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素直になりたくて(7)
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「説明をお願いします師団長。何をなさっているんですか?」
ルパートが憮然とした表情で質問を繰り返した。ルービックは気まずそうに答えた。
「あー……、別に意識してデートを覗こうとした訳じゃないぞ? 私とエドガーは昼飯のついでに、マシューに街を案内してもらっている最中だったんだ。おまえとロックウィーナにここで再会したのは完全に偶然だから。キスの瞬間に立ち会ってしまったのも。ちょっとした運命の悪戯というヤツだな」
ぎゃっはぁ! キスする直前ってバレてたぁ!!
デートを知り合いの誰かに見られる危険は覚悟していた。職業柄、私達はたくさんの冒険者達と顔馴染みになるから。でも聖騎士とエンカウントするとは予想していなかったよ。
私はあわあわして、ルパートは低い声で三度目の質問をした。
「……王都に戻ったはずの皆さんと、何故ここフィースノーの街で遭遇することになったのか、俺はそこをお聞きしたいんです」
「キスを邪魔したことに対しては怒ってないのか?」
「怒ってますよ。怒ってますけれど、まずは状況を確認したいので」
「私情よりも状況把握を優先させるか。流石だなルパート、私が目をかけた男だけのことはある」
「そういうのはいいんで、早く質問に答えて下さい」
「うむ、それがだな……」
ルービックは声を潜めはしたものの、あっけらかんと答えた。
「現在我々は暗殺者から逃亡中なんだ」
「は!?」
「いやまいったまいった、ホント大変」
本当に困ってます? 「ファンの女性にしつこく追っかけされてキッツ」みたいなノリで言ってるけど。
当然事態が掴めずに目をパチクリさせたルパートと私。
「あの、お話がまるで見えてこないのですが」
「ですよね~」
キスを邪魔した戦犯・マシューがヒョイと、ルービックとルパートの間に身体をねじ込ませた。
「詳しくご説明したいので、ルパート先輩とロックウィーナも一緒に食事しましょう。完全個室の落ち着いた店に予約を入れてあるんです。二人くらい増えても大丈夫ですから」
「いや、俺とコイツはさっき食ったばっかなので」
「ほう、混み合う前に済ませたか。無駄のない行動、流石だなルパート」
「師団長、いちいち褒めて下さらなくていいんで」
はは。ルービックはかなりルパートを気に入っているようだ。年の離れた弟みたいな感覚なのかな。
「ね、飲み物だけでも一緒に。ご相談したいことが有るんですよ~」
「すまない二人とも。数時間だけ付き合ってもらえないだろうか?」
マシューの背後からエドガーが一歩前に出てきた。真面目な彼にまで頼まれるとなると、事態はそれなりに緊迫しているのだろう。
ルパートと私は顔を見合わせた後に頷いて、聖騎士チームと行動を共にすることにした。デートはこれで終わりになりそうだな。楽しかっただけにちょっと残念……。
でも暗殺なんてワードを聞いたらそのままにしておけないよね。ルパートもそう考えたんだろう。
マシューに連れてこられた店は所謂高級レストランだった。普段の私なら絶対に立ち入らない店だ。柱も床も店内の装飾も立派なのだが、こういった空間に慣れていないせいか少し冷たいイメージを持った。
黒いベストを着た中年の従業員が恭しくお辞儀をした。
「マシュー様、お待ちしておりました」
「二人増えたんだけど、彼らの分も席を作ってもらえる?」
「はい。すぐにご用意致します」
従業員と顔見知りか。マシューはフィースノー地方を治める男爵の子供だったな。気さくな青年なので貴族ということを忘れそうになる。実家がこの街に在ると言っていたし、ここは彼の馴染みの店なんだろう。
広い個室へ案内されて私達は席に着いた。飲み物メニューを見ている私へマシューが声をかけた。
「ロックウィーナ、この店はデザートのケーキがとても美味しいんだよ。食べてみない?」
「うーん……私、オムライスとフルーツサンデーをカフェでガッツリ食べちゃったんですよ」
「もう入らない感じ?」
「ケーキくらいならいけそうですが、太りそうで」
会話を聞いたルパートが笑って否定した。
「おまえは毎日訓練して戦士としての身体を作っているから大丈夫、太りにくい体質だよ。ちょっとぐらい多めに食べても気にするな」
「俺もそう思うよ~。もし残したら俺が食べてあげるからさ」
「いや中隊長、その場合は俺が残りを引き受けますんで」
それだと公開間接キスになるじゃん。意地でも残さずに食べるわ。
それぞれオーダーを済ませた私達は、従業員が退室するのを待ってから本題に入った。
「師団長、先ほど話されていた暗殺者とは何のことです?」
切り出したルパートへ、ルービックは重い事実をさらりと打ち明けた。
「騎士団の団長と相談した上でな、私、エドガー、マシューの三人が連名で、アンダー・ドラゴンと繋がっていたグラハム・ロニックを告発したんだよ」
「ええっ、もう告発されたんですか!? 思い切りましたね!」
これには私も驚いた。いろいろと面倒なことになると以前ルービックが語っていたので、根回しに時間をかけると思っていた。
「逃げる隙を与えたくなかったんでね、速攻勝負に出た。それでグラハムと奴の側近は留置場へ送ることができたんだ」
グラハムざまぁ。凶悪犯罪組織に兵団の情報流して汚い報酬を貰っていた男だ。同情はしない。
ルパートが憮然とした表情で質問を繰り返した。ルービックは気まずそうに答えた。
「あー……、別に意識してデートを覗こうとした訳じゃないぞ? 私とエドガーは昼飯のついでに、マシューに街を案内してもらっている最中だったんだ。おまえとロックウィーナにここで再会したのは完全に偶然だから。キスの瞬間に立ち会ってしまったのも。ちょっとした運命の悪戯というヤツだな」
ぎゃっはぁ! キスする直前ってバレてたぁ!!
デートを知り合いの誰かに見られる危険は覚悟していた。職業柄、私達はたくさんの冒険者達と顔馴染みになるから。でも聖騎士とエンカウントするとは予想していなかったよ。
私はあわあわして、ルパートは低い声で三度目の質問をした。
「……王都に戻ったはずの皆さんと、何故ここフィースノーの街で遭遇することになったのか、俺はそこをお聞きしたいんです」
「キスを邪魔したことに対しては怒ってないのか?」
「怒ってますよ。怒ってますけれど、まずは状況を確認したいので」
「私情よりも状況把握を優先させるか。流石だなルパート、私が目をかけた男だけのことはある」
「そういうのはいいんで、早く質問に答えて下さい」
「うむ、それがだな……」
ルービックは声を潜めはしたものの、あっけらかんと答えた。
「現在我々は暗殺者から逃亡中なんだ」
「は!?」
「いやまいったまいった、ホント大変」
本当に困ってます? 「ファンの女性にしつこく追っかけされてキッツ」みたいなノリで言ってるけど。
当然事態が掴めずに目をパチクリさせたルパートと私。
「あの、お話がまるで見えてこないのですが」
「ですよね~」
キスを邪魔した戦犯・マシューがヒョイと、ルービックとルパートの間に身体をねじ込ませた。
「詳しくご説明したいので、ルパート先輩とロックウィーナも一緒に食事しましょう。完全個室の落ち着いた店に予約を入れてあるんです。二人くらい増えても大丈夫ですから」
「いや、俺とコイツはさっき食ったばっかなので」
「ほう、混み合う前に済ませたか。無駄のない行動、流石だなルパート」
「師団長、いちいち褒めて下さらなくていいんで」
はは。ルービックはかなりルパートを気に入っているようだ。年の離れた弟みたいな感覚なのかな。
「ね、飲み物だけでも一緒に。ご相談したいことが有るんですよ~」
「すまない二人とも。数時間だけ付き合ってもらえないだろうか?」
マシューの背後からエドガーが一歩前に出てきた。真面目な彼にまで頼まれるとなると、事態はそれなりに緊迫しているのだろう。
ルパートと私は顔を見合わせた後に頷いて、聖騎士チームと行動を共にすることにした。デートはこれで終わりになりそうだな。楽しかっただけにちょっと残念……。
でも暗殺なんてワードを聞いたらそのままにしておけないよね。ルパートもそう考えたんだろう。
マシューに連れてこられた店は所謂高級レストランだった。普段の私なら絶対に立ち入らない店だ。柱も床も店内の装飾も立派なのだが、こういった空間に慣れていないせいか少し冷たいイメージを持った。
黒いベストを着た中年の従業員が恭しくお辞儀をした。
「マシュー様、お待ちしておりました」
「二人増えたんだけど、彼らの分も席を作ってもらえる?」
「はい。すぐにご用意致します」
従業員と顔見知りか。マシューはフィースノー地方を治める男爵の子供だったな。気さくな青年なので貴族ということを忘れそうになる。実家がこの街に在ると言っていたし、ここは彼の馴染みの店なんだろう。
広い個室へ案内されて私達は席に着いた。飲み物メニューを見ている私へマシューが声をかけた。
「ロックウィーナ、この店はデザートのケーキがとても美味しいんだよ。食べてみない?」
「うーん……私、オムライスとフルーツサンデーをカフェでガッツリ食べちゃったんですよ」
「もう入らない感じ?」
「ケーキくらいならいけそうですが、太りそうで」
会話を聞いたルパートが笑って否定した。
「おまえは毎日訓練して戦士としての身体を作っているから大丈夫、太りにくい体質だよ。ちょっとぐらい多めに食べても気にするな」
「俺もそう思うよ~。もし残したら俺が食べてあげるからさ」
「いや中隊長、その場合は俺が残りを引き受けますんで」
それだと公開間接キスになるじゃん。意地でも残さずに食べるわ。
それぞれオーダーを済ませた私達は、従業員が退室するのを待ってから本題に入った。
「師団長、先ほど話されていた暗殺者とは何のことです?」
切り出したルパートへ、ルービックは重い事実をさらりと打ち明けた。
「騎士団の団長と相談した上でな、私、エドガー、マシューの三人が連名で、アンダー・ドラゴンと繋がっていたグラハム・ロニックを告発したんだよ」
「ええっ、もう告発されたんですか!? 思い切りましたね!」
これには私も驚いた。いろいろと面倒なことになると以前ルービックが語っていたので、根回しに時間をかけると思っていた。
「逃げる隙を与えたくなかったんでね、速攻勝負に出た。それでグラハムと奴の側近は留置場へ送ることができたんだ」
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