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第3章
第5話(胚移植の結果)
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移植から10 日後、桜空と遠夢は一緒に望妊治療センターを訪れた。採血検査で絨毛性・性腺刺激ホルモンhCGが調べられる。
『着床している』という結果に二人は手を取りあって喜んだ。1週間後の超音波検査で胎嚢も確認でき妊娠5週で、次からは妊娠出産センターを受診するように言われた。
その後、少量出血を認めた桜空は直ぐに妊娠出産センターを受診した。切迫流産 と診断され治療を始めた。出血は止まり下腹痛もないが、妊娠7週になっても児心拍 が確認できない。
医師「残念ですが、今回の妊娠は継続できなくなっています。妊娠6週くらいから赤ちゃんの心拍が見えてくるはずなのですが、妊娠7週の今日になっても心拍が確認できません」
遠夢「なにか治療法はないのでしょうか?」
医師「残念ながら稽留流産という状態で治療法がありません。今回は残念な結果になってしまいましたが、妊娠されたことは間違いありません。まだ凍結した胚盤胞が残っているようですので、次の妊娠を期待しできることをしていきましょう。」
遠夢「どうしたらよいですか?」
医師「このままにしておくと多量出血や感染症のリスクがありますので、流産手術することをお勧めします、また、流産の原因を調べる検査の1つとして、絨毛染色体検査をお勧めします」
妊娠しても10 ~15%で流産することがあり、25~50%の女性が流産を体験するという。流産の原因としては、受精卵の染色体異常がもっとも多く約8割を占める。染色体異常のなかでも偶発的に起こる数的異常 がもっとも多く、その頻度は、35 歳では15 %程度だが、40 歳では30 %程度、43歳では50%程度と女性加齢によって増加する。
染色体異常による流産は防ぎようがないが、もしも『染色体の数的異常が見つかった』のであれば、『偶発的な流産』と考えてもおかしくない。もしも『絨毛染色体には異常がなかった』と言うことであれば、染色体以外の流産原因についても考慮する必要がある。
医師の説明を聞いていた桜空の目から涙が溢れ出す。いつも明るい桜空だったが『経験したことのない悲しみ』が込み上げていた。遠夢は茫然としながらも、聞き逃してはいけないと医師の説明を一生懸命に聞いていた。流産の落胆も大きいが、桜空の悲しむのがどうしようもなく辛らかった。
『流産はとてもつらい』ことであるが、『妊娠できた』と言うことでもあり、2回以上流産が続いた場合でも、最終的には約8割のカップルが出産できていると言う。カップルで情報を共有し、カウンセリングなど相談していくことが大切なのだ。」
流産手術を受け絨毛染色体検査を受けることを決めた二人は、しばらく時間おいて診察室を出た。遠夢は桜空がいっそう愛おしかった。
【脚注】
切迫流産 :胎児生存を、確認または確認できる可能性がある状態で、出血・下腹痛などの流産兆候がある病態
稽留流産:流産兆候は認められないが、胎嚢があっても胎児が認められない流産している病態。このほか流産には、進行流産、不全流産、完全流産と言った病態がある
絨毛染色体検査:流産手術の際に、取り出した絨毛(将来胎盤となる組織)の染色体を調べる検査。胎児と胎盤は、もともと1つの受精卵から増えたものなので、受精卵の染色体検査となる
染色体の数的異常:23種46本の染色体数が多かったり少なかったりする異常。
『着床している』という結果に二人は手を取りあって喜んだ。1週間後の超音波検査で胎嚢も確認でき妊娠5週で、次からは妊娠出産センターを受診するように言われた。
その後、少量出血を認めた桜空は直ぐに妊娠出産センターを受診した。切迫流産 と診断され治療を始めた。出血は止まり下腹痛もないが、妊娠7週になっても児心拍 が確認できない。
医師「残念ですが、今回の妊娠は継続できなくなっています。妊娠6週くらいから赤ちゃんの心拍が見えてくるはずなのですが、妊娠7週の今日になっても心拍が確認できません」
遠夢「なにか治療法はないのでしょうか?」
医師「残念ながら稽留流産という状態で治療法がありません。今回は残念な結果になってしまいましたが、妊娠されたことは間違いありません。まだ凍結した胚盤胞が残っているようですので、次の妊娠を期待しできることをしていきましょう。」
遠夢「どうしたらよいですか?」
医師「このままにしておくと多量出血や感染症のリスクがありますので、流産手術することをお勧めします、また、流産の原因を調べる検査の1つとして、絨毛染色体検査をお勧めします」
妊娠しても10 ~15%で流産することがあり、25~50%の女性が流産を体験するという。流産の原因としては、受精卵の染色体異常がもっとも多く約8割を占める。染色体異常のなかでも偶発的に起こる数的異常 がもっとも多く、その頻度は、35 歳では15 %程度だが、40 歳では30 %程度、43歳では50%程度と女性加齢によって増加する。
染色体異常による流産は防ぎようがないが、もしも『染色体の数的異常が見つかった』のであれば、『偶発的な流産』と考えてもおかしくない。もしも『絨毛染色体には異常がなかった』と言うことであれば、染色体以外の流産原因についても考慮する必要がある。
医師の説明を聞いていた桜空の目から涙が溢れ出す。いつも明るい桜空だったが『経験したことのない悲しみ』が込み上げていた。遠夢は茫然としながらも、聞き逃してはいけないと医師の説明を一生懸命に聞いていた。流産の落胆も大きいが、桜空の悲しむのがどうしようもなく辛らかった。
『流産はとてもつらい』ことであるが、『妊娠できた』と言うことでもあり、2回以上流産が続いた場合でも、最終的には約8割のカップルが出産できていると言う。カップルで情報を共有し、カウンセリングなど相談していくことが大切なのだ。」
流産手術を受け絨毛染色体検査を受けることを決めた二人は、しばらく時間おいて診察室を出た。遠夢は桜空がいっそう愛おしかった。
【脚注】
切迫流産 :胎児生存を、確認または確認できる可能性がある状態で、出血・下腹痛などの流産兆候がある病態
稽留流産:流産兆候は認められないが、胎嚢があっても胎児が認められない流産している病態。このほか流産には、進行流産、不全流産、完全流産と言った病態がある
絨毛染色体検査:流産手術の際に、取り出した絨毛(将来胎盤となる組織)の染色体を調べる検査。胎児と胎盤は、もともと1つの受精卵から増えたものなので、受精卵の染色体検査となる
染色体の数的異常:23種46本の染色体数が多かったり少なかったりする異常。
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