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終章
15
しおりを挟む姉も同様で、私がいたらまだいいが、妹と母がいると絶対帰らない。
妹が姉の彼氏にちょっかいかけて、それがバレてひどい姉妹喧嘩に発展したからだ。
姉は母と妹以外の家族、お手伝いさん達と父と私にしか、付き合っている人の話をしない。
私の友人と妹が付き合うがどうのこうのと揉めていたのを知っていたから。
姉が結婚を考えている人がいるということで、実家に帰り、家族と顔合わせになった。
妹は初っ端から姉の婚約者にベタベタ甘えたり、姉の悪口を言ったりと、父と私やお手伝いさん達で止めていた。
しかし、こっそり姉の婚約者に連絡先を聞いてゲット、私の友人と同じ手口で、相談女になっていた。
そして頻繁にやりとりする仲に。
婚約者も身内になるかもしれないからと、連絡先を教えたのだろう。
ちなみにバレたのは、顔合わせから2ヶ月後。
妹が婚約者と一晩ともにした写真を姉に送りつけていた。
婚約者は真顔だが、妹は姉を挑発するかのように、舌を出していた。
顔合わせ以来、姉の婚約者に連絡せまったり、姉の悪口や自撮り画像をメールで送りつけては、いかに自分が可愛いかアピールしていた。
姉の婚約者は、メールを無視していたが、母が呼び出して、妹と結婚するように、デートするように迫ったから。
さもなければ、実家に嫌がらせすると。
彼の家は春の台から20分ほどある飛龍台の総合病院だ。
病院の院長の息子と結婚させるなら、母としては、姉より、猫かわいがりしている末娘の方がふさわしいと思ったのだろう。姉がいいとこに結婚されるのが気に入らないから。
院長夫人という箔を狙って。
母娘共々、他人のスターティスしか興味ないからこそできた。
姉はぶち切れる、母と妹は開き直って何が悪いとか、可愛いゆいちゃんの方がふさわしいと、姉はブスだから、他所と結婚した方がお似合いだと。
父はむちゃくちゃな言い分に思わず怒鳴る。
母・妹vs父・私・姉といつもの図式になってしまった。
まさか父も私も妹が姉の婚約者にちょっかいかけるまで、考えていなかった。さすがに母も唆すような真似をしないと思っていたが、甘かった。
しかも家の名前出して、婚約者を脅していたと。
婚約者とその家族を呼び出して、会議したが、母と妹は終始悪くないだ、姉じゃなくてゆいちゃんはどうかと勧めて、向こうの家族も引いていた。
妹と母に対して、冷たい視線を送り続けていた。
りょう兄の友達の次は、私の婚約者に手を出すとかね……呆れ通り越して怒りと憎しみしか沸かない。
私の対策不足と言えばそれまでだけど、なんでそんなことが平気でできるの?
末っ子だからお古嫌だって言って新しいもん好きなくせに、あんたは彼女や婚約者いる男性ばっか手だしてるとか、笑える。
どうせまたあんたがお母さんに泣きついて、お母さんが脅したんでしょ。
血は争えないってか? 蛙の子は蛙。瓜の蔓に茄子はならぬ。
婚約破棄した方がいいね。だって、仮に結婚したって、こんな義妹や義母がいるのは、せーちゃんにとその家族にとっても、リスクになるだろうし、トラブル起きるかもしれないし、下手すると、せーちゃんとこのお兄さんや弟さんも、関係者も狙われるかもしれないから。あの馬鹿妹と母に。
普段私のこと全く興味ないくせに、男の人連れてきたらこれだよ。
見た目やその人の職業やお金で判断するタイプだから。
婚約者も、脅されたのは事実とはいえ、姉を裏切ったことや軽率な行動であることは変わりないので、婚約破棄してください。慰謝料払います。
慰謝料支払うに家族は驚いていたが、婚約者は自分がやった罪の大きさを背負うためにも、姉に慰謝料支払いたいと頑なに変えなかった。
姉は母と妹にも請求したが、妹はまだ高校生であることから、母が300万支払って終了した。
この件を機に、姉はますます実家に寄らなくなり、本当に冠婚葬祭だけしか戻らなくなった。
妹の結婚式は渋々出たが、終わり次第すぐに帰った。
姉はかなり前に結婚して、夫は国会議員、高校1年の娘と2年の息子がいる。
夫が国会議員になったこともあり、姉が社長を引き継いでいる。
春の台から遠く離れた都会の高級住宅地に住んでいる。
もちろん母と妹は知らない。教えるなと釘をさされているからだ。
このことを知っているのは、私、父、そして従姉妹の望海ちゃんの家族。
この事実を知ったら母と妹は発狂するだろう。
姉の夫もその家族も、姉の経緯を聞いて、同情というか、最初からあの2人は身内として扱わなくていいと提案したそうな。
何かあれば弟である私にしてくれる。
今でも私と姉は付き合いがあるけど、深く関わっていない。ただ、妹と母の状況は多少知っといた方がいいと判断し、送っている。
妹が離婚されているのも知っているし、トラブルがさらにパワーアップしているのも。
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