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第4章 大牢獄襲撃戦

51 最期の刻

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 気絶させたのは不都合だったと思いつつ俺はその男を何度もベシベシと叩いて起こした。
「目的は何だ」気配が何個か俺の方に向かっているのを感じる。なので、先にその話を聞いておきたい。その男は
「言うわけねえだろ」そう咳き込みながら話したが、俺は勿論
「答えなければ痛い目を見るぞ?」俺はその黒の能力を見せつけながら肩を揺さぶる。
「さあ。吐け」すると、
「絶対に!言わねえよ!」そうして、憤怒の表情で俺に飛びかかるが、無論。俺の方が早いし、強い。一瞬にしてその黒の能力をぶつけ、
「あああぁああああ!!!」と絶叫してのたうち回るソイツを俺は横目で見遣り、
「能力は、ちゃんと効果しているな」そして、やっと駆けつけてきたらしいそのフード6人組を前にし、
「お前達もああなりたく無かったらすぐに立ち去れ」その景色に動揺したのかざわめくが、直ぐに、
「神への信仰が足りなかったんだ。もっと、あの方を崇拝し、復活の手伝いをしていればこんなことには」何か真ん中にいた人間がそう言い、俺の疑問はついに確信へと変わった。

 結論から言う。コイツらは野放しにできない。俺にはコイツらが信仰している「神」が何者か理解しているからこそ、倒さなければならない。再び立ちあがろうとするその意志すら消し去らなければならない。そんな、ヤバすぎるものを信仰しているのだから。それだけ、俺の目的に、障害となる存在。
 ここにはコイツらしかいない。ならすべき事はただ一つ。
「黒の能力は、神の加護のついているはずのお前達に効くかな?」俺はそんな余裕をかまして、
「黒の、能力。まあ良い。ハッタリだ!潰せ!」そう言ってかかってきた6人。
 刹那、その戦いは終わっていた。俺が手を払った瞬間、全員が倒れ、そこで意識を保っているのは俺だけとなった。いや、違う。1人だけ、呻きながらも耐えている奴がいた。俺はソイツに話しかける。筋肉質な女だ。緑色の眼をしていて、俺を睨んでいる。
 緑色。か。しかし、那由他のように綺麗なわけじゃない。そんな色。
「どうして、お前はそんなに簡単に人を殴れるんだ」そうぼやいているが、
「とにかく、この大牢獄に何人で来たのか答えろ」そう言い放つ。すると、
「200人以上、だ。全員ランクA以上の能力者達。お前は確かに強い。だが、教祖様には勝てるわけない!」どうやら、コイツらは宗教団体らしい。
「お前は一つ、勘違いをしている」俺はその絶対的な事実を教えてやる。
「仮にお前の言う教祖様が強かったとしよう。だが、こっちには虹纏う帝王こと八見霧花と紫球の女王の泡沫澄玲がいるから、負けるはずがねえよ」それに、俺はその澄玲に打ち勝ったことがある。まあ、果たしてあれをそう言えるのか怪しいが。ただ、
「まあ、諦めろ。俺たちが全滅させるからよ」そう言い残し、俺はその場を立ち去る。
 どんな敵が立ち塞がろうとも、それが俺のクラスメイトであったり、実の親を名乗る人間がいて、本当であったとしても、俺は目的を果たすためなら拳を振るい、そのためだけに俺は今能力を行使している。だからこそ俺は目的を阻むことになるこの宗教団体のメンバーを容赦なく攻撃する。殴って、蹴って、能力で吹き飛ばして、歩き続ける。そして、仮に俺のその目的が達成される時、
 それが、俺の最期の刻だ。
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