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#1 毒殺における最低限の憶測【プロローグ】

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「ではぁ、すでに説明しておいた通りぃ、これより諸君らには【 糾弾きゅうだんホームルーム】を行なっていただきますぅ。これも説明不要でしょうが、実に7人ものクラスメイトを殺害したアベンジャーは、当然ながら諸君らの中にいるということになりますぅ。つーまーりぃ、これから行う【糾弾ホームルーム】は、アベンジャーが誰なのかを議論することを目的としているのですよぉ」

 最初は何かの冗談ではないかと思っていた。仮に姫乙の言っていることが事実であっても、本当にクラスメイトを殺してしまうアベンジャーが出るなんて思いもしなかったのである。――覚悟しなければならない。そして、受け入れなければならない。これが現実であり、冗談でもなんでもないことを。

「制限時間はきっかり1時間。言うまでもありませんがぁ、諸君らには充分な材料を与えますぅ。ゆえにぃ、議論が行き詰まるということはない。正しく議論を繰り返せばぁ、必ずや真相にたどり着けるはずですぅ」

 姫乙はそこで言葉を切ると、手をパンパンと叩いた。それがやけに教室へと響き、まるで耳鳴りであるかのように残響と化した。

「ホームルームの進め方は諸君らの自由。とにもかくにもぉ、1時間後に結論をひとつ出していただくぅ。すなわちぃ、アベンジャーは誰なのか。諸君らで力を合わせて答えを導き出して下さいぃ。まぁ、その中にぃ、アベンジャーも混じっているわけですがぁぁ」

 このクラスの中にはアベンジャーという特殊な役割を与えられた人物がいる。そのアベンジャーは、すでに事前の調査で選出されており、選ばれた本人は自身がアベンジャーであることを知らされている。そして、安藤達の日常を壊した法案――超法規措置『正当復讐法』とやらによると、アベンジャーに選ばれた者は……限定的な範囲においての復讐が合法として認められ、そして罪に問われない。頭のネジがぶっ飛んだ法案であり、国民には非公開で話が進められたらしいが、そんな細かいこと、安藤達にはどうでも良かった。自分達のクラスが、その超法規措置『正当復讐法』のモデルケースとして選ばれたこと自体が問題なのである。

「なぜにぃ【糾弾ホームルーム】なる話し合いの場を設けるのかぁ。細けぇこたぁ気にするなぁ。ただ、強いて言うのであれば、これは諸君らに対する救い――ゆるしなのですぅ」
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