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7章 帰郷!エルフの里へ ~祝福された小さな命~
メラルダで過ごそう ~初めての診察2~
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◇
なんと、あたしが初めて妊娠したのは双子の赤ちゃんのようです。
あたしもだけど、エルもすごくビックリしていた。
「双子・・・ということは2人?」
「そうですね。現在は妊娠3か月で、胎内では2人の小さな命が少しずつ身体を作っています。性別はもう少し経ってから判別できるかと・・・」
「あのっ、今の状態ってあたしも見ることはできますか?」
「えぇ、もちろん。今見せてあげるわね」
ティリアさんはそう言って片手であたしのお腹に触れたまま、もう片方の手であたしの目を覆うように触れた。
真っ暗になった視界には、胎内と思われる場所にはっきりと見える2つ小さな命が映る。まだとても小さくて頭や身体までははっきりわからないけど、今のあたしにはこの姿が見えるだけでも十分だった。
「・・・っふぇ、ちゃんと、ちゃんと赤ちゃんがここにいるんだね・・・ッグズ、嬉しい・・・」
「・・・俺にも見せてもらっていいだろうか」
「えぇ、もちろんですよ」
同じようにエルも見せてもらい、姿を隠していたマデリーヌさんやセイルまでも見たいと言って急に姿をあらわした。ティリアさんはとてもビックリしていたが、すぐにお医者さんモードに切り替えてちゃんと全員に同じものを見せてくれた。
「まさか、精霊の・・・しかも王様が2人も近くにいるなんて思いませんでした・・・」
「ふふ♡ここにはいないけど、サーヤちゃんに加護を与えている精霊王は他にも数人いるわよん♡」
「まだそんなにいらっしゃるんですか??精霊様ですら、一生に一度お会いできるかどうかもわからないのに??!!」
ティリアさんの反応を見て改めて思うけど、これが普通の人の反応なんだよね・・・
あたしとしては、精霊さんよりも精霊王様の知り合いが多くて、しかも加護をもらいつつ普段一緒に過ごしているから身近な存在だけど、本来精霊さんは人と滅多に関わらないし、そもそも見えない人が多い。
・・・ちなみに、今頃残りの精霊王様達はアレク兄様とメラルダで買い物楽しんでるはずです・・・と言ったらティリアさんはどんな反応するかちょっとだけ気になる。
「精霊王様の祝福を直々に受けて、他の精霊王様もそばで加護を与えて下さっているなんて・・・アレクの大切な従妹という認識しかなかったからとても驚いたわ」
「・・・あの、アレク兄様はあたしのことをなんて言ってたんですか?」
「そうね・・・留学しているときは「辛い王妃教育に弱音を吐かずに頑張っている従妹」だと聞いていたわ。その従妹を少しでも支えられるようにいろんな知識を学ぶのだと努力を惜しまない人だった。昨日久しぶりに連絡がきたとき「俺の従妹が尊敬する主の大切な子を宿しているから、少しでも早く診察できないか」と相談されて、連絡にも相談内容にも驚いたわ。いろいろ事情がありそうだったから深く聞かずに了承だけしたのよ。私は同じ人間の中で立場や身分というもので分けられるのが好きではないし、アレクのことは信用しているから」
「アレク兄様・・・」
やはりアレク兄様は凄い人だ。そして、あたしにとっては昔から本当の兄のように優しくて変わらない・・・他の人からそう言うことが聞けたのが凄く嬉しい。
「・・・実はね、私が医者の道に進んだのは、アレクの言葉がきっかけなの」
「そうなんですか?」
「えぇ。さっき診察で使ったように、私は触れたモノの中を覗くことができる特殊能力を持っているの。でも、昔はその能力をどう生かして良いかわからずに持て余していて・・・―――」
ティリアさんが診察で使っていた魔法は、ティリアさんの特殊能力らしい。
確かに、触れたことで中が見える・・・といっても、見えるだけだったら確かに持て余しそうだ。
この国の薬学や医学を学んでいたアレク兄様は、同じ薬学を学んでいたティリアさんに「医療ならばそれを生かせるのではないか?」と提案したらしい。医療ならば”体内に異常があるか目で見える”というのは何よりも武器になるはずだ・・・と。
元より勉強が好きだったティリアさんは、その言葉をきっかけに医学も学ぶようになり、医者が不足している産院を希望して無事に医者になった。女性である上に妊婦への負担なく胎内の診察ができ、診断も適格ということで瞬く間に有名になり、今では予約が殺到してしまっているようだ。
「アレクの言葉がなかったら、私は医者にならず今でもこの能力を持て余していたわ・・・だから、それを生かした仕事に就くことができて本当に感謝しているの」
「そうだったんですね」
「だから、アレクの大切な従妹であるあなたに会えたことも、彼からの連絡もすごく嬉しかったわ」
あたしも、思いがけない場所でアレク兄様の一面を知ることができて嬉しい。
その後は妊娠している間の注意事項をいろいろ聞いた。
ちょうど妊娠3か月はつわりが一番重い状態だから、無理だけはしないようにということ。
エルの故郷に行くための旅行中であることを告げると、移動に負担がかからないのであれば良いが、できれば産まれるまでは家か実家で過ごすことを勧められた。そりゃそうだよね。
「とりあえず、入籍のこともあるからあとで親父に相談しておく。お前は気にしなくて良いぞ」
「ん、ごめんね。ありがとう」
魔力が減りやすい原因も、恐らく子供の魔力が高い上に2人いるからだろうということで、妊婦でも飲める魔力回復薬を教えてくれたけど、「旦那から貰うので大丈夫です」と言おうとして、エルが急いであたしの口を塞いだ。
・・・そうだ、魔力を人からもらうのも本来は禁術なんだよね・・・あたしにとってエルから魔力を貰うのが日常過ぎてものすごく忘れてた。
診察を終えて病院から宿に戻り、エルに抱きかかえられたまま部屋に戻ると、ミナトちゃん達がすでに部屋で待ち構えていた。きっとセイルが先に連絡してくれていたんだろう。
ソファに降ろしてもらうと、すかさずポニーテールを揺らしながら天使があたしに駆け寄ってきた。
「サーヤまま!あかちゃんっ、ふたりなの?!」
「うん、ここに2人の赤ちゃんがいるんだって」
「・・・サーヤまま、おなか、やさちく、ぎゅうってしてもいい?」
「もちろんだよ!おいで、ミナトちゃん」
ソファの隣によじ登り、恐る恐る下腹部に頭を付ける感じであたしを抱きしめるミナトちゃん。
凄く幸せそうな顔をしながら、さらに嬉しいことを言ってくれた。
「ふふ~、うれしさも、しあわせも、ふたりぶんね~♡♡」
あたしの下腹部をなでながら優しく語りかけている天使の言葉が嬉しくて泣きそうになりながら、あたしはミナトちゃんの頭を優しく撫でた。
「おねーさん、お土産買ってきたよ」
「サーヤ、これお守りに」
ベルナートさんとカイトくんはメラルダで買ってきたお土産をそれぞれくれた。
カイトくんがくれたのは、光に当たるとキラキラ虹色に光るサンキャッチャーだった。(名前は違うらしい)
小さなクリスタルの間に大きいクリスタルがあって、一番下は雫の様な形の大きなクリスタルとなっていて、帰ったら家の寝室に飾りたいなと思う程綺麗で気に入ってしまった。
ベルナートさんがくれたのは、木彫りの・・・人形?
「露店の人に聞いた。安産のお守りだって」
小さな人型をした、髪の毛だけ逆立っているとても個性的な人形・・・ものすごく同じようなものを見たことがあるんだけど・・・とにかく顔がちょっと怖い。
「駄犬、それのどこがお守りだ。気持ち悪いただの人形ではないか」
「え?その目とかぎょろっとしてて可愛いと思ったんだけど・・・」
・・・ベルナートさんの趣味は少々独特のようだ。一緒に買い物行くときは注意しよう。
とりあえずお礼を言ってどちらも魔法袋に入れておいた。
・・・ベルナートさんのお土産はこのまま出すことはないかもしれない。
病院に行っていたあたし達は遅めの昼食を食べつつ、ミナトちゃん達には久しぶりに魔法袋にあったお菓子を振る舞い、部屋の中で皆で楽しい時間を過ごしたあと、少しの怠さと眠気に襲われたあたしはエルにベッドまで運んでもらい、エルに魔力込みのキスをされているうちに眠ってしまった。
◇
少し眠ったつもりが結構眠っていたらしく、起きたら真っ暗だった。
隣でエルも眠ってるということは、もう深夜なんだろう。
今日の出来事を思い出しながら、下腹部に手を当ててお腹の子に語りかける。
「今日病院行って知ったんだけど、キミ達は双子で産まれてくるんだね。そりゃ、魔力も2人分必要なんだから減りが早いのも仕方ないか。パパに似て魔法が得意な子達になるんだろうね」
エルに似てるところが多い方が優秀だと思うから、ぜひパパから良いところをいっぱい引き継いで欲しいものである。
「あたしの良いところ・・・この見た目は結構な美人さんだけど、中身はちょっとなぁ・・・あ、でも中身もエルに似ちゃったらドSで鬼畜な子になっちゃう?」
「・・・おい、それはどういうことだ?」
「!!!」
寝ていると思っていたエルがジト目でこっちを見ていた。
・・・いったいいつから起きてたんですか??!!
「起こしちゃったね、ごめん」
「構わぬ。・・・まったく、お前は病院で俺から魔力を貰っていると言いかけたり、腹の子に変なことを吹き込もうとしたり・・・本当に目が離せない奴だな」
「ごめんね。エルから毎日魔力もらってるから普通じゃないことを忘れてた。・・・お腹の子に関しては別に変なこと吹き込んでるつもりはないよ」
「お前の”普通”は周りとだいぶ違うからな・・・一緒にいると”普通”や”常識”が時々何なのかわからなくなる・・・」
「むぅ、普通じゃないのはあたしだけじゃなくてエルもそうだと思いますー」
「ふっ、違いない」
あたしの日常というものは、普通ならお目見えすることのない精霊さんや精霊王様達が身近にいたり、エルとの日常的な魔力付与や、あたしが元々異世界の人間だということもあり、いろんなことがこの世界の常識からかなりズレている。
「あたし、本当にエルがいないとこの世界で生きていけない人間だわ・・・」
「くくっ、それのどこが悪い?もうそれで良いではないか」
「ふふっ、それもそうだね」
普段なら、あたしが無理だと言っても朝まで何度も抱き潰す勢いのドSで鬼畜な俺様魔王様は、妊娠中の今はとびきり甘い旦那様になるようです。
そんな甘い旦那様から甘いキスをされながら、そのあと2人で眠りにつきました・・・―――
なんと、あたしが初めて妊娠したのは双子の赤ちゃんのようです。
あたしもだけど、エルもすごくビックリしていた。
「双子・・・ということは2人?」
「そうですね。現在は妊娠3か月で、胎内では2人の小さな命が少しずつ身体を作っています。性別はもう少し経ってから判別できるかと・・・」
「あのっ、今の状態ってあたしも見ることはできますか?」
「えぇ、もちろん。今見せてあげるわね」
ティリアさんはそう言って片手であたしのお腹に触れたまま、もう片方の手であたしの目を覆うように触れた。
真っ暗になった視界には、胎内と思われる場所にはっきりと見える2つ小さな命が映る。まだとても小さくて頭や身体までははっきりわからないけど、今のあたしにはこの姿が見えるだけでも十分だった。
「・・・っふぇ、ちゃんと、ちゃんと赤ちゃんがここにいるんだね・・・ッグズ、嬉しい・・・」
「・・・俺にも見せてもらっていいだろうか」
「えぇ、もちろんですよ」
同じようにエルも見せてもらい、姿を隠していたマデリーヌさんやセイルまでも見たいと言って急に姿をあらわした。ティリアさんはとてもビックリしていたが、すぐにお医者さんモードに切り替えてちゃんと全員に同じものを見せてくれた。
「まさか、精霊の・・・しかも王様が2人も近くにいるなんて思いませんでした・・・」
「ふふ♡ここにはいないけど、サーヤちゃんに加護を与えている精霊王は他にも数人いるわよん♡」
「まだそんなにいらっしゃるんですか??精霊様ですら、一生に一度お会いできるかどうかもわからないのに??!!」
ティリアさんの反応を見て改めて思うけど、これが普通の人の反応なんだよね・・・
あたしとしては、精霊さんよりも精霊王様の知り合いが多くて、しかも加護をもらいつつ普段一緒に過ごしているから身近な存在だけど、本来精霊さんは人と滅多に関わらないし、そもそも見えない人が多い。
・・・ちなみに、今頃残りの精霊王様達はアレク兄様とメラルダで買い物楽しんでるはずです・・・と言ったらティリアさんはどんな反応するかちょっとだけ気になる。
「精霊王様の祝福を直々に受けて、他の精霊王様もそばで加護を与えて下さっているなんて・・・アレクの大切な従妹という認識しかなかったからとても驚いたわ」
「・・・あの、アレク兄様はあたしのことをなんて言ってたんですか?」
「そうね・・・留学しているときは「辛い王妃教育に弱音を吐かずに頑張っている従妹」だと聞いていたわ。その従妹を少しでも支えられるようにいろんな知識を学ぶのだと努力を惜しまない人だった。昨日久しぶりに連絡がきたとき「俺の従妹が尊敬する主の大切な子を宿しているから、少しでも早く診察できないか」と相談されて、連絡にも相談内容にも驚いたわ。いろいろ事情がありそうだったから深く聞かずに了承だけしたのよ。私は同じ人間の中で立場や身分というもので分けられるのが好きではないし、アレクのことは信用しているから」
「アレク兄様・・・」
やはりアレク兄様は凄い人だ。そして、あたしにとっては昔から本当の兄のように優しくて変わらない・・・他の人からそう言うことが聞けたのが凄く嬉しい。
「・・・実はね、私が医者の道に進んだのは、アレクの言葉がきっかけなの」
「そうなんですか?」
「えぇ。さっき診察で使ったように、私は触れたモノの中を覗くことができる特殊能力を持っているの。でも、昔はその能力をどう生かして良いかわからずに持て余していて・・・―――」
ティリアさんが診察で使っていた魔法は、ティリアさんの特殊能力らしい。
確かに、触れたことで中が見える・・・といっても、見えるだけだったら確かに持て余しそうだ。
この国の薬学や医学を学んでいたアレク兄様は、同じ薬学を学んでいたティリアさんに「医療ならばそれを生かせるのではないか?」と提案したらしい。医療ならば”体内に異常があるか目で見える”というのは何よりも武器になるはずだ・・・と。
元より勉強が好きだったティリアさんは、その言葉をきっかけに医学も学ぶようになり、医者が不足している産院を希望して無事に医者になった。女性である上に妊婦への負担なく胎内の診察ができ、診断も適格ということで瞬く間に有名になり、今では予約が殺到してしまっているようだ。
「アレクの言葉がなかったら、私は医者にならず今でもこの能力を持て余していたわ・・・だから、それを生かした仕事に就くことができて本当に感謝しているの」
「そうだったんですね」
「だから、アレクの大切な従妹であるあなたに会えたことも、彼からの連絡もすごく嬉しかったわ」
あたしも、思いがけない場所でアレク兄様の一面を知ることができて嬉しい。
その後は妊娠している間の注意事項をいろいろ聞いた。
ちょうど妊娠3か月はつわりが一番重い状態だから、無理だけはしないようにということ。
エルの故郷に行くための旅行中であることを告げると、移動に負担がかからないのであれば良いが、できれば産まれるまでは家か実家で過ごすことを勧められた。そりゃそうだよね。
「とりあえず、入籍のこともあるからあとで親父に相談しておく。お前は気にしなくて良いぞ」
「ん、ごめんね。ありがとう」
魔力が減りやすい原因も、恐らく子供の魔力が高い上に2人いるからだろうということで、妊婦でも飲める魔力回復薬を教えてくれたけど、「旦那から貰うので大丈夫です」と言おうとして、エルが急いであたしの口を塞いだ。
・・・そうだ、魔力を人からもらうのも本来は禁術なんだよね・・・あたしにとってエルから魔力を貰うのが日常過ぎてものすごく忘れてた。
診察を終えて病院から宿に戻り、エルに抱きかかえられたまま部屋に戻ると、ミナトちゃん達がすでに部屋で待ち構えていた。きっとセイルが先に連絡してくれていたんだろう。
ソファに降ろしてもらうと、すかさずポニーテールを揺らしながら天使があたしに駆け寄ってきた。
「サーヤまま!あかちゃんっ、ふたりなの?!」
「うん、ここに2人の赤ちゃんがいるんだって」
「・・・サーヤまま、おなか、やさちく、ぎゅうってしてもいい?」
「もちろんだよ!おいで、ミナトちゃん」
ソファの隣によじ登り、恐る恐る下腹部に頭を付ける感じであたしを抱きしめるミナトちゃん。
凄く幸せそうな顔をしながら、さらに嬉しいことを言ってくれた。
「ふふ~、うれしさも、しあわせも、ふたりぶんね~♡♡」
あたしの下腹部をなでながら優しく語りかけている天使の言葉が嬉しくて泣きそうになりながら、あたしはミナトちゃんの頭を優しく撫でた。
「おねーさん、お土産買ってきたよ」
「サーヤ、これお守りに」
ベルナートさんとカイトくんはメラルダで買ってきたお土産をそれぞれくれた。
カイトくんがくれたのは、光に当たるとキラキラ虹色に光るサンキャッチャーだった。(名前は違うらしい)
小さなクリスタルの間に大きいクリスタルがあって、一番下は雫の様な形の大きなクリスタルとなっていて、帰ったら家の寝室に飾りたいなと思う程綺麗で気に入ってしまった。
ベルナートさんがくれたのは、木彫りの・・・人形?
「露店の人に聞いた。安産のお守りだって」
小さな人型をした、髪の毛だけ逆立っているとても個性的な人形・・・ものすごく同じようなものを見たことがあるんだけど・・・とにかく顔がちょっと怖い。
「駄犬、それのどこがお守りだ。気持ち悪いただの人形ではないか」
「え?その目とかぎょろっとしてて可愛いと思ったんだけど・・・」
・・・ベルナートさんの趣味は少々独特のようだ。一緒に買い物行くときは注意しよう。
とりあえずお礼を言ってどちらも魔法袋に入れておいた。
・・・ベルナートさんのお土産はこのまま出すことはないかもしれない。
病院に行っていたあたし達は遅めの昼食を食べつつ、ミナトちゃん達には久しぶりに魔法袋にあったお菓子を振る舞い、部屋の中で皆で楽しい時間を過ごしたあと、少しの怠さと眠気に襲われたあたしはエルにベッドまで運んでもらい、エルに魔力込みのキスをされているうちに眠ってしまった。
◇
少し眠ったつもりが結構眠っていたらしく、起きたら真っ暗だった。
隣でエルも眠ってるということは、もう深夜なんだろう。
今日の出来事を思い出しながら、下腹部に手を当ててお腹の子に語りかける。
「今日病院行って知ったんだけど、キミ達は双子で産まれてくるんだね。そりゃ、魔力も2人分必要なんだから減りが早いのも仕方ないか。パパに似て魔法が得意な子達になるんだろうね」
エルに似てるところが多い方が優秀だと思うから、ぜひパパから良いところをいっぱい引き継いで欲しいものである。
「あたしの良いところ・・・この見た目は結構な美人さんだけど、中身はちょっとなぁ・・・あ、でも中身もエルに似ちゃったらドSで鬼畜な子になっちゃう?」
「・・・おい、それはどういうことだ?」
「!!!」
寝ていると思っていたエルがジト目でこっちを見ていた。
・・・いったいいつから起きてたんですか??!!
「起こしちゃったね、ごめん」
「構わぬ。・・・まったく、お前は病院で俺から魔力を貰っていると言いかけたり、腹の子に変なことを吹き込もうとしたり・・・本当に目が離せない奴だな」
「ごめんね。エルから毎日魔力もらってるから普通じゃないことを忘れてた。・・・お腹の子に関しては別に変なこと吹き込んでるつもりはないよ」
「お前の”普通”は周りとだいぶ違うからな・・・一緒にいると”普通”や”常識”が時々何なのかわからなくなる・・・」
「むぅ、普通じゃないのはあたしだけじゃなくてエルもそうだと思いますー」
「ふっ、違いない」
あたしの日常というものは、普通ならお目見えすることのない精霊さんや精霊王様達が身近にいたり、エルとの日常的な魔力付与や、あたしが元々異世界の人間だということもあり、いろんなことがこの世界の常識からかなりズレている。
「あたし、本当にエルがいないとこの世界で生きていけない人間だわ・・・」
「くくっ、それのどこが悪い?もうそれで良いではないか」
「ふふっ、それもそうだね」
普段なら、あたしが無理だと言っても朝まで何度も抱き潰す勢いのドSで鬼畜な俺様魔王様は、妊娠中の今はとびきり甘い旦那様になるようです。
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