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事例3 正面突破の解放軍【事件篇】
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まだ話が見えていないであろう尾崎に教えてやると、尾崎は合点がいったかのように手の平を叩く。正直、これは由々しき事態だった。現時点でさえ、システム面に細工をされ、メインとなる出入り口が封鎖されているというのに、さらに電気まで落とされてしまうと目も当てられなくなる。もし電気室が解放軍の支配下におかれてしまったら、ここから脱出することが完全に不可能となってしまうのだ。電気制御がメインのアンダープリズンだからこその弱点である。
「なるほど――。でも、ここの電気の制御くらいなら、わざわざエンジニアを連れてくる必要もないんじゃないっすか? 大きなブレーカーを落とすだけみたいな感覚だろうし、誰にでもできそうっす」
まだ桜とゴリラは部屋から出てこない。縁達は息を殺したまま、じっと無人の廊下を見つめる。
「確かに、電気室だけに用事があるのならば、桜さんを同行させる必要はありませんね。基本的にそのような部分は、誰にでも扱えるように作られているでしょうから」
尾崎の言うように、大きなブレーカーを落とすというのは、やや極端な表現になってしまうが、恐らく電気そのものの制御については、専門的な知識がなくとも、誰にでも操作できるように作られているはずだ。この地下において電気は必要不可欠のライフライン。いざとなった時にエンジニアしか扱えないようでは困る。
「まず他にも用事があると考えたほうがいいだろうなぁ。エンジニアを引き連れてんだ。もっとシステムの根幹的な部分に奴らの目的はあるはずだ――」
坂田がぽつりと呟いた瞬間だった。かすかなノイズが入ったかと思ったら、辺り一帯にチャイムが鳴り響く。終業のチャイムであり、今は楠木達との集合の合図でもある。探索の終盤で桜達を見つけてしまったせいもあるのだろうが、そもそも設定された時間が短いのかもしれない。こんな中途半端なタイミングで離れるわけにはいかないし、どうやら集合には遅れてしまいそうだ。
「……えっ?」
チャイムが鳴り終わり、桜達が電気室から出てくるのをいまだに待ち続けていた縁は、ある事柄に気付いて思わず声を上げた。
「どうしたっすか?」
尾崎が問うてくるが、それに被せるようにして、坂田が意味深な言葉を吐く。
「女……お前も気付いたみたいだなぁ。だが、実はおかしくなり始めたのは、もっと前の段階だったりすんだよなぁ。妙だとは思っていたが、何かしらの意味がありそうだ」
またしても置いてきぼりは尾崎である。その様子から察するに、彼は全く気付いていないようだった。
「なるほど――。でも、ここの電気の制御くらいなら、わざわざエンジニアを連れてくる必要もないんじゃないっすか? 大きなブレーカーを落とすだけみたいな感覚だろうし、誰にでもできそうっす」
まだ桜とゴリラは部屋から出てこない。縁達は息を殺したまま、じっと無人の廊下を見つめる。
「確かに、電気室だけに用事があるのならば、桜さんを同行させる必要はありませんね。基本的にそのような部分は、誰にでも扱えるように作られているでしょうから」
尾崎の言うように、大きなブレーカーを落とすというのは、やや極端な表現になってしまうが、恐らく電気そのものの制御については、専門的な知識がなくとも、誰にでも操作できるように作られているはずだ。この地下において電気は必要不可欠のライフライン。いざとなった時にエンジニアしか扱えないようでは困る。
「まず他にも用事があると考えたほうがいいだろうなぁ。エンジニアを引き連れてんだ。もっとシステムの根幹的な部分に奴らの目的はあるはずだ――」
坂田がぽつりと呟いた瞬間だった。かすかなノイズが入ったかと思ったら、辺り一帯にチャイムが鳴り響く。終業のチャイムであり、今は楠木達との集合の合図でもある。探索の終盤で桜達を見つけてしまったせいもあるのだろうが、そもそも設定された時間が短いのかもしれない。こんな中途半端なタイミングで離れるわけにはいかないし、どうやら集合には遅れてしまいそうだ。
「……えっ?」
チャイムが鳴り終わり、桜達が電気室から出てくるのをいまだに待ち続けていた縁は、ある事柄に気付いて思わず声を上げた。
「どうしたっすか?」
尾崎が問うてくるが、それに被せるようにして、坂田が意味深な言葉を吐く。
「女……お前も気付いたみたいだなぁ。だが、実はおかしくなり始めたのは、もっと前の段階だったりすんだよなぁ。妙だとは思っていたが、何かしらの意味がありそうだ」
またしても置いてきぼりは尾崎である。その様子から察するに、彼は全く気付いていないようだった。
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