糾弾ホームルーム！ ―ぼくたち、わたしたちの主張―

＃2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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　ゲームはあっさりと始まってしまった。それこそ流れ作業であるかのごとく、姫乙の一言で始まってしまったのだ。本当に【デスナンバー】を踏んだら殺されてしまうのか――疑ってしまうほど軽い感じのスタート宣言だった。もっとも、安藤達に向けられている小銃は決して偽物ではない。引き金を絞れば本物の銃弾が飛ぶ。

「ど、どうする？　ここは無難に【１】だけを宣言して様子を見るかい？」

　小宮山が銃口を気にしながら口を開く。この【不定数ナンバーコール】というゲームは、その【デスナンバー】を任意に設定されてしまうため、基本的に牛歩作戦――つまり、ひとつのナンバーのみを宣言するのがもっとも安全となる。単純に考えて【１】～【10】のうち【１】【２】【３】と宣言するよりも【１】【２】と宣言したほうが安全だし、さらに【１】のみを宣言したほうが【デスナンバー】を踏んでしまう確率は下がるわけだ。だから、とりあえず【１】のみを宣言するのが無難――。小宮山の言い分は理解できるのであるが、しかしこの時の安藤の考えは違っていた。

「いえ、ここは【１】【２】【３】を宣言しての【アントニオ】狙いで行ったほうがいいわ。むしろ出し惜しみすると後悔することになる」

　どうやら、芽衣も安藤と同じ考えのようだ。この状況でトップバッターになれたのはラッキーだったとしか言いようがない。だからこそ、ここは【１】【２】【３】の【アントニオ】狙いで間違いないのだ。

「えー？　３つもナンバーを宣言して大丈夫？　どの数字が【デスナンバー】なのか分からないんだしぃ、小出しにしたほうがいいんじゃね？」

　真綾はどちらかと言えば小宮山寄りの考えをしているようだ。ただ、ここは確信して言える場面なのである。アベンジャーこと【ナンバーキーパー】の立場になれば、自ずと見えてくるはずなのだ。

「まず【ナンバーキーパー】の気持ちになって考えてみるんだ。もし自分が【ナンバーキーパー】だったとしたら、どの数字を【デスナンバー】に指定するかを考えてみるんだよ」

　ちょっと前までなら、真綾に対してこれほど自然に話しかけることはできなかったと思う。ただ、前回の【糾弾ホームルーム】での実績があるからか、なんとなく真綾が歩み寄ってくれているような気がするのである。もっと具体的に言うと、彼女から信頼されているようなのである。

「とにかく説明は後よ。あまりタイムロスはしたくないから宣言してしまいましょう。星野崎君もそれでいいわね？」