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20※、愛の重さ

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「ひっ、やだぁ! あ! もうダメ! も、イきたくなっ、やあああ!」


  ジェルと精液の混じったジュポジュポとした卑猥な音と、腰骨を当てるようなパンッパンッとした音が部屋の中で響き渡っていた。

  シュリは口端から唾液を垂らし、生理的な涙を流しただらしない顔で喘ぎ声を上げていた。

  シュリの性器からはもう何も出てこない。さっきまでは精液やら水のようなものがトロトロと垂れていたのだが、何も出なくなってからはずっと中イキを繰り返して、シュリはメスと化して身体をビクつかせていた。


「あ゛っ! やあ! あっ、あっ、ああ゛!もうやだぁ!」

「シュリ、私にメリットを感じさせてくれないと。もっと頑張れるよね?」

「ひぃ! やだ!またイッちゃう!やぁあああ!」


「シュリは男だし、多少無理も利くのが良いよね。いくらヤっても子供は出来ないからいつでも出来る。その上シュリはだらしない顔になってもこんなに可愛くて、とってもエロい。すごいよ、メリットしかない」


  ニッコリと神の如く微笑むが目が全く笑ってないメアは後ろからの繰り返す抽挿に、シュリの頭は暴力のような快感に襲われる。

  イヤと言ってもダメと言っても聞いてもらえず、イキ過ぎて上手く力の入らないまともに抵抗は出来るはずもなかった。
  緩くフルフルと首を振ってもメアは優しく微笑まれるだけで大した主張にもなっていない。


「め、あ!おねが!いっ、もう、許し……!ああ!」

「許す? 何を。私は何も怒ってないよ。ただ悲しいだけだ。私なりに伝えていたことが、シュリには何にも伝わってなかった事が。慈悲ってどういうことかな。私がシュリに情けをかけたとでも?」

「ひぃ! あっ、あ゛っ! めあ!めっ、あああ!も、無理、助け、てぇ!」

「情けが欲しいのだろう。シュリが欲しがってるのはこの慈悲ではないのか? それとも何か他のもの? 」


  冷えた声で後孔を責め立てることは止めず、結合部は泡立つ程に激しく抜き差しされて中を抉るように凶器を突き立てている。


「ひ、またイク、イっちゃう、だめ、やだっ!あ、あああ!」

「シュリ?聞いてるかい?ああ……あんまり聞こえてないね。ホント可愛いね、シュリは……」


  メアはうっとりと蕩けるような微笑みを魅せつつも、全てを喰らい尽くすような獰猛な獣のような蹂躙をし続けた。





□■□





「う゛う゛……」


  枯れた声に腰の痛みとだるい身体。目が覚めた後から感じる体の軋みにシュリはベッドの上に長座して唸った。


「ほら、シュリ。あーん」

「め、メア……」

「シュリ?」

「ううう……」


  シュリの前に差し出されるすりおろした林檎に渋々口を開ける。
  メアは神々しく光のオーラを纏いながらニコニコと嬉しそうにスプーンをシュリに向けている。


「これを食べたらサインしてもらうから」


  婚姻届をヒラヒラとシュリの目の前に見せつける。


「シュリの家はもういつでも婚姻してくれて構わないと返事は貰ってあるから気兼ねなくサインしていいよ。ちなみに証人は私の父とシュリの父だ」


  メアは「もうシュリの父上のサインもあるから安心してね」と微笑むが、シュリの外堀は完全に埋められていたので全く安心できないような気がした。


「ここの家督を次ぐのはもう少し後だから、それまでは私の所有する別の家に住むからね。もちろんシュリを連れてくことは君の兄、ニコラス殿に了承頂いてるよ」

「あ、兄上……!」


  いつ了承を取ったのか謎すぎる仕事の速さに若干の怯えを感じた。


「使用人は居るけど、二人きりの生活が楽しみだね。シュリもそう思うだろう?」

「う、ぐ……」


  神々しく微笑むメアを見て、嬉しさを噛み締めつつも、ここで楽しみだし嬉しいと言ったら何故か負けた気がする。

  シュリに決定権は既にない。

  いや、神に逆らうなどありはしない。骨の髄まで歯向かってはならないと言われている感覚に陥っていた。

  快楽に溺れ覚え込まされ刻みつけられたメアの想いが、純粋な愛というには重い気がしてならない。


  そう、重い。 言葉で表すならこの愛はシュリにはとても重かった。


「シュリ?何か余計なこと考えてる? ほら、私の方を見て」

「メア……っ、く、顔が良い……!」


  そしてメアは気づいたのだ。

  シュリを丸め込ませるのは、自分の顔を使うのが1番であることに。

  使えるものは何でも使うことに決めた。


「シュリが元気になったら引っ越そうね。2日後くらいかな」

「早すぎません?! 僕それじゃ何にも用意できない…っ」

「用意?要らないよ、全部こっちで準備するから。シュリはそのまま私の家に来るだけで良いし、家に帰す気なんてサラサラないからね。ああ、しばらく仕事も行かせないから。分かった?」

「ひゅ……っ」


  ピカーッと音がしそうなほどの後光と共に微笑まれても、言われていることは結構エグい。

  世間ではそれは拉致監禁と言うのではなかろうか、とシュリは思ったのだった。
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