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幕撤去 不穏な動きと輝ける聖騎士(2)
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「さて、ギルド職員は本拠地壊滅作戦に参加することが決まった訳だが……」
何事も無かったかのようにマスターが話を進めた。
「エリアスさん、魔王様、お二人はどうされます?」
「当然参加する」
「聞くまでも無いな」
「……宜しいので?」
「国中で犯罪を行っているアンドラは、ディーザ地方を統治する父にとっても敵。私が討伐隊に参加しても問題は無い」
「俺は何かと無茶をする未来の妻を護らなければならないんでな。そこが可愛いのだが」
さらっと魔王が気恥ずかしいことを言った。
「お二人に助力して頂けるのは願ってもないことです」
「うむ。せいぜい感謝しろ」
しかしルパートが難しい顔をして水を差した。
「協力はありがたいが、魔王様って騎士団にとっては宿敵だからな……。隊に紛れてるってバレたら騎士団に混乱が起きるぞ。正体隠した方が良くないか?」
「その通りだな。尋ねられた時の為にアル、適当な仮の身分を決めておこう。貴族を名乗るとすぐに噓が露見するだろうから、一般人の振りをした方がいい」
「ふふ。魔王の下男Aとしておまえと友達になったことを思い出すな」
「下男A?」
「……アルは最初、魔王であることを隠して私と親しくなったんだよ」
へえ下男か。いつも偉そうなのに意外な役どころを演じたんだな。召使いの振りができるのなら、一般人の振りも容易くできるだろう。
「俺はエリーの冒険者仲間で、美形の天才魔術師アルということにしておこう。腕の高さを買われて、時々冒険者ギルドに協力している庶民の美形術師だ。覚えたか?」
「自分で美形と言うかおまえ……。ま、妥当な設定だな。外では魔王やアルクナイトの名前は口にしないように。アルで統一だ。皆いいか?」
「はい」
「貴族ではなく庶民という設定なので、特別に敬称無しで呼び捨てにすることを許可してやろう。光栄に思え、下民ども」
その傲慢な態度を正さないとすぐバレるからね?
「うん。身分を隠すのは良いことだと思います。ここに魔王様が居ると知れたら、ギルドがソルとか言う人に襲われてしまいますから」
キースの意見にみんなハッとした。そうだ、その問題も有ったんだ!
昨日は回避できたけど、ソルの口振りだとアルクナイトの命を狙うことを諦めてはいないようだった。またいつか彼と戦う時が来るのだろう。
問題、てんこ盛りだよ~。
「気をつけて」と忠告してくれた少女は、アンダー・ドラゴンやソルのことを懸念していたのかな? 神の加護を無くした私、生き延びられるんだろうか……。
☆☆☆
会議終了後、私達は冒険者ギルドのエントランスホールへ移動した。国王陛下からの命令書が届くまでは通常業務をこなすのだ。
受け付けカウンターの中で、マスターがさっそく本日の出動に関する資料を渡してきた。あれ? 私とルパート、違う地図のようだけど。
「マキアとエンには行方不明者の捜索で、セダン峡谷へ出動してもらう。ルパート、サポート役として彼らに同行しろ」
「ん? ウィーは?」
「ウィーはキースと一緒に、ラフターの森へ冒険者の忘れ物を回収しに向かってもらう」
セダン峡谷もラフターの森もCランクフィールドだ。難易度としては当然、行方不明者捜索の方が高い。そっか、だからルパートはあちらへ参加なのか。
「何でだよ!」
私は納得したのにルパートがマスターへ噛み付いた。
「俺のバディはウィーだ。何で離れて出動なんだよ!」
「おめーは出動班のリーダーだろうが。フィースノーに移籍したばっかりで、右も左も判らねー新人の面倒を見るのも役目の内なんだよ」
「チッ……」
上司に舌打ちをかました無礼なルパートは私へ向き直った。
「ウィー、油断しなければおまえの実力で充分やれるフィールドだ。無事に戻れよ」
「は、はい」
「よし、マキアとエン、出動準備だ」
ルパートはもう気持ちを切り替えていた。こういうところはデキる男なんだと思う。
「私はロックウィーナとキース殿の手伝いをしよう」
優美な笑みで付いてこようとしたエリアスを、ギルドマスターが焦った様子で止めた。
「通常業務へのご参加は駄目ですっ。現在街で、あなたに関するスキャンダラスな噂が出回っているようなので……」
「そうなのか? 私の噂?」
「そーなんですよぉ」
受付嬢のリリアナが割り込んできて説明をした。
「噂の出所は、あなたにフラれた女冒険者達らしいですよぉ。彼女達が何度誘っても相手にしないのに、ギルドの仕事にはホイホイ協力してくれるでしょう? エリアスさんはゲイで、ギルド職員の誰かとデキてるんじゃないかってもっぱらの噂なんですぅ」
「なんと。どうしてゲイになる!? そこはせめて女職員を狙っているとしてくれ! 私はロックウィーナにプロポーズまでしたのに!! ……くっ、人の少ない朝一にしなければ良かった」
「ですからぁ、噂を流したのは女冒険者達だって言ったじゃないですかぁ。あなたがゲイだってことになれば、彼女達は自分がフラれたプライドを回復できるんですよぉ」
私は件の女達にカチンときた。
「それって酷くない? フラれた腹いせに噓を流すなんて」
「ああロックウィーナ、私の気持ちを解ってくれるのはキミだけだ……痛っ」
私の手を握ろうとしたエリアスは、キースが張った障壁に指先を弾かれた。アルクナイトみたいに自動で展開するバリアではないけれど、その代わりにキースの障壁は意識したもの全てを弾ける仕様らしい。
何事も無かったかのようにマスターが話を進めた。
「エリアスさん、魔王様、お二人はどうされます?」
「当然参加する」
「聞くまでも無いな」
「……宜しいので?」
「国中で犯罪を行っているアンドラは、ディーザ地方を統治する父にとっても敵。私が討伐隊に参加しても問題は無い」
「俺は何かと無茶をする未来の妻を護らなければならないんでな。そこが可愛いのだが」
さらっと魔王が気恥ずかしいことを言った。
「お二人に助力して頂けるのは願ってもないことです」
「うむ。せいぜい感謝しろ」
しかしルパートが難しい顔をして水を差した。
「協力はありがたいが、魔王様って騎士団にとっては宿敵だからな……。隊に紛れてるってバレたら騎士団に混乱が起きるぞ。正体隠した方が良くないか?」
「その通りだな。尋ねられた時の為にアル、適当な仮の身分を決めておこう。貴族を名乗るとすぐに噓が露見するだろうから、一般人の振りをした方がいい」
「ふふ。魔王の下男Aとしておまえと友達になったことを思い出すな」
「下男A?」
「……アルは最初、魔王であることを隠して私と親しくなったんだよ」
へえ下男か。いつも偉そうなのに意外な役どころを演じたんだな。召使いの振りができるのなら、一般人の振りも容易くできるだろう。
「俺はエリーの冒険者仲間で、美形の天才魔術師アルということにしておこう。腕の高さを買われて、時々冒険者ギルドに協力している庶民の美形術師だ。覚えたか?」
「自分で美形と言うかおまえ……。ま、妥当な設定だな。外では魔王やアルクナイトの名前は口にしないように。アルで統一だ。皆いいか?」
「はい」
「貴族ではなく庶民という設定なので、特別に敬称無しで呼び捨てにすることを許可してやろう。光栄に思え、下民ども」
その傲慢な態度を正さないとすぐバレるからね?
「うん。身分を隠すのは良いことだと思います。ここに魔王様が居ると知れたら、ギルドがソルとか言う人に襲われてしまいますから」
キースの意見にみんなハッとした。そうだ、その問題も有ったんだ!
昨日は回避できたけど、ソルの口振りだとアルクナイトの命を狙うことを諦めてはいないようだった。またいつか彼と戦う時が来るのだろう。
問題、てんこ盛りだよ~。
「気をつけて」と忠告してくれた少女は、アンダー・ドラゴンやソルのことを懸念していたのかな? 神の加護を無くした私、生き延びられるんだろうか……。
☆☆☆
会議終了後、私達は冒険者ギルドのエントランスホールへ移動した。国王陛下からの命令書が届くまでは通常業務をこなすのだ。
受け付けカウンターの中で、マスターがさっそく本日の出動に関する資料を渡してきた。あれ? 私とルパート、違う地図のようだけど。
「マキアとエンには行方不明者の捜索で、セダン峡谷へ出動してもらう。ルパート、サポート役として彼らに同行しろ」
「ん? ウィーは?」
「ウィーはキースと一緒に、ラフターの森へ冒険者の忘れ物を回収しに向かってもらう」
セダン峡谷もラフターの森もCランクフィールドだ。難易度としては当然、行方不明者捜索の方が高い。そっか、だからルパートはあちらへ参加なのか。
「何でだよ!」
私は納得したのにルパートがマスターへ噛み付いた。
「俺のバディはウィーだ。何で離れて出動なんだよ!」
「おめーは出動班のリーダーだろうが。フィースノーに移籍したばっかりで、右も左も判らねー新人の面倒を見るのも役目の内なんだよ」
「チッ……」
上司に舌打ちをかました無礼なルパートは私へ向き直った。
「ウィー、油断しなければおまえの実力で充分やれるフィールドだ。無事に戻れよ」
「は、はい」
「よし、マキアとエン、出動準備だ」
ルパートはもう気持ちを切り替えていた。こういうところはデキる男なんだと思う。
「私はロックウィーナとキース殿の手伝いをしよう」
優美な笑みで付いてこようとしたエリアスを、ギルドマスターが焦った様子で止めた。
「通常業務へのご参加は駄目ですっ。現在街で、あなたに関するスキャンダラスな噂が出回っているようなので……」
「そうなのか? 私の噂?」
「そーなんですよぉ」
受付嬢のリリアナが割り込んできて説明をした。
「噂の出所は、あなたにフラれた女冒険者達らしいですよぉ。彼女達が何度誘っても相手にしないのに、ギルドの仕事にはホイホイ協力してくれるでしょう? エリアスさんはゲイで、ギルド職員の誰かとデキてるんじゃないかってもっぱらの噂なんですぅ」
「なんと。どうしてゲイになる!? そこはせめて女職員を狙っているとしてくれ! 私はロックウィーナにプロポーズまでしたのに!! ……くっ、人の少ない朝一にしなければ良かった」
「ですからぁ、噂を流したのは女冒険者達だって言ったじゃないですかぁ。あなたがゲイだってことになれば、彼女達は自分がフラれたプライドを回復できるんですよぉ」
私は件の女達にカチンときた。
「それって酷くない? フラれた腹いせに噓を流すなんて」
「ああロックウィーナ、私の気持ちを解ってくれるのはキミだけだ……痛っ」
私の手を握ろうとしたエリアスは、キースが張った障壁に指先を弾かれた。アルクナイトみたいに自動で展開するバリアではないけれど、その代わりにキースの障壁は意識したもの全てを弾ける仕様らしい。
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