日本の古い家といった感じだ。

 「こりゃまた親近感が……」
 「あ、思い出した~」
 「セーブル?」
 「エインズレイってあれよ。昔風のクリスタルを守っていた一族の一つで、その家に生まれた者は強い能力を持つ傾向にあるってお父様が言ってたわ」

 今更かい。というかそれ結構大事な情報なんだが……

 「でも貴族じゃないんでしょ?」
 「あくまでも風のクリスタルに仕えるといった感じのスタンスをとっていたはずよ。ミステアにある風のクリスタルの元に年に何度か足を運んでいるはずだし」

 元は役人の家柄だけどちょっと特殊な感じかな。他大陸にある風のクリスタルに古くから仕える家が同盟国にあるというのは友好という意味ではいい事かもしれないな。ここからミステアまではそんなに離れていないし。にしてもそんな大事な事はもっと早く本人の口から教えて欲しかったけどここに案内したという事はここで話すつもりなのだろう。

 「ただいま~」

 リオが家の門を開け中に入るのでそれについて行く。

 「広い~」
 「不思議な感じがします」
 「フフッ、確かにこの家の様式は他じゃ見慣れないかもね~」

 俺からすると別にそんなんでもないんだけどね~

 「あらお嬢様!お帰りになられたのですか?」
 「一年ぶりねばあや。父さんと母さんはいるかしら?」
 「は、はい……ですが今は……」

 どこか歯切れの悪い感じの表情だ。何かあったのだろうか。

 「話は二人から聞くから大丈夫よ。あっ、この人達は今の私の仲間達だから歓迎してあげて」
 「は、はい」

 そのままリオについていきリビングまで行く。するとリオのお父さんとお母さんらしき人がいた。

 「ただいま~」
 「り、リオか!」
 「一年ぶりね~というかどうしたの?」
 
 両親も共に深刻そうな顔でのお出迎えでリオも気になったのだろう。

 「い、今すぐこの街を離れなさい!」
 
 リオのお父さんらしき人は焦ったような表情でリオに言う。

 「今すぐって、今帰ってきたばかりなんだけど一体どういう事?」
 「あ~どうしてこのタイミングで……」

 リオのお母さんらしき人も嘆くような声を出す。一体何があったというのだ。

 「ちょっとちょっと~二人ともどうしたの?何か困りごとがあるなら聞くよ。ここにいるジンは大抵の事なら何とか出来ちゃうビックリ人間だからさ」
 
 自分で解決せんのかい~なんてツッコみたいところだが二人の表情を見るにかなり深刻なご様子だ。リオの家族だし、何か力になれそうなら当然助けるが一体何があったんだ。街の様子は別に変な感じはしなかったし。

 「あ、どうも。リオさんとパーティを組んでるジンです」
 
 俺に続いて三人も自己紹介をする。

「僕達に何とかできる問題であれば助けになります。リオさんの家族なら尚更です」
 
 すると二人は溜息を見せたままだ。まさか家族関連の問題なのか……それだと助けられう範囲がかなり限られてしまうよな。

 「申し遅れました私はリオの父親のカシアスです」
 「母親のフェイラです」
 「それで一体何があったのですか?」
 「今街ではとある問題を抱えてまして……だからリオは帰って来るべきではなかったのです……」

 カシアスは頭を抱えて悩んでいる。

 「とにかく今スグリオを街から連れ出してください!」
 「一体どういう……」

 その瞬間だった。玄関の方から大きな音が聞こえたのだ。

 「り、リオお嬢様お逃げください!」

 ばぁやの声が響くと大きな音を立てて見知らぬ人々が家の中に入ってきたのだ。

 「リオだな?」
 「あなたは確かポルトおじさん!?」
 「お願い!どうかこの子だけは……」

 リオの両親は急に土下座を始めた。

 「見苦しいぞ。これは決まっている事だ。リオが帰ってきた場合はリオを選ぶというのが決まったはずだ!」

 すると二人は泣き始め、男たちはリオを拘束しようとする。

 「インフィニティシールド!」
 「ぬおっ……壁が……」
 「随分と穏やかじゃないけど、俺の大事な仲間に手を出すようなら容赦しないよ!」

 軽く殺気をむき出しにするとそれに怖気づいたのか一歩下がる。

 「こ、これは決まった事だ……誰だってこんなのに選ばれるのは嫌に決まっている……それはお前達だってわかるだろう!」
 「一体どいう事?話が全然わからなくてイライラするんだけど!」

 シーラが痺れをきらしたらしい。さっきから一体何の騒ぎだって話だ。

 「シーラの言う通りよ。とにかく一旦みんな落ち着いて話してちょうだい」
 「実はこの街の北にある祠の封印が、半年前の大きな地震で解けたんだ……」
 「それで魔物は若い女の子を生贄に要求して……街の中で議論した結果……」
 「えっ……私……」

 折角街について休もうという時にまたこれか……どうやらまだ休めそうにないな。
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