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第3章学園入学
お茶会にオネェ様は必須ですから
しおりを挟む「あらぁ~、こんな所で会うなんて。奇遇ね。」
まるで偶然道端で会ったかの様に突如出現されたのは、この国の皇太子、ベルン殿下だった。
お洒落な身嗜み、そして長い紫色の髪は横で結わえられており、フローラルな香水の香りとも相まってか背後に咲き誇らんばかりの薔薇を背負いながら、見ている此方の目が開けられない程無駄にキラキラビームを放ち現れた。
「ー・お久しぶりです兄上。貴方はこのお茶会に呼ばれていない筈ですが?」
「ふふっ♪喜びなさい。
本来どんな高貴な貴族や王族のお茶会に招待されても参加など出来ない程、この身は常に忙しく特別だと言うのに今回はボランティアでお姉様が参加してあげるわ♡」
ベルンを良く知るライザとしては色々突っ込みどころが多い。
まず、この人はお茶会に参加出来ない程忙しいかと言えばそうでもない。確かに誘われるお茶会に全部参加するのは無理だろうし、外せない公務もあるだろうが、優秀な部下に任せられるものは全て投げっぱなしにした上で割と自由に振舞っている。
でなければ、毎週休みの日にはショッピングに誘われたり、流行りのデートスポットに連れて行かれたりしているのは一体何なのか。(勿論ルイスも一緒)
これを暇を持て余していると言わずして何と言うのか聞いてみたい。
むしろ、ライザの方が忙しいと思われる。
こんなチャランポランで自宅学習している様子が微塵も見えないのに、学年2位の成績をキープしているベルンが、ライザは時として殴りたくなるくらい腹が立つ。
そして今話した内容をそのまま聞くと、どうやらこのお茶会に、ベルンは招かれて居ないのに来たらしい。
だがしかし、ベルンのやる事は大概どんな無茶も通ってしまうし許される。
これがゲーム補正なのか、王者の貫禄というやつなのか、それともベルン特有の特殊効果かは分からないけれど。
おかげでさっきまでのシリアスな雰囲気はぶち壊された。
心なしか、満面の笑みを浮かべている第2王子が凄く苛立ってる様に見える。
(もしかして、第2王子はベルンが苦手なのかな?まぁ…皇太子なのに〝姉上〟呼びを押し付けてくる兄は確かに嫌よね。
本当にそんな事をしてしまったら第2王子の常識が周囲に疑われてしまうと言う事実は、ベルンにとってどうでも良いのだろうし…。)
世の中には、永遠に相入れない兄弟が居ると聞くけれども、ここまで互いに別のベクトルで主張の強い身勝手2人だと仕方が無い現象なのかしら…。
そして、ベルンの背後から静かに姿を表したのは、ルイスだった。
ーーえぇっ、ルイスも来たの?
これには流石に驚いた。先日体調を崩したのだから今日は邸宅で大人しくしている様にライザが勧めたからだ。普段ならばライザから勧められた事を全て実行するのがルイスだ。※婚約白紙の件は例外だけど。
そして、ベルンはともかくルイスは招待されていないお茶会に乱入する性格でも無い。
どうやって此処に連れて来られたのかしら。正直ベルンの言葉より、私の言葉を守ってくれると思ってただけに少しショックだわ…。
「さっ、役者も揃った事だしさっさと初めましょ。お話の続きをどうぞ?」
まるで自分が主催者かの如く軽やかに椅子へ腰をかけ右掌で第2王子を促すベルンと、その後ろに立っているルイスの姿はイケメン補正により後光が見える。
私はこんなのに挟まれていつも学園内を練り歩いているのか。そりゃ取り巻きが何人も居なくても歩く道が割れる筈だわ。
ーーでも取り敢えず、色々置いといて。
誰かが此処で絶対に、言わなければならない事があるーー
「ベルン殿下ー…」
「ん?あら、ライザからお話しするの?」
「えぇ、こればかりは無視出来ませんので。
肝心の主催者がまだです。」
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