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新六幕 十日目の先へ(1)
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14時。私達は拠点であるフィースノーの街から二キロ離れた森の中に居た。望遠鏡の先に映し出される景色は、私にとっては二度目のものだった。
簡素な丸太小屋。そこに住んでいるのは林業を営む善良なオヤジではない。髭を生やしたスキンヘッド男、トンビのような鳥のタトゥーを首の後ろに入れた男、トゲトゲが付いた腕輪をはめた男。木こりには到底見えない終末男達は犯罪組織アンダー・ドラゴンの構成員であり、小屋は組織が所有するアジトの一つなのだ。
「小屋の前に居るのはチンピラ三人か」
やっぱり来ていたアルクナイトが、望遠鏡も使わず魔眼で遠視をした。
「ええ。でも小屋の中にもう一人居ます。そいつが火炎瓶を投げてくるので、皆さん注意して下さい」
私は一周目の記憶を思い出して注意喚起した。私達の行動によって未来は変わるが、まだアンダー・ドラゴンへ直接関与はしていない。ここのアジトに関しては、一周目と同じ構成員配置と見ていいだろう。
「あと少ししたら、本拠地とアジトを繋ぐ連絡係が現れるはずです」
「……未来で俺に剣をぶっ刺す相手ですよね?」
苦笑するマキアの目を、私は真っ直ぐ見てゆっくり言った。
「今度はそうならない。ここで本拠地の情報を持つ連絡係を捕らえてしまえば、私達の任務は無事に終わるのよ。明日別のアジトへ出向かなくても済む。首領やエンの兄弟子と戦う未来が消えるの。あなた達は絶対に死なせない」
その為に私は時間を逆行したのだ。
マキアの瞳も、決意を込めた強い眼差しへと変わった。
「そうですね。絶対に成功させましょう。ありがとうございます、ロックウィーナさん」
気合を入れて出動した二周目。道中では雑談をせず皆シリアスモードだった故に、私とマキア、エンの間には若干の距離感が有った。
「あのねマキア、エンもだけど、私に敬語は必要無いよ。一周目で二人と過ごした時間は短かったけど、他愛の無いお喋りをたくさんしてね、私達は友達になれたんだよ」
「え、そうだったんですか!?」
「うん。今回も私は友達になりたい。二人が良ければ」
「もちろんです! なぁ、エン?」
マキアは大きく、エンも微かに頷いた。ヤバイ、また泣きそう。
「………ん? ちょっと身なりの良い男が小屋へ近付いていきます。アレが連絡係でしょうか?」
見張りをしていたキースが私に望遠鏡を渡した。確認して私は断言した。
「そうです……! アイツに間違い有りません」
「よし、じゃあ行くぞ」
全員が立ち上がった。ルパートが場を仕切った。
「打ち合わせ通り、俺とエンが右手方向から斬り込む。左手にはエリアスさんとマキアが回り込む。挟み撃ちにするぞ」
「ああ」
身体を屈めてエリアスは、背中の大剣を鞘から引き抜いた。分厚い鋼が日光を反射していた。私にはそれが希望の輝きに見えた。
「キースさん、ウィー、魔王様はここで網を張っていてくれ。もしも俺達が取り逃がしたら、連絡係の捕獲は頼んだぞ」
小屋の前で左右から挟撃。脚の速い連絡係が逃走を図るとしたら、建物が無いこちらの方向へ走ってくるだろう。
「任せろチャラ男。だが全員に告ぐ。三下はどーでもいいが、くれぐれも連絡係は殺すなよ」
これこそが最重要事項だったりする。私達のパーティは戦力強化し過ぎた。士気もべらぼうに高い。調子に乗った誰かのうっかりで、サクッと連絡係が他界してしまうかもしれないのだ。
「俺様は全系統の魔法が使える頼れるナイスガイだが、攻撃に特化しているので回復魔法があまり得意ではないんだ。白も流石に死者の蘇生まではできないだろう?」
「無理ですねぇ。腕や脚の一本くらいなら飛んでも何とか治療できますが、首がもげたらお手上げです」
「そういうことだ。肝に銘じておけよ、斬っていいのは腕と脚まで。首ちょんぱは厳禁だ」
アンタらが怖いんですけど。
「首は斬らない……首は斬らない……」
エンがブツブツ繰り返し呟いている。えっ、自己暗示をかけないと駄目なくらい忍者は好戦的なの!?
「行くぞ!」
「おお!」
一抹の不安が心をよぎったが、戦士達は力強く駆けていった。どうか上手くいきますように。
「へっ?」
「な、何だぁ!?」
「ぎゃ、ぎゃああ殺される!!」
チンピラ1~3は突然現れた、一メートル五十センチの大剣を構えて猛スピードで走り寄る大男(勇者様)を見て悲鳴を上げた。その隙に逆方向から音もなく接近していたエンによって、何もできないまま急所に当て身を入れられて気絶した。
更にエンは「腕は斬ってもOK!」という恐ろしい文言を吐きながら、小屋から火炎瓶を持って出てきたチンピラその4に襲いかかった。
「ひ────っ!?」
チンピラその4は恐怖で後退し、小屋の壁に自身の頭を強く打ち付けて自滅した。意識を失った彼の手から火炎瓶が落ちたが、地面に当たる前にエンがキャッチした。
簡素な丸太小屋。そこに住んでいるのは林業を営む善良なオヤジではない。髭を生やしたスキンヘッド男、トンビのような鳥のタトゥーを首の後ろに入れた男、トゲトゲが付いた腕輪をはめた男。木こりには到底見えない終末男達は犯罪組織アンダー・ドラゴンの構成員であり、小屋は組織が所有するアジトの一つなのだ。
「小屋の前に居るのはチンピラ三人か」
やっぱり来ていたアルクナイトが、望遠鏡も使わず魔眼で遠視をした。
「ええ。でも小屋の中にもう一人居ます。そいつが火炎瓶を投げてくるので、皆さん注意して下さい」
私は一周目の記憶を思い出して注意喚起した。私達の行動によって未来は変わるが、まだアンダー・ドラゴンへ直接関与はしていない。ここのアジトに関しては、一周目と同じ構成員配置と見ていいだろう。
「あと少ししたら、本拠地とアジトを繋ぐ連絡係が現れるはずです」
「……未来で俺に剣をぶっ刺す相手ですよね?」
苦笑するマキアの目を、私は真っ直ぐ見てゆっくり言った。
「今度はそうならない。ここで本拠地の情報を持つ連絡係を捕らえてしまえば、私達の任務は無事に終わるのよ。明日別のアジトへ出向かなくても済む。首領やエンの兄弟子と戦う未来が消えるの。あなた達は絶対に死なせない」
その為に私は時間を逆行したのだ。
マキアの瞳も、決意を込めた強い眼差しへと変わった。
「そうですね。絶対に成功させましょう。ありがとうございます、ロックウィーナさん」
気合を入れて出動した二周目。道中では雑談をせず皆シリアスモードだった故に、私とマキア、エンの間には若干の距離感が有った。
「あのねマキア、エンもだけど、私に敬語は必要無いよ。一周目で二人と過ごした時間は短かったけど、他愛の無いお喋りをたくさんしてね、私達は友達になれたんだよ」
「え、そうだったんですか!?」
「うん。今回も私は友達になりたい。二人が良ければ」
「もちろんです! なぁ、エン?」
マキアは大きく、エンも微かに頷いた。ヤバイ、また泣きそう。
「………ん? ちょっと身なりの良い男が小屋へ近付いていきます。アレが連絡係でしょうか?」
見張りをしていたキースが私に望遠鏡を渡した。確認して私は断言した。
「そうです……! アイツに間違い有りません」
「よし、じゃあ行くぞ」
全員が立ち上がった。ルパートが場を仕切った。
「打ち合わせ通り、俺とエンが右手方向から斬り込む。左手にはエリアスさんとマキアが回り込む。挟み撃ちにするぞ」
「ああ」
身体を屈めてエリアスは、背中の大剣を鞘から引き抜いた。分厚い鋼が日光を反射していた。私にはそれが希望の輝きに見えた。
「キースさん、ウィー、魔王様はここで網を張っていてくれ。もしも俺達が取り逃がしたら、連絡係の捕獲は頼んだぞ」
小屋の前で左右から挟撃。脚の速い連絡係が逃走を図るとしたら、建物が無いこちらの方向へ走ってくるだろう。
「任せろチャラ男。だが全員に告ぐ。三下はどーでもいいが、くれぐれも連絡係は殺すなよ」
これこそが最重要事項だったりする。私達のパーティは戦力強化し過ぎた。士気もべらぼうに高い。調子に乗った誰かのうっかりで、サクッと連絡係が他界してしまうかもしれないのだ。
「俺様は全系統の魔法が使える頼れるナイスガイだが、攻撃に特化しているので回復魔法があまり得意ではないんだ。白も流石に死者の蘇生まではできないだろう?」
「無理ですねぇ。腕や脚の一本くらいなら飛んでも何とか治療できますが、首がもげたらお手上げです」
「そういうことだ。肝に銘じておけよ、斬っていいのは腕と脚まで。首ちょんぱは厳禁だ」
アンタらが怖いんですけど。
「首は斬らない……首は斬らない……」
エンがブツブツ繰り返し呟いている。えっ、自己暗示をかけないと駄目なくらい忍者は好戦的なの!?
「行くぞ!」
「おお!」
一抹の不安が心をよぎったが、戦士達は力強く駆けていった。どうか上手くいきますように。
「へっ?」
「な、何だぁ!?」
「ぎゃ、ぎゃああ殺される!!」
チンピラ1~3は突然現れた、一メートル五十センチの大剣を構えて猛スピードで走り寄る大男(勇者様)を見て悲鳴を上げた。その隙に逆方向から音もなく接近していたエンによって、何もできないまま急所に当て身を入れられて気絶した。
更にエンは「腕は斬ってもOK!」という恐ろしい文言を吐きながら、小屋から火炎瓶を持って出てきたチンピラその4に襲いかかった。
「ひ────っ!?」
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