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温泉ソムリエ
酒の肴
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「で、他にどんな効果があるんだ?」
「おい、香水斗。もういいだろ……!」
まだ香水斗は僕の腕を触っている。僕の腕を離す気はないようだ。
「他はじゃなぁ。硫酸塩に含まれるナトリウム成分による保湿効果で身体が温まるんやわあ。痛みを和らげる鎮静作用もあるんじゃなあ」
湯布院さんは香水斗の行動に嫌悪感は感じないようだ。酒の肴みたいに僕たちを見ている。茶化すこともなく、淡々と観察しているような珍しい感覚だ。
「そういやあ、お名前ぅ聞いちょらんやったね」
湯布院さんは僕に優しく微笑んだ。
「僕は志野啓明と言います。こっちは佐藤香水斗です。僕と香水斗は小学校の同級生なんです」
僕は香水斗から少し離れる。自己紹介ぐらい大人しくしてほしい。
「同級生なんじゃなあ。どうりで仲がいいち思うたちゃ」
「わっ……!」
湯布院さんまで僕の身体を触ってきた。
「え、え?」
突然、触られると身体は固まってしまう。服越しではなく直接ならばなおさらだ。温泉に入って温かいはずなのに、鳥肌が立った。
「おい」
香水斗は湯布院さんの手首を掴む。かなり力が入っているのか腕に血管が浮いていた。
「おい、香水斗。もういいだろ……!」
まだ香水斗は僕の腕を触っている。僕の腕を離す気はないようだ。
「他はじゃなぁ。硫酸塩に含まれるナトリウム成分による保湿効果で身体が温まるんやわあ。痛みを和らげる鎮静作用もあるんじゃなあ」
湯布院さんは香水斗の行動に嫌悪感は感じないようだ。酒の肴みたいに僕たちを見ている。茶化すこともなく、淡々と観察しているような珍しい感覚だ。
「そういやあ、お名前ぅ聞いちょらんやったね」
湯布院さんは僕に優しく微笑んだ。
「僕は志野啓明と言います。こっちは佐藤香水斗です。僕と香水斗は小学校の同級生なんです」
僕は香水斗から少し離れる。自己紹介ぐらい大人しくしてほしい。
「同級生なんじゃなあ。どうりで仲がいいち思うたちゃ」
「わっ……!」
湯布院さんまで僕の身体を触ってきた。
「え、え?」
突然、触られると身体は固まってしまう。服越しではなく直接ならばなおさらだ。温泉に入って温かいはずなのに、鳥肌が立った。
「おい」
香水斗は湯布院さんの手首を掴む。かなり力が入っているのか腕に血管が浮いていた。
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