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第2章 裏切りという名の誠実

21 ハグ!?!?!?

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 しばらく経ち、その間ずっと慰めていると不意に、
「え?貴方、な、何なの?」といきなり言われ、泡沫の方を見ると目をまん丸にして顔を真っ赤に染めていた。何というか、噴火した溶岩と言うのだろうか。それとも熟れたりんごと言うのだろうか。とにかくそんな感じの顔になっていた。
「どうした?」そう言い終わる直前、
「ハハハハグ!?!?!?」そして、そのままへにゃりと崩れ落ちた。揺さぶりながら声をかけるが反応はない。しかし、息はしているようで、考えあぐねた俺は良い感じの岩に彼女をもたれかからせ、
「今日は冷えるな」と呟きながら上着を彼女に被せてその場を後にした。なんというか、可愛かったな。と、俺はそんな感想を抱きつつ今度は森に入るのだった。
 何故砂浜を移動しないのか。これは俺のミスで見つかりやすいルートを自分から選んでいたのに気づいたからだ。大人しく森の中を通った方が見つかる可能性は低い。
 良い感じの木を見つけ、それにもたれかかった。久しぶりにあんなに動いたから疲れたな。そう考えながら俺は目を閉じた。

「おい。今なら隙だらけだぞ。全員で昇級だ!」俺は物音と大量の気配に気づき、目を覚ました。とは言っても目を開けてはいない。耳だけで判断している。大体20人ほどだろうか。クラスC。要するに一個上のクラスの連中だと話の内容で判断した。
 もしこれで俺が先程泡沫澄玲を倒したと聞いていたら彼らはどうするだろうか。きっと恐れるだろう。しかし、そんな情報まだ広がっていない。
「僕らはクラスBに上がるんだ!」その声と共に俺は目を開き、最初に飛びかかってきた奴を叩き落とした。
 直後、その場は一気に騒然となる。しかし、それは一瞬だけの話。次の瞬間には既に立っているのは俺ともう一人の男子生徒だった。そいつは怖気付いたようにジリジリと後退りをしている。
「お、お前。なんでそんなに強いんだよ!黒眼の落ちこぼれのくせに!」
 何度落ちこぼれと言われただろうか。そんなことを考えながら俺は歩みを進める。そして、そいつの胸倉を掴んで持ち上げた。その顔が恐怖に歪む。
「なんで、か。果たしてソレをお前が知る必要はあるのか?その落ちこぼれにお前は後れをとっているわけだ。そんなの、どっちが落ちこぼれだろうな」
「わ、分かったから、だから離してくれ!」ソイツは必死に懇願する。俺は
「離してやるよ。その代わり」一瞬ソイツの顔が明るくなったが、俺は更に言葉を続ける。
「その代わり、受け身を取れよ?」思い切り投げ、ソイツがどうなったかを見る前に俺は
「折角寝れると思ったんだけどな」と呟きながら俺はその場から逃げた。脚には自信がある。さて、どこに行こうか。先程船の予定表を見たのだが、今日の夜に来るそうだ。なので、何とかそれまで耐えなければならない。もう、退学は少し覚悟している。
 しかし、この状況なら俺の行動次第なら退学になっても問題はないのだ。そして、桜の災害が起こったとしても穏便にしていたら問題はないだろう。

 俺はその後海岸にいても朝なら見つかると判断したので内陸部の山に来ていた。そこには小鳥一匹すら居なかった。何だか不穏な空気があるが、それでも気配は感じなかったのでここでしばらく潜伏をすることにするのだった。
「見つかるわけにはいかない」
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