【完結】年下王子のお嫁様 

マロン株式

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ヒロインは2人の恋を応援する事にした

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 私、ユリシア・モントリアは先日、王子妃様を巻き込んでしまった事件の一件でお家ではお父様にこってり怒られた。

 けれど、怖かったのは叱り付けてくるお父様よりも、王宮に呼ばれたときの方が恐ろしかった。

 王子の絶対零度の目で見下ろされた事が、2つ人生を経験したなかで1番のトラウマになり色々頭が冷え、目が覚めた。

 あの後、一度禁止されていたマーガレット様との交流を、何故か許可する知らせが提携文で送られてきた。そして何度かマーガレット様とお茶会をした。 

 私にはもう、ヴォーレンとマーガレット様を邪魔する気はない。

 あの事件の時から思っていた。そしてマーガレット様と話せば話す程に納得してしまった。


 結局はマーガレット様がヴォーレンとお似合いであると。

 小説で元々結ばれた2人だから何を今更な感じだけれど。

 やっぱりと言うか、〝これは敵わないわ。〟と、流石の私も思ってしまった。




 …というか、マーガレット様と茶会で何度も会う内に感じた。

 前世で小説を読んでいた頃から思っていたけれど、マーガレット様は私の前世でお菓子をくれたに性格がそっくりだ。

 実際、話せば話すほどにそう思う。


 そうなるとやはり、私は尚更マーガレット様を幸せにしてくれるヴォーレンを応援したくなった。


 そう思える自分が何だか成長した気になる。

 とにかくも、ヴォーレンは私を女として見ないし、マーガレット様しか見えてないし。お似合いな訳だから何の問題もー…

 そこに来てユリシアは王子のあの
 恐怖の眼差しを思い出した。そう、中に悪魔を飼ってそうな…。


 いやぁ…、まぁでも運命の2人だから…何とかなるでしょう。

 ヴォーレンは辺境伯の爵位を継ぐ者。       

 いつか誰かと結婚して子を設けなければならない。
 
 変な女に掠め取られるくらいなら、いっそマーガレット様と結ばれて欲しい。

 むしろそれしか許せない。…と、思うけど、あの時の王子がトラウマになったので、変な手助けとかはやめておく。
 今度こそ命が危ない気がするから。
       ※一応学習してます。


 だから私が今、華園に居るのはけっして2人の邪魔をしたいからじゃない。

 
 ちゃんと正式手続きした上でいるから安心して欲しい。   

 きちんと、失恋する為だ。

 もう隙間ないくらいイッチャイチャされたら泣くけど、号泣すると思うけど諦められるはず。

 え?何で2人がそこで会うのを知ってるかって?

 前にも言ったようにヴォーレンはわかりやすい。
 この間めっちゃくちゃ顔に出てた。


 この間、私はヴォーレンに
 『華園でマーガレット様の儀式服姿見えるといいね!』そう声をかけたら、何かフイッと口元隠しながら顔を背けられた。

 あれは絶対何か、含んでいた。〝確実見れるし〟。みたいな。それで口元隠した。あれ絶対表情隠した。

 〝いやらしい!ヴォーレンいやらしい事考えてるでしょ?〟とチャカせる感じではなかった。寧ろ、まだ自分の胸は痛んでしんみりしてしまった。
 
 いやらしい事考えて居たかは分からないけど、何かしら会える目処があると見た。

 そこで推理してみると、王子妃様はその日忙しい。その中で会える約束出来るとしたらー…
 

「儀式の帰り道よね。」


     華園で身を隠しながらも呟いた。
 いや、ちゃんと正式手続きはしたよ。 
 そこは誤解しないで欲しい。

 基本立ち入り禁止になっている華園に正式な手順を踏んで潜り込むのは骨が折れた。

 たまたまヴォーレンが護衛している隣の華園は、叔父が護衛騎士をしている。

 強請りに強請りを重ねて、叔父の側を離れず、大人しくしているならとのことで一緒に入る許可を王宮側にとってくれた。


 まぁ、大人しくしてないんだけどね。
       ※この辺学んでない。
 
 ガサゴソと這いつくばって、ヴォーレンの警護しているアネモネの華園を目指した。下調べは完璧な自信がある。



 昼時の出入り自由時間にしっかり抜け穴等、準備をして隠れられる場所を把握しておいた。

(ぬかりはないわ。)

 小説では、華園の何処かで王子とヒロインが揉めて仲直りしてとイベントしてたのは知ってるけど。

 裏エピソードでマーガレットとヴォーレンが…みたいなのがあったとしたなら、小説のファンとしても見逃せないしね。

 ヴォーレンの恋を応援したい。

 でも、王子があの様子なら、マーガレット様も、もしかしたら…王子を…ちらっと変な事を考えるけど、マーガレット様からしたら王子は0歳の赤子から知っている6歳下の子供だ。

 大人なマーガレット様がそんな子供相手にする訳ないか。

 ヴォーレンとあんなにお似合いな雰囲気だったしね。


 それに私は断然、王子よりヴォーレンの味方。
 

 

 こうして私は、マーガレット様とヴォーレンの密会(?)を見る事に集中した。

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