4人

涼雅

文字の大きさ
上 下
11 / 22

美味しい焼肉

しおりを挟む
「……うくん……しょうくん!」

「なんで?また、いなくなるん?嫌や、そんなん嫌やで、おれ、もぉ、いやなんやぁ……」

2人の泣きじゃくる声が聞こえる

また心配させてもうたなぁ

せっかく、拓也と会えたのに

ふたりがしっかりしてくれへんと、逝けへんやん

安心して、拓也さんと一緒におれへんやん

「………陟さん…颯冬」

少し掠れた声で2人を呼ぶ

ぱっと顔を上げる2人は俺を抱きしめた

「しんぱいしたんだからね…!も、しょうくんのばかぁ!!」

「ぶじでよかった、ほんま、よかった……!」

「ごめんなぁ、もう、大丈夫やから」

拓也と会えたんやで、なんてことは言わないでおこう

交通事故にあった俺は暫く院内生活になった

と、いっても思ってたより軽傷

毎日交代交代でお見舞いに来てくれるふたり。

ほんまに、心配しかかけてへんわ


ふたり一緒にお見舞いに来てくれたある日

「焼肉残念やったなぁ」

「…っ、俺、いっぱい食べる予定だったのにぃ~」

視線を逸らして苦笑いする颯冬

気まづくなる話題だって、わかっとるよ。

でも、少しだけやから。

「今度の焼肉は俺が奢っちゃる!」

せめてもの、お礼やから。

「えぇ?!俺が奢るんだってば!」

「いーや、ふたりには迷惑かけてばっかやからなぁ

  少しくらい俺にもええ顔させてや?」

なんてキメ顔でかっこ悪いことをいえば

2人はくすりと笑ってくれた

頭痛に少し顔を顰めた

「…そう、言うなら別に奢ってもらうことも無くはない……」

「っもー、陟さんは素直じゃないんやからぁー!」

焼肉の約束を取り付けて、その日は解散になった


数日後、院内から出てくる3人の姿。

「やぁーっと退院出来たわ~」

「ほんま長かったなぁ」

「よし、無事退院したということで、焼肉!!!!」

たらふく食べ、財布はスッカラカンになったとさ

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

「符号の旅」

SF / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

音痴な私は歌姫の異母妹と国を賭けて竜に歌います

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:10

春の真ん中、泣いてる君と恋をした

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:100

あの星たちに願いを。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

侯爵様と私 ~上司とあやかしとソロキャンプはじめました~

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:114

ある女の日々

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

ヘタレてるのはわかっているがどうにもこうにもならんのだ。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:83

想妖匣-ソウヨウハコ-

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

大きくて可愛いあなたと

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:49

処理中です...