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ラベンダーの君
学生時代の憧れ
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「俺はさ、香水斗さんを追い掛けて入社したんだ。学生時代から憧れの先輩で皆の憧れ。それなのになんだよこの匂い!!」
「ヒィッツ……!」
藤さんが急に立ち上がり僕の胸ぐらを掴んで壁に押しつける。壁に強く後頭部を打ちつけ目の前の視界が軽く歪んだ。
「す、すみませ「謝らなくていいから次の人事考課で部署異動書けよ。いいな」
低く威嚇する声で言われたら頷くしかない。その間にも胸ぐらを掴む力は緩まなくて喉仏が潰れそうだった。
「は、はい……」
後で後悔するのも分かっていた。だけど、この場で断れるはずもない。胸ぐらを開放されスーツを整える。情けないことに自分の手は恐怖で震えていた。その様子を見て藤さんは満足げに笑みを浮かべる。
「ならもう案内しなくていいよな。一年もいない存在なんだから」
そう言われて誰かに頭を殴られたような感覚がした。だんだん胸が苦しくなってきて調香場から出ようとすれば藤さんに引き留められる。
「あ、出て行く前にちょっと来い」
「はい……」
手招きをされて藤さんに近づく。藤さんは白衣のポッケから小さな小瓶を取りだしたかと思えば、シュッと液体を僕に振りかけた。
「うっ……」
「感謝しろよな、俺の新作を体で味わえるんだから」
鼻へ透き通るようにラベンダーの匂いが入り込んでくる。香水斗の香水の匂いは上書きされラベンダーの花畑に包まれた。
「ヒィッツ……!」
藤さんが急に立ち上がり僕の胸ぐらを掴んで壁に押しつける。壁に強く後頭部を打ちつけ目の前の視界が軽く歪んだ。
「す、すみませ「謝らなくていいから次の人事考課で部署異動書けよ。いいな」
低く威嚇する声で言われたら頷くしかない。その間にも胸ぐらを掴む力は緩まなくて喉仏が潰れそうだった。
「は、はい……」
後で後悔するのも分かっていた。だけど、この場で断れるはずもない。胸ぐらを開放されスーツを整える。情けないことに自分の手は恐怖で震えていた。その様子を見て藤さんは満足げに笑みを浮かべる。
「ならもう案内しなくていいよな。一年もいない存在なんだから」
そう言われて誰かに頭を殴られたような感覚がした。だんだん胸が苦しくなってきて調香場から出ようとすれば藤さんに引き留められる。
「あ、出て行く前にちょっと来い」
「はい……」
手招きをされて藤さんに近づく。藤さんは白衣のポッケから小さな小瓶を取りだしたかと思えば、シュッと液体を僕に振りかけた。
「うっ……」
「感謝しろよな、俺の新作を体で味わえるんだから」
鼻へ透き通るようにラベンダーの匂いが入り込んでくる。香水斗の香水の匂いは上書きされラベンダーの花畑に包まれた。
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