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12. 初日の夜
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「そう、校長と……学年主任かぁ」
ヴィヴィアンヌはふっと息を吐いた。
「良し、とりあえず今から校長の家に行くよ。学年主任がいない方が話をしやすいしね」
ヴィヴィアンヌは念入りに装いを改めた。深く胸が見える者のデコルテ部分はレースでおおわれた黒い装いに。レイラは子供らしいワンピースに。装っている間に校長の家には魔女ヴィヴィアンヌとしての先触れを出してある。
「夜分にすまないね」
いつもより艶やかなヴィヴィアンヌが校長の前に出る。
「いえ、いつもお美しい」
校長は少年のように上気した頬でヴィヴィアンヌとレイラを迎えた。
「レイラの属性の事を話に来た」
「師匠が貴方なら何があっても驚きませんよ」
校長は先ほどの校長室の様子よりもずっと好意的であった。先ほどは面倒くさそうだったなとレイラは思いながら大人しく師匠の後ろに控えていた。
「ま、シルヴィが私をこの子につけたのもまさにそう言う事だったからね」
乳児の頃は全く魔力コントロールが出来なかったので聖属性の癒しの力を周り全体に振りまいていた事、亡くなるまではシルヴィが魔力を抑え遊びの中で魔力コントロールを教えていた事。シルヴィが亡くなりヴィヴィアンヌがそれを受け持った事を話す。
「この子が全属性なのはわかってたけど、ドゥエスタンの父親から逃がすために土属性って事に領地の教会と連携を取ってた。教会はこの子が聖属性を持っているのは知ってる。ただあの父親付きだとねぇ。……教会にレイラを預ける代わりに大金をねだったからね。レイラが2才の頃の話さ。それでシルヴィとクリス、そして私でレイラの保護をしたわけさ。ただ怪しまれないように……あいつらの思い通りのさせた部分もある。今の聖女候補の子は見たところ水属性の癒しの力を持っているようだし係累はない、後援が教会に金を出すってことであちらの方が教会の都合が良いらしい。……ここ数代、ライン公爵家絡みの聖女ばかりだったからね。それもあってレイラを隠匿させてもらってた」
レイラとしても知ってる事も知らない事もあった。があの父親が教会に金をたかるという事は予想の範囲内の話であった。
「この子はそこそこ出来は良いのでちゃんと育ててやって欲しい。贔屓もしなくていい。……そうだね、以前からあった話を勧めてもいい。中等部と高等部の魔法学の講師を引き受けても良いよ。レイラもいるし、ルシアもいるからね。この二人のうちどちらかが学生の間は講師でいようかね」
「本当に良いんですか?」
校長は嬉しそうだ。王宮にすら従わない魔女ヴィヴィアンヌが講師を引き受けた、それだけで校長の評価は上がる。
「良い。ただし……場合によっては学年主任は泣いてもらうかもしれない。それと当初は正体を明らかにしないでほしい。ライン公爵家の所縁の魔法使いという説明で頼むよ」
校長はカクカクと頷いた。
帰りの馬車でもレイラは黙っていた。なにか話す事があるならヴィヴィアンヌから話すはずと思っていたのだ。
「……学年主任をどうしようかね」
レイラはくすりと笑って告げる。
「担任が少々口が軽くて一言多い性質だから彼から情報を得るべきでは?」
「子供に対しては無防備でも対大人になるとというか良く知りあわないうちは用心深い人間は結構いるもんだよ。……貴方の担任はそのタイプではない気はするけどね」
ヴィヴィアンヌもおどけて笑った。
ヴィヴィアンヌはふっと息を吐いた。
「良し、とりあえず今から校長の家に行くよ。学年主任がいない方が話をしやすいしね」
ヴィヴィアンヌは念入りに装いを改めた。深く胸が見える者のデコルテ部分はレースでおおわれた黒い装いに。レイラは子供らしいワンピースに。装っている間に校長の家には魔女ヴィヴィアンヌとしての先触れを出してある。
「夜分にすまないね」
いつもより艶やかなヴィヴィアンヌが校長の前に出る。
「いえ、いつもお美しい」
校長は少年のように上気した頬でヴィヴィアンヌとレイラを迎えた。
「レイラの属性の事を話に来た」
「師匠が貴方なら何があっても驚きませんよ」
校長は先ほどの校長室の様子よりもずっと好意的であった。先ほどは面倒くさそうだったなとレイラは思いながら大人しく師匠の後ろに控えていた。
「ま、シルヴィが私をこの子につけたのもまさにそう言う事だったからね」
乳児の頃は全く魔力コントロールが出来なかったので聖属性の癒しの力を周り全体に振りまいていた事、亡くなるまではシルヴィが魔力を抑え遊びの中で魔力コントロールを教えていた事。シルヴィが亡くなりヴィヴィアンヌがそれを受け持った事を話す。
「この子が全属性なのはわかってたけど、ドゥエスタンの父親から逃がすために土属性って事に領地の教会と連携を取ってた。教会はこの子が聖属性を持っているのは知ってる。ただあの父親付きだとねぇ。……教会にレイラを預ける代わりに大金をねだったからね。レイラが2才の頃の話さ。それでシルヴィとクリス、そして私でレイラの保護をしたわけさ。ただ怪しまれないように……あいつらの思い通りのさせた部分もある。今の聖女候補の子は見たところ水属性の癒しの力を持っているようだし係累はない、後援が教会に金を出すってことであちらの方が教会の都合が良いらしい。……ここ数代、ライン公爵家絡みの聖女ばかりだったからね。それもあってレイラを隠匿させてもらってた」
レイラとしても知ってる事も知らない事もあった。があの父親が教会に金をたかるという事は予想の範囲内の話であった。
「この子はそこそこ出来は良いのでちゃんと育ててやって欲しい。贔屓もしなくていい。……そうだね、以前からあった話を勧めてもいい。中等部と高等部の魔法学の講師を引き受けても良いよ。レイラもいるし、ルシアもいるからね。この二人のうちどちらかが学生の間は講師でいようかね」
「本当に良いんですか?」
校長は嬉しそうだ。王宮にすら従わない魔女ヴィヴィアンヌが講師を引き受けた、それだけで校長の評価は上がる。
「良い。ただし……場合によっては学年主任は泣いてもらうかもしれない。それと当初は正体を明らかにしないでほしい。ライン公爵家の所縁の魔法使いという説明で頼むよ」
校長はカクカクと頷いた。
帰りの馬車でもレイラは黙っていた。なにか話す事があるならヴィヴィアンヌから話すはずと思っていたのだ。
「……学年主任をどうしようかね」
レイラはくすりと笑って告げる。
「担任が少々口が軽くて一言多い性質だから彼から情報を得るべきでは?」
「子供に対しては無防備でも対大人になるとというか良く知りあわないうちは用心深い人間は結構いるもんだよ。……貴方の担任はそのタイプではない気はするけどね」
ヴィヴィアンヌもおどけて笑った。
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