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【第2部】終章 結婚式
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「マーレット、入ってもいいだろうか」
控え室の外から、クレイン殿下が聞いてくる。
もうすぐ、私たちの結婚式が始まる。
私は、結婚式で着るドレスに着替えを済ましていた。
クレイン殿下が、舞踏会で着るようにと初めて私に贈ってくれた乳白色のドレスである。
王妃様からは、結婚式で着るためのドレスを新調するように言われたが、私がこのドレスを着たいと言ったのだ。
ただ、ティアラについては、王妃様が是非とも贈らせて欲しいと言われたので、私は王妃様からの申し出を受けることにした。
「お入り下さい、クレイン殿下」
私が返事をすると、クレイン殿下が部屋の中に入ってくる。
「マーレット、本当にそのドレスで良かったのか」
クレイン殿下は、直前まで新しいドレス贈りたいと私に言ってくれていた。
「クレイン殿下、このドレスは、クレイン殿下から最初に頂いた大切なドレスです。私は、このドレスを着て結婚式に出たいのです。わがままを言って、申し訳ありません」
私は、クレイン殿下に頭を下げる。
「いや、そう言う意味で言っているのではない。それに、私もそなたに貰ったペンダントを付けている」
クレイン殿下は、私が公国の市場で買ったペンダントを見せる。
「母上から、これを預かってきた」
クレイン殿下は、手に持った箱を私に手渡す。
「母上からの、マーレットへの結婚祝いだそうだ」
箱の中には、ティアラが入っていた。
そして、手紙が入っている。
手紙には、結婚式を挙げることへの祝いの言葉と、このティアラは王妃様が王太子妃となった時に、国王陛下から頂いたものであり、私に結婚式で付けてほしいと書いてあった。
この様な大切なものを貰うわけにはいかないと言う私に、クレイン殿下が言う。
「マーレット、母上は、マーレットだからこそ、このティアラを贈りたいと思ったのだと思う。もちろん、父上もだ。だからマーレット、母上たちの思いを受け取ってくれないか」
私は、王妃様や国王陛下のお気持ちが、とても嬉しかった。
「クレイン殿下、このティアラを私に付けてくれませんか」
私は、クレイン殿下に頭を下げ出す。
「マーレット、とても似合っている」
私にティアラを付けたクレイン殿下は、優しく微笑みながら言った。
私は、クレイン殿下の顔を見つめる。
「どうしたのだ、マーレット」
クレイン殿下が、優しく微笑みながら私に尋ねる。
「クレイン殿下と出会ってからの1年間、クレイン殿下は、いつも私に優しく微笑んでくれていたなと思い……」
クレイン殿下は、少し頬を赤くする。
「クレイン殿下、マーレット王太子妃様、そろそろお時間になります」
侍女が、私たちを呼びにきた。
「では行こうか、マーレット」
クレイン殿下は、私の手を取る。
「はい、クレイン殿下」
私たちは、式場へと向かって歩き始めた。
控え室の外から、クレイン殿下が聞いてくる。
もうすぐ、私たちの結婚式が始まる。
私は、結婚式で着るドレスに着替えを済ましていた。
クレイン殿下が、舞踏会で着るようにと初めて私に贈ってくれた乳白色のドレスである。
王妃様からは、結婚式で着るためのドレスを新調するように言われたが、私がこのドレスを着たいと言ったのだ。
ただ、ティアラについては、王妃様が是非とも贈らせて欲しいと言われたので、私は王妃様からの申し出を受けることにした。
「お入り下さい、クレイン殿下」
私が返事をすると、クレイン殿下が部屋の中に入ってくる。
「マーレット、本当にそのドレスで良かったのか」
クレイン殿下は、直前まで新しいドレス贈りたいと私に言ってくれていた。
「クレイン殿下、このドレスは、クレイン殿下から最初に頂いた大切なドレスです。私は、このドレスを着て結婚式に出たいのです。わがままを言って、申し訳ありません」
私は、クレイン殿下に頭を下げる。
「いや、そう言う意味で言っているのではない。それに、私もそなたに貰ったペンダントを付けている」
クレイン殿下は、私が公国の市場で買ったペンダントを見せる。
「母上から、これを預かってきた」
クレイン殿下は、手に持った箱を私に手渡す。
「母上からの、マーレットへの結婚祝いだそうだ」
箱の中には、ティアラが入っていた。
そして、手紙が入っている。
手紙には、結婚式を挙げることへの祝いの言葉と、このティアラは王妃様が王太子妃となった時に、国王陛下から頂いたものであり、私に結婚式で付けてほしいと書いてあった。
この様な大切なものを貰うわけにはいかないと言う私に、クレイン殿下が言う。
「マーレット、母上は、マーレットだからこそ、このティアラを贈りたいと思ったのだと思う。もちろん、父上もだ。だからマーレット、母上たちの思いを受け取ってくれないか」
私は、王妃様や国王陛下のお気持ちが、とても嬉しかった。
「クレイン殿下、このティアラを私に付けてくれませんか」
私は、クレイン殿下に頭を下げ出す。
「マーレット、とても似合っている」
私にティアラを付けたクレイン殿下は、優しく微笑みながら言った。
私は、クレイン殿下の顔を見つめる。
「どうしたのだ、マーレット」
クレイン殿下が、優しく微笑みながら私に尋ねる。
「クレイン殿下と出会ってからの1年間、クレイン殿下は、いつも私に優しく微笑んでくれていたなと思い……」
クレイン殿下は、少し頬を赤くする。
「クレイン殿下、マーレット王太子妃様、そろそろお時間になります」
侍女が、私たちを呼びにきた。
「では行こうか、マーレット」
クレイン殿下は、私の手を取る。
「はい、クレイン殿下」
私たちは、式場へと向かって歩き始めた。
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