【あらすじ動画あり / 室町和風歴史ファンタジー】『花鬼花伝~世阿弥、花の都で鬼退治!?~』

郁嵐(いくらん)

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22話(2)【室町和風ファンタジー / あらすじ動画あり】

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■お忙しい方のためのあらすじ動画はこちら↓
https://youtu.be/JhmJvv-Z5jI

■他、作品のあらすじ動画
『【和風ファンタジー小説 あらすじ】帝都浅草探しモノ屋~浅草あきんど、妖怪でもなんでも探します~』

-ショート(1分)
https://youtu.be/AE5HQr2mx94
-完全版(3分)
https://youtu.be/dJ6__uR1REU    
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外では花鬼と義満が、再び剣と杖を交じり合わせていた。

「駄目だ……そんなことをしては……」
叫びたかったが、喉がからからに渇いていて、声にならなかった。

なんとしてでも、二人を止めないと。

(だって、あれは……あの人は……)

先ほど、月光の下で垣間見た顔を思い出す。
美しく優しげ、それでいて哀しみに歪んだ顔。

(一体、いつからだ?)

いつから、彼女は花鬼に憑かれていた?
いつから彼女は自分のことを憎んでいた?

「……──高橋殿」
声にはならない声で言う。

まさかそんなはずはないと、何度も否定した。
彼女はいつだって親身に世話を焼いてくれたし、舞台も応援してくれた。自分のことを芸人だと差別しなかったのも、彼女だけだ。

なのに、なぜ……?

「だから言ったでしょ。貴方にもいつかわかるって」
後ろにいたセイが油汗を浮かべながらも、どこか清々したように言った。

「本当に怖いのは、鬼として生まれた力動風鬼(りきどうふうき)じゃない。本当に恐ろしいのはね……」

──鬼を身の内に隠している人間の方よ。

唐突に昔の記憶が甦ってきた。遥か、昔、星占いのおばばも同じことを言っていた。

(そうか、そうだったんだ……)

自分は、何も知らなかったのだ。
本当の鬼の恐ろしさを。

人はある日突然、鬼になってしまう。
いや、もしかしたらずっと、その笑顔の下に憎しみや恨み——鬼の種を隠し持っているのかもしれない。

──怖い。
ぶるりと身体が震えた。

「くそっ……!」

瘴気をまともにくらった義満が、ぐらりと体勢を崩した。今や、黒々とした瘴気の煙は、義満の黄金の〝気〟まで飲み込んでいる。

藤若はセイを振り返った。

「セイっ! 一体、どうすれば──」
「むやみに攻撃しても無駄よ。ここは花鬼の夢幻空間。まずは花鬼の正体を明らかにしないと」
「そんな正体って言っても……」

助けを求めるように、辺りを見回す。本当にここが花鬼の記憶の中──物語の中ならば、何か手がかりがあるはずだ。

見つけるんだ。何でもいい、何か、何かないか。

ふと、庭に目がいった。
先ほどまで荒れ果てていた庭は、屋敷の中同様、風雅な姿に変わっていた。

なのに、みすぼらしい破れ車だけが、その中央で取り残されたようにぽつんと残っていた。カタカタカタと車輪が地謡のように、低い音をたてて回っている。

「憂き世はうしの小車の 廻る報ひなるらん……」
藤若の頭の中に、先ほどの花鬼の言葉が甦ってきた。

その時、几帳の向こうから、大きな音がした。見ると義満が床に片膝をつき、はあはあと肩で大きく息をしていた。瘴気にあてられ続けたからだろう。

それでも、その鋭い目は前の花鬼に向けられていた。

「……朝日! こんな浅ましい真似をして、恥ずかしいとは思わないのかっ!」
「浅ましい、だと……?」

ふいに、般若の形相に、濃い影が差した。振り上げられた杖が宙でぴたりととまる。

「浅ましい? 浅ましいだと……! そんなの自分が一番よくわかっているっ……!」
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