40 / 127
第1章
獣人の隠れ里3
しおりを挟む
ーーー
ーーーーー
馬車の窓から見える景色が、深緑の木々一色になってきた頃、山道に入る前に馬車を近くの村に待機させ、アレンがアリスティナを抱えて急な山道を歩く事にした。
アリスティナは猫耳をピコピコさせて瞳を輝かせながら、辺りを見渡している。元々花や植物が好きなアリスティナは王宮では見た事もない植物に興味津々なようだ。
「凄い、人の気配が全く無いのね。それに何て澄んだ空気なのかしら。」
「そうですね…全く人の気配がありませんねぇ。」
アレンが相槌を打ちながらちらりとテリアを見る。
純粋に感動しているアリスティナとは違い、何処か含みのある言い方だ。
「いや、まだドルイドの滝に到着してないし!何その疑わし気な目は!!」
「…そもそも、そのドルイドの滝とやらにちゃんと着くのかも不安なのですが。」
視線を1番前に歩く猫にうつした。ドルイドの滝への道案内はやはり獣人の隠れ里が此処にあると知っているくらい、此処の道に詳しい猫に任せるのが1番だと思ったから後ろからついて行く事にしているのだけど。
さっきから人が通る道とは思えない所を多々通り数十分歩いている為、ただ適当に歩いてるだけでは無いかと言う疑惑がアレンから生まれているのが分かった。
アレンには全く忠義がたりてないと思う。
あからさまに私を痛い子だと思っている目だ。前世で最後まで私達の臣下で居たのは何かの間違いなのでは無いだろうかとさえ思う。
「全く、アレンはもっと私をうやま「この先に滝があるのは本当みたいですね。」
「へぇ?」
話を遮られた事で、変な声が出てしまった。
「滝?何処に?」
それから数分歩いて、岩場を潜った先には石垣に囲まれるも、岩で出来た神台に激しく滝が降り注ぎはねた水によりオーロラのみたいな虹がベールのように揺れている。
辺りは白い岩場に覆われており、草が一つもない。上を見上げると天井は空が見えるのみだ。
「これが、昔の聖女様が修行していた…。」
滝が降り注ぐ泉は青々としていて、確か底無しの泉とも呼ばれているらしい。
浅瀬まで歩みを進めて、水に手を浸らせるとしっとりとしていて、肌に心地よかった。
(美肌になりそう…いや、心無しか触った手が潤っている気がする。)
「アリスティナ姫、この泉の水、美肌になるかも知れませんよ!」
「て、テリア様!濡れた手で…」
濡れた手でアリスティナの頬をヒタリと触ったテリアに、ユラが慌てふためいて声をあげたが、アリスティナが気持ち良さそうに頬をほんのり紅くして笑むので言葉を止めた。
「浅瀬に足をつけてみませんか?
きっと気持ちが良いですよ!」
言いながらもテリアが1番はしゃぎながら靴を脱義捨てて、スカートをつまんで浅瀬でバシャバシャ足を突っ込み濡らしはじめていた。
その様子を見て、アリスティナがうずうずしてるようだったのでアレンはそのまま連れてゆき岸辺に座らせ、足を泉に浸してやると、泉にいた小魚が数匹集まってきた。
「わぁ…。綺麗な色。」
その小魚は彩り豊かで、王宮で飼われている魚と比べ物にならない位に美しい。
「外は、こんなにも美しい物で溢れていたのですね。」
「…。そうですね。」
アレンはアリスティナの言葉に相槌をうちながら、目を細めた。
「あれ、猫!そんな所で何をしてるの?」
滝の降り注ぐ裏側で、尻尾のみを出している猫に気が付いて、テリアは浅瀬から上がって石の足場をつたい、猫のいる場所まで歩いて行く。
(滝の裏側って迫力ある音して怖かったけど、こんな空間があるんだ…)
滝の裏側にある壁を猫は小さな手でカリカリと引っ掻いている。チラッとテリアを見て、肉球を引っ掻いていた場所に押し当てている。
「…。押せば、いいのね?」
ーーーーー
馬車の窓から見える景色が、深緑の木々一色になってきた頃、山道に入る前に馬車を近くの村に待機させ、アレンがアリスティナを抱えて急な山道を歩く事にした。
アリスティナは猫耳をピコピコさせて瞳を輝かせながら、辺りを見渡している。元々花や植物が好きなアリスティナは王宮では見た事もない植物に興味津々なようだ。
「凄い、人の気配が全く無いのね。それに何て澄んだ空気なのかしら。」
「そうですね…全く人の気配がありませんねぇ。」
アレンが相槌を打ちながらちらりとテリアを見る。
純粋に感動しているアリスティナとは違い、何処か含みのある言い方だ。
「いや、まだドルイドの滝に到着してないし!何その疑わし気な目は!!」
「…そもそも、そのドルイドの滝とやらにちゃんと着くのかも不安なのですが。」
視線を1番前に歩く猫にうつした。ドルイドの滝への道案内はやはり獣人の隠れ里が此処にあると知っているくらい、此処の道に詳しい猫に任せるのが1番だと思ったから後ろからついて行く事にしているのだけど。
さっきから人が通る道とは思えない所を多々通り数十分歩いている為、ただ適当に歩いてるだけでは無いかと言う疑惑がアレンから生まれているのが分かった。
アレンには全く忠義がたりてないと思う。
あからさまに私を痛い子だと思っている目だ。前世で最後まで私達の臣下で居たのは何かの間違いなのでは無いだろうかとさえ思う。
「全く、アレンはもっと私をうやま「この先に滝があるのは本当みたいですね。」
「へぇ?」
話を遮られた事で、変な声が出てしまった。
「滝?何処に?」
それから数分歩いて、岩場を潜った先には石垣に囲まれるも、岩で出来た神台に激しく滝が降り注ぎはねた水によりオーロラのみたいな虹がベールのように揺れている。
辺りは白い岩場に覆われており、草が一つもない。上を見上げると天井は空が見えるのみだ。
「これが、昔の聖女様が修行していた…。」
滝が降り注ぐ泉は青々としていて、確か底無しの泉とも呼ばれているらしい。
浅瀬まで歩みを進めて、水に手を浸らせるとしっとりとしていて、肌に心地よかった。
(美肌になりそう…いや、心無しか触った手が潤っている気がする。)
「アリスティナ姫、この泉の水、美肌になるかも知れませんよ!」
「て、テリア様!濡れた手で…」
濡れた手でアリスティナの頬をヒタリと触ったテリアに、ユラが慌てふためいて声をあげたが、アリスティナが気持ち良さそうに頬をほんのり紅くして笑むので言葉を止めた。
「浅瀬に足をつけてみませんか?
きっと気持ちが良いですよ!」
言いながらもテリアが1番はしゃぎながら靴を脱義捨てて、スカートをつまんで浅瀬でバシャバシャ足を突っ込み濡らしはじめていた。
その様子を見て、アリスティナがうずうずしてるようだったのでアレンはそのまま連れてゆき岸辺に座らせ、足を泉に浸してやると、泉にいた小魚が数匹集まってきた。
「わぁ…。綺麗な色。」
その小魚は彩り豊かで、王宮で飼われている魚と比べ物にならない位に美しい。
「外は、こんなにも美しい物で溢れていたのですね。」
「…。そうですね。」
アレンはアリスティナの言葉に相槌をうちながら、目を細めた。
「あれ、猫!そんな所で何をしてるの?」
滝の降り注ぐ裏側で、尻尾のみを出している猫に気が付いて、テリアは浅瀬から上がって石の足場をつたい、猫のいる場所まで歩いて行く。
(滝の裏側って迫力ある音して怖かったけど、こんな空間があるんだ…)
滝の裏側にある壁を猫は小さな手でカリカリと引っ掻いている。チラッとテリアを見て、肉球を引っ掻いていた場所に押し当てている。
「…。押せば、いいのね?」
23
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
ブサイク令嬢は、眼鏡を外せば国一番の美女でして。
みこと。
恋愛
伯爵家のひとり娘、アルドンサ・リブレは"人の死期"がわかる。
死が近づいた人間の体が、色あせて見えるからだ。
母に気味悪がれた彼女は、「眼鏡をかけていれば見えない」と主張し、大きな眼鏡を外さなくなった。
無骨な眼鏡で"ブサ令嬢"と蔑まれるアルドンサだが、そんな彼女にも憧れの人がいた。
王女の婚約者、公爵家次男のファビアン公子である。彼に助けられて以降、想いを密かに閉じ込めて、ただ姿が見れるだけで満足していたある日、ファビアンの全身が薄く見え?
「ファビアン様に死期が迫ってる!」
王女に新しい恋人が出来たため、ファビアンとの仲が危ぶまれる昨今。まさか王女に断罪される? それとも失恋を嘆いて命を絶つ?
慌てるアルドンサだったが、さらに彼女の目は、とんでもないものをとらえてしまう──。
不思議な力に悩まされてきた令嬢が、初恋相手と結ばれるハッピーエンドな物語。
幸せな結末を、ぜひご確認ください!!
(※本編はヒロイン視点、全5話完結)
(※番外編は第6話から、他のキャラ視点でお届けします)
※この作品は「小説家になろう」様でも掲載しています。第6~12話は「なろう」様では『浅はかな王女の末路』、第13~15話『「わたくしは身勝手な第一王女なの」〜ざまぁ後王女の見た景色〜』、第16~17話『氷砂糖の王女様』というタイトルです。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる