光の街

「私に意思なんてないから」
そう言う君のことを僕は心底見下していた。
夜の街角、人がにぎわい、不思議な明かりが僕たちを導く。
「回りくどいことなんて言わないよ」
君の手をとって歩き出す。
もつれた君の肩を強く抱きしめた。

深く深く深く
遠く遠く遠く
薄れていく意識の中で、不意に君が放った言葉。
「やっぱりあなたは、かわいいね」

僕は初めて知ったよ、君は酒に強いらしいね。
じゃあたった数杯のカクテルで僕に抱かれた君はいったい。
いや、気付いていたのかもしれない。
それでもって僕は気付かないようにしていたんだ。

「夜におぼれて、朝には消える」。

君を形容した言葉。
愚かだな僕は愚かだ。

ああ、もう考えるのはやめよう。
君を強く抱きしめる。
「君は海だ」。
どこまでも広く、踏み入れるごとに戻れなくなる。
夜の海は僕の足を掴んで深く引きずり込む。
真っ暗で何も見えないよ。
でも、不思議とね怖くはないんだ。

僕の肩にうずめた君の笑顔はドラマには映らない。



寝ぼけ眼の朝、君は光の中へ。

24h.ポイント 0pt
0
小説 221,139 位 / 221,139件 恋愛 64,480 位 / 64,480件

あなたにおすすめの小説

私は不要とされた~一番近くにいたのは、誰だったのか~

ゆめ@マンドラゴラ
恋愛
彼の幼馴染は、いつも当然のように隣にいた。 「私が一番、彼のことを分かっている」 そう言い切る彼女の隣で、婚約者は何も言わない。 その沈黙が、すべての答えのように思えた。 だから私は、身を引いた。 ――はずだった。 一番近くにいたのは、本当に彼女だったのか。 「不要とされた」シリーズ第三弾。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

『最後に名前を呼ばれた日、私はもう妻じゃなかった』

まさき
恋愛
「おい」「なあ」 それが、夫が私を呼ぶときの言葉だった。 名前を呼ばれなくなって三年。 私は、誰かの妻ではあっても、もう“私”ではなかった。 気づかないふりをして、耐えて、慣れて、 それでも心は、少しずつ削れていった。 ——だから、決めた。 この結婚を、終わらせると。 最後の日、彼は初めて私の名前を呼ぶ。 でも、その声は、もう届かない。

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

愛を知った私は、もう二度と跪きません

阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。 家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。 「呪われた男にでも喰われてこい」 そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。 彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。 その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。 「エカテリーナ様、どうかお助けを!」 かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。

《完結》氷の侯爵令息 あなたが子供はいらないと言ったから

ヴァンドール
恋愛
氷の侯爵令息と言われたアラン。彼は結婚相手の伯爵令嬢にとにかく冷たい態度で接する。 彼女は義姉イライザから夫が子供はいらないと言ったと聞き、衝撃を受けるが気持ちを切り替え生きていく。

片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた

アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。 高校生くらいから何十回も告白した。 全て「好きなの」 「ごめん、断る」 その繰り返しだった。 だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。 紛らわしいと思う。 彼に好きな人がいるわけではない。 まだそれなら諦めがつく。 彼はカイル=クレシア23歳 イケメンでモテる。 私はアリア=ナターシャ20歳 普通で人には可愛い方だと言われた。 そんなある日 私が20歳になった時だった。 両親が見合い話を持ってきた。 最後の告白をしようと思った。 ダメなら見合いをすると言った。 その見合い相手に溺愛される。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。