【完結】年下王子のお嫁様 

マロン株式

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お嫁様ヒロインとの対面が叶う

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 改めて設けられたヒロインとのお茶会会場は王城ではなくて王都に新しく創設されたティースポット。

 モントリア伯爵家が出資しているお店で、最近令嬢達の中で流行っているようだ。貸し切るので是非にとの事だった。

 お忍びで出掛けることにしたマーガレットは馬車に乗り、外の景色を見つめている。

(お忍び…)

 マーガレットに転生してから私は気をつけていた事があって、物語の本編開始から終わるまで、1人でお忍びとして出掛けないようにしていた。

 私が前世の記憶がなくマーガレットをやっていたなら、大半は好奇心、そして次期王妃としての使命感で民がどう言う暮らしをしているのか知っておきたいと
思って、度々お忍びとして街へ出たと思うけれど。

 実は小説で1度、お忍びの最中にマーガレットは怖い目に合う。

 民の暮らしが気にならない訳ではないけれど、王妃にはならないし、この2年間だけはお忍びをするのを控えようと決めていた。

(今日は、人との約束だし、行く先はモントリア伯爵家の出資している貴族御用達のティースポット。後は馬車での移動だし大丈夫よね。)


 先日中止にしたお詫びとして招待されたのだけれど、私としても王子とヒロインが2人でいる所を見ずに済むので、ホッとしていた。

 馬車は目的地について、マーガレットが降車すると、ヒロインが出迎えてくれた。

「この度は御足労いただき有難うございます。」

「お招き頂き有難うございます。モントリア伯爵令嬢。」


 こうして、ヒロインとマーガレットの対面が実現した。


ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 序盤はただ挨拶と世間話だったけれど、手紙に書いていた通りヒロイン…いや、ユリシアは何かを言いたそうにしていたが今の所別の話をしている。

 来るときの憂鬱を払うように、元気な笑顔と喋り方で話すユリシアといるのは、とても楽しくて時間の経過も早く感じた。

(やっぱり小説のヒロインだものね。良い子に決まっていたのよ。良かった。この子が王子の…ー。)

 思わず考えてしまった事に、胸が軋む。

(人と、会話をしているのに、余計な事を考えてしまったわ。これではユリシア様に失礼ね…)


 気分を取り直して、談笑を続けた。

 そして話が1度区切りよくなったところで先程まで饒舌に話していたユリシアが急に黙り込んだ事で、そろそろ本題が来るかとマーガレットは悟った。

 先日ユリシアが王子に泣いて縋り付いていた光景が思い浮かんだ。

 王子との関係に思い詰めているのだろう事はわかった。でなければ、こうして私と話がしたいと必死にならないだろう。

 何か並々ならぬ関係なのだとは先日の様子を見たら誰の目から見ても明らかなのだけれど、当人は言い出しにくいのも確かと思えた。※マーガレットには確信に近い疑惑により脚色して見えてます。


(王子から話を聞く前に、彼女から聞く事になるのかしら…)

 紅茶を持つ手が、微かに震えてしまって、紅茶の表面が連動して揺れている。

「あの…。」

 ユリシアの声に動揺はあったけれど、マーガレットがそれを表に出す事はなく、普段通りフワリと返事をした。

「どうしましたか?」

「マーガレット様は、運命を信じますか?」

  
「運命…ですか。」

  何を言いたいのかわからなくて、コテンと首を傾げる。
 でも直ぐに小説を思い出した。正に今目の前にいる令嬢は、王子の運命の相手。

(出会った瞬間に、王子に運命を感じた…とか?そういう話かしら。)

「…ー。すみません、忘れてください。
用件とは違う話をしてしまいました。」

「そうでしたか、では今日は何を?」

  話しやすいように、心を配って声を掛けてくれているマーガレットを見て、ユリシアは益々俯き、黙り込んでしまう。

 (余程言いづらいのね…きっと優しいヒロインには酷なことを言おうとしているのだわ。
貴方が今言わなくても近々王子から話があるのに…。)

 暫くそうしていたら、話題を変えようとマーガレットは共通になる話を考えて切り出してみた。

「そう言えば、先日王宮でミストロイア辺境伯様とお会いしましたよ。」

「え?」

「ユリシア様のお父様と、ご友人だと聞きました。」

  「そ…。そうなんです。え?先日って…?」

  動揺しているユリシアを不思議に思いながらも、マーガレットは答える。

「ユリシア様とのお茶会が一度中止になった日、実は私楽しみにしていたものですから王宮入り口まで様子を見に行ったんです。そうしたら丁度辺境伯様が国王陛下との謁見を終えたところで…」

「…どちらから…お声をかけたんですか?」
「…どちらから?ぁあ。辺境伯様の方が先に気がついてお声をかけてくださいま…


ガチャン!


 言葉の途中で立ち上がったユリシアに驚いて、見上げると、顔色が悪い。

「ユ…リシア…様?」

「わ…私、すみません。まだ、体調が悪いみたいで…。」

  ポロリと涙が瞳から溢れ出すのが見えたが、それを隠すように挨拶もそこそこにユリシアは駆け出してゆく。


「ユリシア様!?」


 
 
 

 
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