猫屋敷古物商店の事件台帳

鬼霧宗作

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査定2 惨殺アイちゃん参上【問題編】

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 愛に案内されて図書室へと到着。扉を開けるなり、本の独特な香りが鼻をついた。図書室は窓ガラスが広く、開放的なデザインである。広さもそこそこあり、本棚の数も多い。そんな図書室のカウンターに人影が見えた。

「あ、相崎さん。待った?」

 カウンターにいたのは、眼鏡をかけた地味めな女子だった。愛みたいなタイプが光だとすれば、明らかに闇のポジションだ。普段、学校では闇属性でいるつもりの千早は、カウンターで本の整理をしている彼女が他人には思えなかった。

「まだ委員会の仕事が終わってないから心配しないで――。みんな、私に仕事押し付けて帰っちゃうし」

 どうやら委員会の仕事を押し付けられたようだ。それはもしかすると根底に【惨殺アイちゃん】の件が絡んでいるのかもしれない。愛の話によると、本の整理をしている彼女――相崎さんのほうが、よほど【惨殺アイちゃん】の一件で酷い目に遭っているようだし。

「手伝おうか?」

 愛はそう言って手伝いを始める。本の整理などの作業は、千早も仕事柄慣れている。愛の後についてカウンターに向かうと「ご指示をいただければ」と指示を仰ぐ千早。どこの誰かも分からないであろう千早の進言に、眼鏡の女子はやや戸惑った様子を見せる。愛が「さっさと終わらせちゃおう?」と促し、そして手分けをして本の分別作業が始まった。思いのほか仕事がはかどり、あっという間に本の分別作業は終了。

「ありがとう。あの事件のせいで、なんでもかんでも損な役回りをやらされてキツイよ。なんか学校に来なくなったら、それはそれで負けたような気がして嫌だけど」

 失礼な話になるが、外見だけを見ると弱々しそうで、眼鏡をかけたいかにもガリ勉といったタイプにしか見えない彼女。しかし、その意思は外見とは違って強く、またしっかりとしているように思える。もしかすると、彼女もまた千早と同じく、あえて闇の者となっているタイプなのかもしれない。

「もう心配しないでいいよ。前にメールで話をしていた子に来てもらったから」

 愛はそう言うと、千早の頭をポンポンと叩く。悔しきかな、圧倒的な身長差。

「あ、事件を解決してくれるっていう――どうか、よろしくお願いします」

 愛からどのような形で千早のことが伝わっているのかは分からないが、相崎さん――もとい、美穂は丁寧に頭を下げる。千早も頭を下げると「査定のためにいくつかお聞きしたいことがございますので、ご協力をお願いいたします」と切り出す。詳しいことは聞かされていないのか「査定?」と美穂が首を傾げ、そこに「話すと長くなるから気にしないで」と愛がフォローを入れた。
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