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4章
84話:夜の密会
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王宮を抜け出し、迷宮の中に入り込む。この感じからして分身体の居場所は三百層か……一度回収し記憶を取り込んでから三百層に向かった。
「よっ!」
三百層にワープすると雪と美里が待っておりこちらに向かって抱き着いてくる。
「周平君!」
「ハハッ」
二人を受け止め、共にキスを交わしてから本題に入る。
「今分身体と合わさって記憶を共有したよ」
「という事はこの一月の間、分身体に話した事も頭に入った感じね」
「ああ……」
この一月の記憶の中で大事な事だけを抜粋していくと、まずは隷属の腕輪をハメさせられた事と、雪と美里がこの迷宮の夜こっそり行っているのがバレてしまったという事だ。当然今来るときは姿を隠したし、潜入したところも見られてはないが今後はより気を付けてここに来なければならないという事だ。一応ワープした時に、この三百層にワープするのを無効にして会っていたので俺と会っているのはバレていないらしい。
「まさか嶋田と木幡が付けていたとはな……」
「ごめんね周平君……」
雪が申し訳なさそうな顔をして謝るので頭を撫でて微笑む。
「気にするな、夜ここに来ている事に関してはバレるのは時間の問題だったからな」
この腕輪もそうだが監視が厳しくなっている。迷宮で秘密の特訓をしているって事で誤魔化したみたいだし、俺がいる時はワープも出来ない。俺と一緒にいるのが見られてなければ問題はない。
「うん……」
「まぁ何とか誤魔化したしまさか周平君と愛を育んでいるなんて向こうも思ってないだろうからさ」
美里はニヤニヤしながら言う。
「ハハッ、それで腕輪の方だが、分身体の方は本体が来てから対処をするという話になっていたみたいだし早速対処をしようか」
腕輪を破壊するのは簡単だが、破壊してはないのがバレてしまうからな。内部のみを破壊するのは難しいし、お守りでも渡しておくか。
「了解、どうするの?」
「こいつをそれぞれふたりに渡す」
俺が二人に渡したのは小さな白い宝玉の入ったお守りだ。
「わぁ綺麗だね」
「そうね。これは?」
「そいつは反呪の宝玉ってやつで簡単に言えば隷属の腕輪が発動した時にその効果を無効にしてくれる感じだな」
隷属の腕輪のメカニズムは魔術と呪術の融合。特に人を従わせるというのは呪術的な部分なわけだが、その部分に関してあの宝玉があればそれを無効にしてくれるという訳だ。
「なるほど、それなら無理やり従わせられる事はなさそうだね」
「ああ、本来ならすぐに外して二人を連れて行きたいが二人的にもまだそういう訳にはいかないだろうし、俺もここでやる事がるからな」
「わざわざ変装してここに来るぐらいだもんね」
美里がニヤニヤしながら言うと雪も続いて笑う。さっきの会話を思い出しでもしたのだろうか。
「あんまり笑わんでくれよ。一応あの姿であれば接触をしてもバレやしないだろうから、明日以降会える時間があれば会いにいくさ」
一応クラスメイト共の指導ぐらいはしてやってもいいだろう。俺達が百年前殲滅しきれなかったが故の勇者召喚だ。愚かにも俺を殺ろうとした奴を許す気はないが被害者である事は変わりない。
「うん!よろしくねシャーガーさん~」
雪がニヤニヤしながら言う。なんか名前でイジられてる恥ずかしいな。
「それで今回は何をしに来たの?」
「ああ、それはおいおい話すさ。クラスメイト達の解放と自由を与えようと思ってな」
勿論それだけではない。それはこの国の腐った中核を葬ったついでに過ぎない。下手に戦争を起こして潰すよりも出来上がってるモノを根こそぎ奪い取った方が楽だし、無駄な血も流れない。
「解放と自由ね~まぁ周平君が何するのか楽しみだね」
「ハハッ、それで二人はどのタイミングで離れたい?」
二人をクラスメイトから引き離す事もいずれはしないといけない事だ。だが二人もクラスメイトがある程度力をつけるのを見届けたいはずだ。
「そうだね……魔大陸の遠征には参加しないつもりだからそのタイミングで離れてもいいかなとは思ってるかな」
「途中でファラリス連邦に行って二組と合流なんて話もあるから陣君との再会を狙うかどうかってとこね」
美里の言う様に陣との再会は俺も早くしたいし、二人をそこまでクラスメイトに同行させて陣を連れ戻す考えもあるが、確実ではないからな。連邦で暴れて脱走したのが陣なら話は別だがな。
「美里の考えは一理あるが、確実ではない。あいつは俺の仲間で調査して探すさ」
「周平君がそう言うなら遠征の時点で別れるけど嶋田君や木幡あたりがどうなるかね……」
あの二人はそれぞれ雪と美里に好意を抱いているからな。美里に関しては木幡に告白されたみたいだしそう簡単に引き下がるとは思えんからな。
「そういえばそっちの問題もあったな。そこは上手く引き離せるように考えておくさ」
なるべく自然な流れで引き離すようなシチュエーションを見せて別れるようにすればいいな。考えておかねばいけないな。
「一応二人がまだクラスメイトを見ていたいというならそれを尊重したいけど本当に大丈夫?」
「うん!私は周平君といたいから……」
「私も!だからそこは大丈夫だよ」
二人の目は真剣で迷いはないようだ。これなら問題ないだろう。
「よっ!」
三百層にワープすると雪と美里が待っておりこちらに向かって抱き着いてくる。
「周平君!」
「ハハッ」
二人を受け止め、共にキスを交わしてから本題に入る。
「今分身体と合わさって記憶を共有したよ」
「という事はこの一月の間、分身体に話した事も頭に入った感じね」
「ああ……」
この一月の記憶の中で大事な事だけを抜粋していくと、まずは隷属の腕輪をハメさせられた事と、雪と美里がこの迷宮の夜こっそり行っているのがバレてしまったという事だ。当然今来るときは姿を隠したし、潜入したところも見られてはないが今後はより気を付けてここに来なければならないという事だ。一応ワープした時に、この三百層にワープするのを無効にして会っていたので俺と会っているのはバレていないらしい。
「まさか嶋田と木幡が付けていたとはな……」
「ごめんね周平君……」
雪が申し訳なさそうな顔をして謝るので頭を撫でて微笑む。
「気にするな、夜ここに来ている事に関してはバレるのは時間の問題だったからな」
この腕輪もそうだが監視が厳しくなっている。迷宮で秘密の特訓をしているって事で誤魔化したみたいだし、俺がいる時はワープも出来ない。俺と一緒にいるのが見られてなければ問題はない。
「うん……」
「まぁ何とか誤魔化したしまさか周平君と愛を育んでいるなんて向こうも思ってないだろうからさ」
美里はニヤニヤしながら言う。
「ハハッ、それで腕輪の方だが、分身体の方は本体が来てから対処をするという話になっていたみたいだし早速対処をしようか」
腕輪を破壊するのは簡単だが、破壊してはないのがバレてしまうからな。内部のみを破壊するのは難しいし、お守りでも渡しておくか。
「了解、どうするの?」
「こいつをそれぞれふたりに渡す」
俺が二人に渡したのは小さな白い宝玉の入ったお守りだ。
「わぁ綺麗だね」
「そうね。これは?」
「そいつは反呪の宝玉ってやつで簡単に言えば隷属の腕輪が発動した時にその効果を無効にしてくれる感じだな」
隷属の腕輪のメカニズムは魔術と呪術の融合。特に人を従わせるというのは呪術的な部分なわけだが、その部分に関してあの宝玉があればそれを無効にしてくれるという訳だ。
「なるほど、それなら無理やり従わせられる事はなさそうだね」
「ああ、本来ならすぐに外して二人を連れて行きたいが二人的にもまだそういう訳にはいかないだろうし、俺もここでやる事がるからな」
「わざわざ変装してここに来るぐらいだもんね」
美里がニヤニヤしながら言うと雪も続いて笑う。さっきの会話を思い出しでもしたのだろうか。
「あんまり笑わんでくれよ。一応あの姿であれば接触をしてもバレやしないだろうから、明日以降会える時間があれば会いにいくさ」
一応クラスメイト共の指導ぐらいはしてやってもいいだろう。俺達が百年前殲滅しきれなかったが故の勇者召喚だ。愚かにも俺を殺ろうとした奴を許す気はないが被害者である事は変わりない。
「うん!よろしくねシャーガーさん~」
雪がニヤニヤしながら言う。なんか名前でイジられてる恥ずかしいな。
「それで今回は何をしに来たの?」
「ああ、それはおいおい話すさ。クラスメイト達の解放と自由を与えようと思ってな」
勿論それだけではない。それはこの国の腐った中核を葬ったついでに過ぎない。下手に戦争を起こして潰すよりも出来上がってるモノを根こそぎ奪い取った方が楽だし、無駄な血も流れない。
「解放と自由ね~まぁ周平君が何するのか楽しみだね」
「ハハッ、それで二人はどのタイミングで離れたい?」
二人をクラスメイトから引き離す事もいずれはしないといけない事だ。だが二人もクラスメイトがある程度力をつけるのを見届けたいはずだ。
「そうだね……魔大陸の遠征には参加しないつもりだからそのタイミングで離れてもいいかなとは思ってるかな」
「途中でファラリス連邦に行って二組と合流なんて話もあるから陣君との再会を狙うかどうかってとこね」
美里の言う様に陣との再会は俺も早くしたいし、二人をそこまでクラスメイトに同行させて陣を連れ戻す考えもあるが、確実ではないからな。連邦で暴れて脱走したのが陣なら話は別だがな。
「美里の考えは一理あるが、確実ではない。あいつは俺の仲間で調査して探すさ」
「周平君がそう言うなら遠征の時点で別れるけど嶋田君や木幡あたりがどうなるかね……」
あの二人はそれぞれ雪と美里に好意を抱いているからな。美里に関しては木幡に告白されたみたいだしそう簡単に引き下がるとは思えんからな。
「そういえばそっちの問題もあったな。そこは上手く引き離せるように考えておくさ」
なるべく自然な流れで引き離すようなシチュエーションを見せて別れるようにすればいいな。考えておかねばいけないな。
「一応二人がまだクラスメイトを見ていたいというならそれを尊重したいけど本当に大丈夫?」
「うん!私は周平君といたいから……」
「私も!だからそこは大丈夫だよ」
二人の目は真剣で迷いはないようだ。これなら問題ないだろう。
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