リス獣人の溺愛物語

天羽

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【本編】5さい

7話 可愛い子リスsideラディアス

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僕の家系であるグラニード公爵家は代々王国騎士を務める家系で父であるカオン・グラニードも現在王国騎士団団長を務めていた。

勿論嫡男である僕、ラディアス・グラニードも3歳から剣術稽古や魔力操作、社交マナー、勉学に励んでいた。

今日は週2回行われる外部稽古という事で、公爵家領地から出て少し先にある稽古場まで馬車で行き、父の知人である冒険者の男……僕は師匠と呼んでいるが、師匠に稽古を付けてもらい、帰るところであった。

日々の稽古は父がつけてくれるのだが、父も師匠も違った厳しさがあり、そしてまた学ぶ事も多い。


(はぁ、帰ったら次は算術と歴史の授業か……)


今日の予定を考えると自然とため息が溢れる。

国を守る為にと父様は言うけれど、今の僕は正直実感が湧かない。
父様や母様、弟の事は好きだし、家に仕える侍従達の事も好きだ。

ただ、今の僕はまだ幼く、どちらかと言えば皆の世話になったり教えてもらったり、守ってもらうことの方が多い所為で、毎日の様に必死に剣を振るい、魔法を使う意味が分からないでいた。


揺れる馬車の中で憂鬱な気分で居ると、いきなり馬車が大きく揺れると共に、馬の鳴き声と、御者の男性の驚く様な声が響いた。

幼くても騎士団の家系である俺は瞬時に窓を開け、外を確認すると、前足を興奮した様子で蹴りあげる馬の真下に1匹の子リスが小さな体を守るように蹲っている姿を捉えた。


僕は一瞬の隙に風魔法を唱え、馬の着地場所を少しずらし、光魔法で子リスの周りにシールドをはる。
幼い故魔力はまだ弱く、直ぐに消えてしまうが馬を宥めるには十分だった。

直ぐに馬車から出た僕は一直線に子リスへと駆け寄った。

目の前に蹲る子リスは泥だらけでやせ細り、呼吸も乱れていた。

僕は子リスを自身の手に乗せて、家へ急ぐように御者に伝える。


馬車へと戻り、子リスの状態を再度確認すると、毛で覆われ分かりにくいが身体は腫れ、触ると肋が直ぐに分かるほど飢渇状態だった。

呼吸の荒さからして、きっと熱もあるのだろう。


とりあえず子リスについている泥や砂の汚れを落とそうと自身のタオルで拭こうとすると、不意に子リスに巻いてあるスカーフが目に入る。

その白いスカーフは子リスの汚れ具合とは反して、あまり汚れてはいなかった。

きっとすごく大切なもので、この子はスカーフを守りながら今日まで過ごしていたんだろうと思うと、僕はこの子リスに今まで感じたことの無い優しい感情が芽生えた気がした。


(もう大丈夫……僕が傍で守るから)


そう思いながら暫く撫でていると、ピクピクと可愛らしい丸い耳が動き、ゆっくりと小さな身体を起こした。



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