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ヤンデレ集団Bチーム(7)
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「俺はどこまで話したっけかな」
「この国に来て傭兵を始めたら、先輩の立場のレスターがいろいろと面倒を見てくれた、話してくれたのはそれだけだよ。親切だったレスターがどうして、アンダー・ドラゴンなんて凶悪犯罪組織に入ってしまったの?」
「ああ……」
ユーリは自身の結んだ髪の先を指でいじった。
「あの人は、手っ取り早い復讐の手段が欲しかったんだよ。力を求めてアンダー・ドラゴンに入った」
マシューが質問した。
「復讐とは、彼の実家である伯爵家に関係している? 犯罪の片棒を担がされたんだよね?」
「そうだ。あの人の両親は仲間の貴族にハメられて領地と名誉を奪われた。そして自らの命を断ってしまったんだ」
ユーリは自分のことのように悔しさを顔に滲ませた。
「その時、国から断罪されたのはアーク家と男爵であるもう一家だけだった。しかし犯罪の規模から見て、他にも高位貴族が関与しているだろうと囁かれていたそうだ」
「囁かれただけで見つからなかったんだよね、その高位貴族は」
貴族のマシューが当時の状況を思い出していた。
「ああ。だから伯爵家の生き残りであるあの人は、傭兵稼業で日銭を稼ぎながら、首謀者の高位貴族が誰なのか探っていたんだ」
「見つかったの?」
「……ある日、アーク家の執事だった男からあの人へ連絡が入ったんだ。実は旦那様は生前、とある貴族から脅されていたようで随分悩んでいたと」
「その貴族とは……?」
「侯爵家のリドリー・キュアンだ」
マシューが目を見開いた。
「なっ……、侯爵は屋敷に侵入した強盗に襲撃されて命を落としたと聞いたが、まさかあの事件はレスター・アークが起こしたのか!?」
ユーリは頷いた。
「……キュアンはあの人の父親と親交が深く、傭兵に身を落としてしまったあの人のことも、何かと気にかけてくれていた恩人と呼べる人だった」
「そんな……恩人が仇だったの!?」
ユーリはつらそうに続けた。
「……忍びとして生きてきた俺は、情報の裏を取るべきだと勧めた。だが親の仇を見つけたと歓喜したあの人は、愚かにも即日行動に移してしまったんだ……!」
拳を握るユーリに声をかけた。
「襲撃は褒められた行為じゃないね。……でもレスターは、法で裁けなかった悪人に天誅を食らわせたんでしょう?」
レスターは両親の仇を見事に取ったと思われた。しかしユーリは頭を振った。
「……違ったんだ」
「え?」
「仇は、キュアンじゃなかったんだ!!」
「!?」
話を聞いていた私達は数秒間金縛りに遭った。
「あの人がキュアンを殺した書斎に……書類が有ったそうだ。キュアンもまた、あの人の父親がハメられた事件の真相を追っていたんだよ。そこに記されていた首謀者の名前は、公爵家のエメリット・ゼファール」
またもマシューが目を大きくした。
「そんな……公爵家の人間まで犯罪に加担していたのか……?」
「キュアンはゼファールを告発するつもりだった。それに気づいたゼファールはアーク家の元執事を買収して、あの人へ偽の情報を流したんだ」
なんてこと。
「まんまと騙されて恩人を殺害してしまったあの人は数日間、狂ったように泣き喚いていたよ。その後にアンダー・ドラゴンへ入ってしまったんだ。ゼファールの暗殺、そして貴族制度を破壊する力を得る為にな」
「そんな……経緯が……」
レスター・アークは想像以上の壮絶な過去を持っていた。ユーリが私に話したがらなかった理由がよく解った。
レスター・アークは悪人だ。凶悪犯罪組織のトップに上り詰めたほどの。
それなのに、助けてあげたい、可哀想だと私は心の隅で思ってしまった。
「お」
マシューが顔を上げて訓練場の出入口方向を見たので私達も視線を向けると、攻撃力に特化した特攻野郎Cチームの面々が廊下を歩いていた。
「エドガー先輩、お疲れ様です!」
マシューが元気良く挨拶をしたのでCチームもこちらに気づいた。
「おおマシュー、受付嬢に先に戻っていると聞いたがここに居たのか」
Cチームも訓練場へ入ってきて私達の輪に加わった。当たり前のようにエリアスとアルクナイトが私を挟んで座った。魔王がその際キースをお尻で弾いたが、キースは文句を言わずに横へずれた。
「ふん白、今日はやけに素直じゃないか」
「まぁね。僕は同じチームでロックウィーナと長く過ごせるからここは譲ってあげるよ。心の余裕ってヤツで」
「ぬうぅ……! ムカつく」
二人のやり取りはもはやお馴染みの光景だったので、スルーしたエリアスが私へ微笑みかけた。
「ただいま、ロックウィーナ」
「お帰りなさい。お怪我が無いようで何よりです」
「気遣いありがとう。皆で円になって何をしていたんだ?」
「えっと……」
ユーリの方を窺うと彼が苦笑して代わりに答えた。
「今日の反省会だよ」
さっきまで話していたレスター・アークのことは言わなかった。
レスターの哀しい境遇を知ると同情心が生まれてしまう。戦いの最中に甘い考えは命取りだ。当面の間はBチームだけの秘密だな。
「なるほど。ロックウィーナ、Bチームの首尾はどうだった?」
「……ええと、四人のアンダー・ドラゴン構成員を見つけて無力化しました」
あの現場を思い出して唇の端が引き攣ってしまった。詳しく説明しなくてもいいよね? ギルドマスターには報告書を提出しなくちゃだけど。
「そうか」
エリアスも深く追及してこなかった。私の表情から死人が出たと察してくれたっぽい。
「こちらもミッションクリアだ。地図の印とアジトの場所が少しズレていたので、探すのに時間がかかってしまった」
冒険者や旅人から寄せられた情報を元に、アンダー・ドラゴンのアジトはたぶんこの辺だろうと当たりをつけた推測マップに過ぎないので、間違っている場合も当然有る。まだ戻らないAチームは無事にアジトへ辿り着けたかな?
「この国に来て傭兵を始めたら、先輩の立場のレスターがいろいろと面倒を見てくれた、話してくれたのはそれだけだよ。親切だったレスターがどうして、アンダー・ドラゴンなんて凶悪犯罪組織に入ってしまったの?」
「ああ……」
ユーリは自身の結んだ髪の先を指でいじった。
「あの人は、手っ取り早い復讐の手段が欲しかったんだよ。力を求めてアンダー・ドラゴンに入った」
マシューが質問した。
「復讐とは、彼の実家である伯爵家に関係している? 犯罪の片棒を担がされたんだよね?」
「そうだ。あの人の両親は仲間の貴族にハメられて領地と名誉を奪われた。そして自らの命を断ってしまったんだ」
ユーリは自分のことのように悔しさを顔に滲ませた。
「その時、国から断罪されたのはアーク家と男爵であるもう一家だけだった。しかし犯罪の規模から見て、他にも高位貴族が関与しているだろうと囁かれていたそうだ」
「囁かれただけで見つからなかったんだよね、その高位貴族は」
貴族のマシューが当時の状況を思い出していた。
「ああ。だから伯爵家の生き残りであるあの人は、傭兵稼業で日銭を稼ぎながら、首謀者の高位貴族が誰なのか探っていたんだ」
「見つかったの?」
「……ある日、アーク家の執事だった男からあの人へ連絡が入ったんだ。実は旦那様は生前、とある貴族から脅されていたようで随分悩んでいたと」
「その貴族とは……?」
「侯爵家のリドリー・キュアンだ」
マシューが目を見開いた。
「なっ……、侯爵は屋敷に侵入した強盗に襲撃されて命を落としたと聞いたが、まさかあの事件はレスター・アークが起こしたのか!?」
ユーリは頷いた。
「……キュアンはあの人の父親と親交が深く、傭兵に身を落としてしまったあの人のことも、何かと気にかけてくれていた恩人と呼べる人だった」
「そんな……恩人が仇だったの!?」
ユーリはつらそうに続けた。
「……忍びとして生きてきた俺は、情報の裏を取るべきだと勧めた。だが親の仇を見つけたと歓喜したあの人は、愚かにも即日行動に移してしまったんだ……!」
拳を握るユーリに声をかけた。
「襲撃は褒められた行為じゃないね。……でもレスターは、法で裁けなかった悪人に天誅を食らわせたんでしょう?」
レスターは両親の仇を見事に取ったと思われた。しかしユーリは頭を振った。
「……違ったんだ」
「え?」
「仇は、キュアンじゃなかったんだ!!」
「!?」
話を聞いていた私達は数秒間金縛りに遭った。
「あの人がキュアンを殺した書斎に……書類が有ったそうだ。キュアンもまた、あの人の父親がハメられた事件の真相を追っていたんだよ。そこに記されていた首謀者の名前は、公爵家のエメリット・ゼファール」
またもマシューが目を大きくした。
「そんな……公爵家の人間まで犯罪に加担していたのか……?」
「キュアンはゼファールを告発するつもりだった。それに気づいたゼファールはアーク家の元執事を買収して、あの人へ偽の情報を流したんだ」
なんてこと。
「まんまと騙されて恩人を殺害してしまったあの人は数日間、狂ったように泣き喚いていたよ。その後にアンダー・ドラゴンへ入ってしまったんだ。ゼファールの暗殺、そして貴族制度を破壊する力を得る為にな」
「そんな……経緯が……」
レスター・アークは想像以上の壮絶な過去を持っていた。ユーリが私に話したがらなかった理由がよく解った。
レスター・アークは悪人だ。凶悪犯罪組織のトップに上り詰めたほどの。
それなのに、助けてあげたい、可哀想だと私は心の隅で思ってしまった。
「お」
マシューが顔を上げて訓練場の出入口方向を見たので私達も視線を向けると、攻撃力に特化した特攻野郎Cチームの面々が廊下を歩いていた。
「エドガー先輩、お疲れ様です!」
マシューが元気良く挨拶をしたのでCチームもこちらに気づいた。
「おおマシュー、受付嬢に先に戻っていると聞いたがここに居たのか」
Cチームも訓練場へ入ってきて私達の輪に加わった。当たり前のようにエリアスとアルクナイトが私を挟んで座った。魔王がその際キースをお尻で弾いたが、キースは文句を言わずに横へずれた。
「ふん白、今日はやけに素直じゃないか」
「まぁね。僕は同じチームでロックウィーナと長く過ごせるからここは譲ってあげるよ。心の余裕ってヤツで」
「ぬうぅ……! ムカつく」
二人のやり取りはもはやお馴染みの光景だったので、スルーしたエリアスが私へ微笑みかけた。
「ただいま、ロックウィーナ」
「お帰りなさい。お怪我が無いようで何よりです」
「気遣いありがとう。皆で円になって何をしていたんだ?」
「えっと……」
ユーリの方を窺うと彼が苦笑して代わりに答えた。
「今日の反省会だよ」
さっきまで話していたレスター・アークのことは言わなかった。
レスターの哀しい境遇を知ると同情心が生まれてしまう。戦いの最中に甘い考えは命取りだ。当面の間はBチームだけの秘密だな。
「なるほど。ロックウィーナ、Bチームの首尾はどうだった?」
「……ええと、四人のアンダー・ドラゴン構成員を見つけて無力化しました」
あの現場を思い出して唇の端が引き攣ってしまった。詳しく説明しなくてもいいよね? ギルドマスターには報告書を提出しなくちゃだけど。
「そうか」
エリアスも深く追及してこなかった。私の表情から死人が出たと察してくれたっぽい。
「こちらもミッションクリアだ。地図の印とアジトの場所が少しズレていたので、探すのに時間がかかってしまった」
冒険者や旅人から寄せられた情報を元に、アンダー・ドラゴンのアジトはたぶんこの辺だろうと当たりをつけた推測マップに過ぎないので、間違っている場合も当然有る。まだ戻らないAチームは無事にアジトへ辿り着けたかな?
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