普通を貴方へ

涼雅

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気まずい

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あれからしばらくして、互いの器の底が見え始めた

「…飲み終わっちゃった」

そう言う彼のカップの底にはクレッセントが残されていた

僕も残りのひとくちを飲み干すとコトリ、とカウンターテーブルにそれを置いた

「もう出ましょうか」

僕の声に雅空さんが静かに頷いた

正直、気まずい。

そんなことを考えてしまうのは全て自分のせい。

分かっているけれど先程までの威圧感は僕の肌から離れない

日焼けをした時のように、じんわりと、ヒリヒリとした感覚。

それを悟らせないように、顔を背けて会計を済ませた

失礼なことをしていると自覚している

けれど、さっきのことを気にしていることを知られたくない

もっと、気まずくなってしまうかのような予感がして。

「それじゃあ、またね。舞桜」

喫茶店で「舞桜と呼んでください」と言ったことを覚えてくれていたようだ

それにきゅーっと胸が締め付けられる

ごめんなさい、失礼なことをしてしまって。

「はい、また今度」

ちゃんと雅空さんを見て、微笑んだ

彼も鏡合わせのように微笑み返してくれた

形のいい眉が下がっていたのも、僕の真似ですか?

小さく手を振ってから彼に背を向けた

数歩、歩いてから肩越しに彼を振り返ると、もうそこには彼の姿はなかった
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