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素直になりたくて(6)
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つまり誘いを了承したら、ルパートと完全に恋人関係になるということだ。精神的にも、……肉体的にも。
「……………………」
ど、どうしよう。どう答えたらいい? 冷静に考えたいのに顔が火照る。心臓の音がうるさい。デザートスプーンを持つ指先が震える。
困っている私にルパートは柔らかく微笑んだ。
「先の話だからすぐに返事をする必要はねーよ。ただ、検討はしてくれな」
「…………はい」
何とか私は短い返事をした。
ピアスの穴開けの件も相当刺激的だったのに、宿泊旅行となったらそのものズバリだよ。OKしたら文字通り貫通……ひぎゃあぁぁぁ、めっさエロいこと考えちゃったぁ!! どうか読心術の使い手が近くに居ませんように。
あうぅ、悶々としちゃって今夜は眠れないかも。
それから十数分後にカフェを後にしたが、まだ興奮冷めやらず私の顔は熱いままだった。ファンデーション塗ってるから赤みはそれほど目立ってないよね?
「風が気持ちいいな。少し散歩するか」
賛成。風で火照りとえっちな気分を鎮めたい。ルパートはまたもや私の手を、自分の腕と組ませて程良い速度で歩き出した。
道行くご婦人達が私達を振り返る。美しいルパートに目を奪われたんだろう。胸元が開いた服とシルバーアクセサリーのせいか、いつもより色気が増している。だけど子供の頃からモテモテだった彼は、女性達の熱視線を浴びても平然としていた。
「……どうした? 疲れたのか?」
つい眉間に皺を寄せてしまった私。ルパートが気にした。
「いえ大丈夫です。初デートもすごく楽しいです。でも先輩とはちょっと温度差が有るみたいですね……」
「ん? 俺だってすげぇ楽しんでるぞ?」
「心の余裕に関してですよ。私は雑貨屋さんでもカフェでもドギマギしっ放しで心臓が逝っちゃいそうなのに、先輩は普段通りなんだもん」
「あのなぁ」
ルパートが短く溜め息を吐いた次の瞬間、私は建物と建物の隙間に連れ込まれていた。人目から外れた狭い空間へ。
「ちょ……駄目ですよ、こういうコトするから心臓が保たなくなるんです!」
抗議したがルパートは真面目な顔で私を見下ろした。
「おまえは俺が、今日ずっと平常心でいられたと思っているのか?」
「え……。あ!?」
ルパートに掴まれた私の右手が、彼の左胸にグッと押し付けられた。
「…………解るか?」
トクトクトクトク。右手にルパートの早い鼓動音が伝わった。
「俺だって緊張してるし、おまえの反応一つ一つにドギマギしてる」
「…………はい」
疑う余地は無かった。キスをした晩と同じ、彼の心臓の高鳴りが証明してくれたのだから。
空いたもう一方の手で、ルパートは私の顔を上げた。
「ウィー、俺の心を乱すのはおまえだけなんだ」
そうして切ない表情をした彼の顔が接近してきた。
(先輩……)
これからキスをされるのだろう。私はそれを受け入れたい気分だった。
素直になれた結果なのか、それとも流されているだけなのか。
判らない。でも私は瞼を閉じてルパートのキスを待った。
「なっ、魔法反応!? 何処からだ!?」
しかしヤツの口からは甘い口づけではなく、物騒な台詞が飛び出した。
目を開けた私は周囲を確認して、そしてルパートと同時に悲鳴上げた。
「きゃあぁ!!」
「うわっ!」
建物が造る暗い影から黒い手が三本、にょっきり生えて伸びていた。コレ知ってるよ、前にも見た──!!!!
二本の黒い手が互いの指を合わせてハートマークを形作り、残る一本は握り拳の親指だけを下に向けて、「地獄へ落ちろ」とジェスチャーしていた。
「マシュー中隊長ですね!」
ルパートが仕掛人の名前を挙げて、
「シ~。今一応お忍び中なんで、大きな声で名前を呼ぶの勘弁してもらえますか~?」
呑気な声がそれに応じた。私とルパートが居る建物の隙間を覗いてきたのは、予想通り第七師団所属の聖騎士・癖っ毛のマシュー中隊長だった。
「……すまない、邪魔をしたくはなかったのだが」
本当に申し訳なさそうに謝罪したのは、真面目なお髭の連隊長エドガーだ。
「ルパート、やったな! この短期間でライバルを蹴散らして、ロックウィーナの心を見事に掴んだか!」
拍手しながら囃し立てたのは天然陽キャ・暴走気味の師団長ルービック。
「な、何で皆さんがこの街に居るんですか……?」
ルパートの疑問はもっともだった。聖騎士三人組は師団の部下と共に王都へ帰ったはずなのに。
しかも聖騎士の象徴である白銀の鎧を脱ぎ、腰に剣を差してはいるもののラフな格好をしている。それでも目立つ華の有る彼らではあるが。
キスを中断させられたルパートは不機嫌そうだったが、私は別のことを残念がっていた。
どうしてこの世界には岩見鈴音の世界に在るカメラが無いんだ! 私服姿の聖騎士四名が揃い踏みだよ! あー記念撮影したい。
「……………………」
ど、どうしよう。どう答えたらいい? 冷静に考えたいのに顔が火照る。心臓の音がうるさい。デザートスプーンを持つ指先が震える。
困っている私にルパートは柔らかく微笑んだ。
「先の話だからすぐに返事をする必要はねーよ。ただ、検討はしてくれな」
「…………はい」
何とか私は短い返事をした。
ピアスの穴開けの件も相当刺激的だったのに、宿泊旅行となったらそのものズバリだよ。OKしたら文字通り貫通……ひぎゃあぁぁぁ、めっさエロいこと考えちゃったぁ!! どうか読心術の使い手が近くに居ませんように。
あうぅ、悶々としちゃって今夜は眠れないかも。
それから十数分後にカフェを後にしたが、まだ興奮冷めやらず私の顔は熱いままだった。ファンデーション塗ってるから赤みはそれほど目立ってないよね?
「風が気持ちいいな。少し散歩するか」
賛成。風で火照りとえっちな気分を鎮めたい。ルパートはまたもや私の手を、自分の腕と組ませて程良い速度で歩き出した。
道行くご婦人達が私達を振り返る。美しいルパートに目を奪われたんだろう。胸元が開いた服とシルバーアクセサリーのせいか、いつもより色気が増している。だけど子供の頃からモテモテだった彼は、女性達の熱視線を浴びても平然としていた。
「……どうした? 疲れたのか?」
つい眉間に皺を寄せてしまった私。ルパートが気にした。
「いえ大丈夫です。初デートもすごく楽しいです。でも先輩とはちょっと温度差が有るみたいですね……」
「ん? 俺だってすげぇ楽しんでるぞ?」
「心の余裕に関してですよ。私は雑貨屋さんでもカフェでもドギマギしっ放しで心臓が逝っちゃいそうなのに、先輩は普段通りなんだもん」
「あのなぁ」
ルパートが短く溜め息を吐いた次の瞬間、私は建物と建物の隙間に連れ込まれていた。人目から外れた狭い空間へ。
「ちょ……駄目ですよ、こういうコトするから心臓が保たなくなるんです!」
抗議したがルパートは真面目な顔で私を見下ろした。
「おまえは俺が、今日ずっと平常心でいられたと思っているのか?」
「え……。あ!?」
ルパートに掴まれた私の右手が、彼の左胸にグッと押し付けられた。
「…………解るか?」
トクトクトクトク。右手にルパートの早い鼓動音が伝わった。
「俺だって緊張してるし、おまえの反応一つ一つにドギマギしてる」
「…………はい」
疑う余地は無かった。キスをした晩と同じ、彼の心臓の高鳴りが証明してくれたのだから。
空いたもう一方の手で、ルパートは私の顔を上げた。
「ウィー、俺の心を乱すのはおまえだけなんだ」
そうして切ない表情をした彼の顔が接近してきた。
(先輩……)
これからキスをされるのだろう。私はそれを受け入れたい気分だった。
素直になれた結果なのか、それとも流されているだけなのか。
判らない。でも私は瞼を閉じてルパートのキスを待った。
「なっ、魔法反応!? 何処からだ!?」
しかしヤツの口からは甘い口づけではなく、物騒な台詞が飛び出した。
目を開けた私は周囲を確認して、そしてルパートと同時に悲鳴上げた。
「きゃあぁ!!」
「うわっ!」
建物が造る暗い影から黒い手が三本、にょっきり生えて伸びていた。コレ知ってるよ、前にも見た──!!!!
二本の黒い手が互いの指を合わせてハートマークを形作り、残る一本は握り拳の親指だけを下に向けて、「地獄へ落ちろ」とジェスチャーしていた。
「マシュー中隊長ですね!」
ルパートが仕掛人の名前を挙げて、
「シ~。今一応お忍び中なんで、大きな声で名前を呼ぶの勘弁してもらえますか~?」
呑気な声がそれに応じた。私とルパートが居る建物の隙間を覗いてきたのは、予想通り第七師団所属の聖騎士・癖っ毛のマシュー中隊長だった。
「……すまない、邪魔をしたくはなかったのだが」
本当に申し訳なさそうに謝罪したのは、真面目なお髭の連隊長エドガーだ。
「ルパート、やったな! この短期間でライバルを蹴散らして、ロックウィーナの心を見事に掴んだか!」
拍手しながら囃し立てたのは天然陽キャ・暴走気味の師団長ルービック。
「な、何で皆さんがこの街に居るんですか……?」
ルパートの疑問はもっともだった。聖騎士三人組は師団の部下と共に王都へ帰ったはずなのに。
しかも聖騎士の象徴である白銀の鎧を脱ぎ、腰に剣を差してはいるもののラフな格好をしている。それでも目立つ華の有る彼らではあるが。
キスを中断させられたルパートは不機嫌そうだったが、私は別のことを残念がっていた。
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