【本編完結済】【R18】異世界でセカンドライフ~俺様エルフに拾われました~

暁月

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9章 帰郷!エルフの里へ ~悪戦苦闘の子育て編~

帰郷!エルフの里へ2

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世界樹ユグドラシルがあると言われる森の中の、少し開けた場所にあるエルフの里。
自然を愛する種族のため、家を建てたり畑を作る以外はありのままの自然を残しつつ、今も生活していているようだ。

里の中心に向かって小高い丘となっており、その丘の上にある大きい家が里長であるゴルドさんの家だった。

「ようこそ、エルフの里へ。ルーシェから話は聞いているよ。さ、どうぞ」

出迎えてくれたゴルドさんは、カルステッドさんのように体格の良い方で娘であるクラリスさんとは全然似ていなかった。エルフって、男性もエルとかルーシェントさんみたいな美形ぞろいかと思ってたけど、がっしり肉体派の人もいるんだね。

広いリビングの応接用のソファへ通され、簡単に挨拶を交わし、自己紹介し合う。

「いやぁ、ルーシェから聞いていたがいろいろ驚いたぞ?一時期はどうなる事かと心配していたが、こんな綺麗な奥さんと子供までできるとは・・・オレ達も年を取ったんだなぁ、ルーシェ」
「ふふっ、そりゃ僕とフィリーはもう”じぃーじ”と”ばぁーば”って呼ばれてるからね」
「は?!もう双子達からそう呼ばれてるのか??!!さすがはエリュシオンの子供だな!」

いえ、実際に”じぃーじ”と”ばぁーば”と呼んでるのは、次期水の精霊王様と無属性の精霊王様です。

ゴルドさんはエルを幼少期から知っている事もあり、サクラが”黒”であっても気にする事なく抱き上げ可愛がってくれたり、あたしやモニカに対しても普通に接するどころか、「エリュシオンってガルドニアの王族と交流あるのか?!あの時国外追放されて結果的に良かったんだな!はははっ」と豪快に笑い飛ばしてくれるくらい大らかな方だった。

簡単な近況報告と、モニカが少しずつガルドニアとエルフの里で交易をしつつ交流したい旨を伝えた後、急に真面目な顔をしたゴルドさんがエルに頭を下げてきた。

「・・・エリュシオン。改めて、奴隷商で売られそうになっていたうちのはねっ返り娘を助けてくれてありがとう。ずっと礼を言いたかった」

それは紛れもなく娘を想う父親の顔で、心から感謝しているのがよくわかる。

「頭をあげてくれ、里長。たまたま潰しに行った奴隷商に同じエルフの仲間がいただけだ。大層な理由じゃない」
「いや、偶然だろうがなんだろうが、エリュシオンに助けられなければクラリスは酷い目に遭っていただけでなく、もう二度と里に帰ってくる事もできなかっただろう。・・・実際にそうして帰ってこなかった親戚や仲間が過去に何人もいるんだ。それを理由に、今も”人間”を憎んでいる仲間も少なからずいる」

エルフは容姿端麗な方が多いため、奴隷商に捕まって愛玩奴隷として貴族に売られるケースが今でもあるらしい。まさか、親戚でもそんな方がいたなんて・・・クラリスさんが人間を憎むのは当然だったんだろう。

「すべての”人間”が悪いわけではないと私が皆に伝えて、皆の考えも変わりつつあるではありませんか。私達エルフがちゃんと自衛手段を持ちつつ、外の世界を知った上で町へ訪れればいくらでも対処できますもの。里から出たい者を抑止せず、数人で行動させる事を義務付けた事により、外界に偏見を持つ者は以前よりだいぶ減ったと先日報告したばかりですが、お父様はもうお忘れなのかしら?」
「クラリスさん!」
「クラリス」
「まったく・・・お父様、せっかくご結婚とお子様が産まれて里帰りしたエリュシオン様御一行ですのに、そんな暗い話はおやめくださいませ。皆様、うちの父が大変ご無礼を、申し訳ありません」

階下へ颯爽と降りてきて堂々とした応対をするクラリスさんは、元々すごく美人だけどさらに凛としていてすごくカッコ良い素敵な女性になっていた。

「お久しぶりですわね、サーヤ、エリュシオン様。・・・まぁ、その子達が産まれた子供かしら?」
「はいっ、シルバーブロンドの男の子がお兄ちゃんのレオンで、黒髪の女の子が妹のサクラです」
「あだー」
「んぷ、ぁー」
「ふふっ、元気で可愛い双子ですわね。・・・ちなみにそちらの女性はどなたかしら?」

双子達に軽く挨拶をしてから、一緒にいたモニカに視線を向けたクラリスさん。
モニカも臆することなく挨拶をする。

「初めまして。私、ガルドニア王国王太子の婚約者であり、サーヤの親友でもございます、モニカ=ランドルと申します。この通り子を宿しており、今は訳あってサーヤとエリュシオン様に匿っていただいておりますの」
「・・・サーヤ、ガルドニアの王太子ってあなたの元婚約者じゃ・・・?」
「そうですよ。でも今はちゃんと和解してるし、モニカのお腹の子のお父さんはその王太子で、何度か様子を見に家に来てたから普通に会ってますよ」
「・・・相変わらずおかしな神経してますわね、サーヤ」
「へへっ、それほどでも・・・」
「褒めてませんわっ!」

クラリスさんも相変わらずだなぁと思いながら、このやりとりが懐かしくなってしまう。
一緒にいた期間は短かったけど、内容は濃かったからなぁ・・・

「エリュシオン様、私、エルフの里に来たらサーヤにとっておきのお茶をご馳走すると約束してましたの。少し女同士でお話する時間を頂いてもよろしいかしら?」
「エル、あたしからもお願い。クラリスさんと少しお話ししたい!」
「・・・この家から出ないなら良い」
「やったぁ!ありがとう、エル♡」
「あと、モニカ・・・だったかしら。あなたも一緒にどう?」
「あら。私もご一緒してよろしいのですか?」
「えぇ、女同士の話をしようにも、サーヤの話はあまり参考にならないから・・・」
「あ、なるほど。かしこまりましたわ」
「??」

良くわからないけど、クラリスとモニカさんは何かをわかり合っているらしい。
おかしいな、今が初対面のはずだよね?

双子達をエルとルーシェントさんにお願いして、クラリスさんとモニカと3人で話をする事になったけど、妊婦のモニカが楽な体勢が取れるようリビングにある団らん用のソファで、クラリスさんが遮音の結界を張りながらお茶をする事にした。
応接スペースにいるエル達からも見える位置なので、心なしかエルも安心しているようだ。


「私が愛飲しているお茶よ。カフェインは入ってないからモニカも飲めると思うわ」
「!!・・・すっきりしてて美味しい」
「初めて飲みましたわ。ほのかに甘みもあってとても飲みやすい・・・これはなんというお茶ですの?」
「これはキーファ茶というの。この森に多くある低木の葉を煎じたものよ。美肌やむくみにも効いて女性のエルフはだいたい皆愛飲してるわ」
「美肌やむくみに効く・・・?!」

綺麗な赤みのある色、なんとなく見た目も味も効能もルイボスティーに似てる気がした。
こんなお茶あったらあたしも家で飲みたいなぁ。

味わいながら飲んでたら、隣にいるモニカいきなりガシっとクラリスさんの手を握って力説し始めた。

「クラリス様っ、このお茶をガルドニアで交易品として販売させていただけませんか?!」
「え?」
「このお茶は素晴らしいですの!私も同じ女性として日頃からこのお茶を飲み続けたいと思う程に美味しく、しかも美しくなれるだなんて絶対に売れますわっ!!この茶葉はおいくらなのでしょう??」
「えぇ?この低木は森にたくさん生えているし、煎じて乾燥させたら誰でも作れるからタダで・・・」
「それはいけませんわ!商品として販売したいので、茶葉を作っていただく費用や利益なども考えませんとっ!他にもこの里の特産品など交易品にできそうなものはございまして?」
「え、えっと・・・」

すっかりモニカはお仕事モードになってしまい、気迫に押されたクラリスさんは一度遮音の結界を解除して、ゴルドさんやルーシェントさんを交えて交易品の話になった。
ゴルドさんもまさか普段から皆が飲んでいるお茶にそんな価値があると思っていなかったようで、とても驚いている。

「エルフの里の皆様は、眉目秀麗で知的な方が多くいらっしゃいます。この茶葉を始め、私達の知りえない素晴らしい品物がございましたら、ぜひ交易させていただきたく思いますの。もちろん、里の皆様がガルドニアにあるもので欲するものがございましたら、こちらからの交易品としてやり取りさせていただきますわ」
「そ、そうか・・・ルーシェ、この里から出せるもので商品になりそうなモノはあるか?」
「そうだね、僕が判断するよりはちゃんと一度里の者皆で会議を開いて話し合いをするのが一番良いんじゃないかな?そこで、里から出せる物と欲する物両方の意見を皆に求めれば良い」
「そうだな、そうしよう!」
「モニカさんやガルドニアとやり取りをする代表も決めた方がスムーズだから、それはクラリスに任せたら良いんじゃないかな?」
「え、私ですか?!」
「すでにモニカさんと打ち解けているみたいだし、サーヤさんという共通の友人もいるし一番適任だと思うよ」
「・・・そうだな。クラリス、頼んだぞ」
「わ、わかりましたわっ」
「ふふっ、ではクラリス様、改めてよろしくお願いいたします。ガルドニアで用意できそうな品は、後程書き起こしたものをお渡ししますのでお役立てくださいませ。お互い利になる取引をいたしましょう」

・・・なんか、ガルドニアとエルフの里の交易あっという間にモニカのペースで決まってしまった。

「サーヤ、モニカって何者ですの?何か良い様に言いくるめられた気がしてなりませんわ」
「えっと、敏腕の次期王妃様で、正直王太子よりも頭の回転が速くてヤリ手だと思います・・・」
「最前線で相手と取引する次期王妃なんて聞いた事ないわよ・・・人間ってすごいわね」

うん、こんなことする次期王妃様はモニカ位だと思います。


でもこれをきっかけに“人間”と“エルフ”がより協力し合っていけたら、種族で差別する人もさらにいなくなって良いんじゃないかと思う。

人と人との繋がりってこうしてできていくんだなと、見ていてほっこりしてしながら、”この交易がうまくいきますように”と、あたしは心の中で強く願っていた・・・――――――
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