【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん

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第24話 謁見と、王子の願い

王都アルフェリアの中心にそびえる王宮――
 金と白の大理石が光を弾き、荘厳な静寂が門の内側を支配していた。

 その中を、レイナは静かに歩いていた。
 薬師局の制服の上に、王宮から貸与された薄衣を羽織って。

 ミリアとティノ、そしてシエラとガンじいも控えの間に待機している。

「……ああ、やっぱり緊張する」

 小さく息を吐いたレイナに、案内の侍女がそっと微笑んだ。

「どうぞ、王子殿下がお待ちです」

   ◇ ◇ ◇

 王宮・白の間。
 透き通るような静けさの中、王子――ラクリス=アルセリスはベッドの上にいた。

 けれどその顔色は、すでに青白さを脱している。
 レイナが調合した“回復香薬”と“草湯液”の効果は、確実に表れていた。

「姉上……」

「うん。来たよ、ラクリス」

 微笑み合うふたりの姿に、侍女や医師たちは目を見張った。

 “姉上”――
 ラクリスがそう呼んだことが、すでに“血の証明”だった。

「体調はどう? あのときの薬、ちゃんと効いてる?」

「もちろんです。あの薬は、ただ治しただけではありません。……私の心まで、温めてくれた」

 ラクリスの瞳には、まっすぐな光が宿っていた。

「姉上。私はお願いがあるのです」

「お願い……?」

 ラクリスは小さく頷いた。

「王宮直属の“薬師局”を、正式に設立してほしい。名目だけの組織ではなく、制度として認められる医療の柱として」

「……!」

「草を信じる人が、国に必要です。人を診て、癒し、支える力は、剣にも魔法にも勝る。私は、あの小さな局から、それを知りました」

 レイナは、ゆっくりと目を閉じた。

 今、王宮の奥深くで、血と想いが繋がった。
 そしてその先に、新しい国の形が見え始めた。

「……うん。やってみる」

 静かだけれど、はっきりとした返事だった。

   ◇ ◇ ◇

 面会を終えたレイナが戻ると、控え室で待っていたティノたちが駆け寄った。

「どうだった、謁見!」

「ねえ、王子さまってやっぱり王子さまだった?」

「うむ、顔つきがしっかりしておったわい。薬の効きがええ証拠じゃ」

 仲間たちの言葉に、レイナは微笑みながら答える。

「うん。……これから、本当の“薬師局”を作るよ」

 その言葉に、誰もが胸を張って頷いた。

 薬草の香りが、再び世界を変えようとしていた。
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