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野郎達の挽歌 ~ロックウィーナ目線~(2)
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「……本当に、誠実なコだよねキミは。だから好きになったんだけどね」
キースは優美な笑みを崩さなかった。
「ロックウィーナはさ、結婚願望が有るんだよね? 恋人になる相手とは、結婚を前提にお付き合いをしたいと考えてるんじゃないの?」
「は、はい……。もういい歳ですし」
改めて言われると照れるな。
「なら迷うのは当然だろう? 一生の問題なんだから」
「………………」
「いいんだよ、相手を選ぶことに時間をかけても。嫌がる男は自分から離れていくよ。だからキミが気に病むことも、諦めることもないんだ」
いつもの私を安心させてくれるキースの語りだ。違うのは、熱が込められているという点。
「ゆっくりと僕を知ってくれロックウィーナ。兄ではなく、男としての僕を」
わあぁぁぁぁ。兄的存在だったキースが上書きされていく。男へと。
またもや意識が飛びそうになった私を現実へ引き戻したのは、無粋なノックの音だった。
「どなたです?」
口説きモードを邪魔されたキースが不機嫌そうに応じた。
「あ、マキアです。エンも居ます。キースさんとあまりお喋りできていないので、この機会に親睦を深めたいな~なんて」
「間に合ってます」
取り付く島も無くキースはマキアとエンの来訪を断った。しかし今度は強めに扉が叩かれた。
舌打ちをしてキースは扉の前に立った。前髪を搔き上げて。
あ、ヤバイ。私が止める間も無く、扉を開けたキースはマキアとエンの二人を見つめた。倒れて廊下を転がる音。若い二人は魅了の洗礼を受けたのだ。
二人を沈めたキースは前髪を戻して私の隣に座り直した。
「はい、邪魔者は片付けたから話の続きをしようか」
そしてフフッと笑った。
「それにしても……みんないいヤツらだよね」
「はい?」
「いやさ、普通は魅了にかかった人間はみんな、僕を押し倒して本懐を遂げようとするんだよ」
「………………」
「でも……キミもだけどさ、エリアスさんもルパートもアルも若い二人も、自分の欲求を抑え込もうと必死に悶えて戦ってくれる」
「そりゃ嫌がるキース先輩に、強引にえっちなことはしたくないですもん」
「えっちって……」
あぎゃー。またストレートに言葉にしちゃったぁ!
「ぷふっ……。だからさ、みんないいヤツだなって」
キースは本当に嬉しそうだった。そんな彼を見て、私も何だか嬉しくなってしまった。
「みんなキース先輩が好きなんですよ。だから私みたいに、魅了に負けない第一号になろうとしているんです」
「………………」
キースの口元からずっと形成していた笑みが消えた。
「今の、反則……」
だが今日一番に熱が込められていた。
「ロックウィーナ……」
…………あれ、キースの顔が近いような。あれあれあれ? もうすぐ鼻と鼻が触れそうな距離まで彼の顔が接近してきた。
トントントントン!
その時、早いリズムで扉が再び叩かれた。ノックしているのはたぶんせっかちな性分の人物だ。
「……鬱陶しいな、いいところで」
忌々し気に小さく呟いたキースは完全に男だった。彼はまた前髪を搔き上げて来訪者を撃退しに扉へ向かった。
そこに居たのは、セクシーポーズで身体をくねらせたアルクナイトだった。
は? 何してんの阿保魔王と私は呆気に取られた。おそらくはキースも。その隙を突いて(?)アルクナイトが叫んだ。
「我を求めよ!」
何だかピンク色の風が吹いた気がした。飛び交うハートマークも見えた気がした。
頭を振って幻覚を祓っていると、「あぐっ」と声を漏らしてキースがへたり込んだ。え、どうしたのと私がイスから立ち上がると、アルクナイトが後方へ吹っ飛んでいった。廊下の壁に当たったのか大きな音がした。
「???」
訳が解らなくて私は立ち尽くした。
扉が開けっ放しの部屋の入り口に、エリアスとルパートがヒョイと顔を出したので、彼らに状況を説明してもらおうと思った。しかし彼らも揃って壁へ吹っ飛んだ。
「ちょっとみんな大丈夫? 何してんの!? キース先輩?」
「駄目だロックウィーナ! 今の僕に触れるな!!」
肩に触れようとした私をキースが制止した。すっごい切ない声で。
「あ、あの……」
「今は説明……する余裕が無い。へ、部屋に戻っているんだ……。くうぅっ!」
「先輩!?」
「ハ……ハァッハァッ。夕食時に……食堂で会おう。早く行け!」
息が荒いキースに急かされて、私は自分の部屋へ戻った。男達が転がる廊下は地獄絵図のようだった。
キースは優美な笑みを崩さなかった。
「ロックウィーナはさ、結婚願望が有るんだよね? 恋人になる相手とは、結婚を前提にお付き合いをしたいと考えてるんじゃないの?」
「は、はい……。もういい歳ですし」
改めて言われると照れるな。
「なら迷うのは当然だろう? 一生の問題なんだから」
「………………」
「いいんだよ、相手を選ぶことに時間をかけても。嫌がる男は自分から離れていくよ。だからキミが気に病むことも、諦めることもないんだ」
いつもの私を安心させてくれるキースの語りだ。違うのは、熱が込められているという点。
「ゆっくりと僕を知ってくれロックウィーナ。兄ではなく、男としての僕を」
わあぁぁぁぁ。兄的存在だったキースが上書きされていく。男へと。
またもや意識が飛びそうになった私を現実へ引き戻したのは、無粋なノックの音だった。
「どなたです?」
口説きモードを邪魔されたキースが不機嫌そうに応じた。
「あ、マキアです。エンも居ます。キースさんとあまりお喋りできていないので、この機会に親睦を深めたいな~なんて」
「間に合ってます」
取り付く島も無くキースはマキアとエンの来訪を断った。しかし今度は強めに扉が叩かれた。
舌打ちをしてキースは扉の前に立った。前髪を搔き上げて。
あ、ヤバイ。私が止める間も無く、扉を開けたキースはマキアとエンの二人を見つめた。倒れて廊下を転がる音。若い二人は魅了の洗礼を受けたのだ。
二人を沈めたキースは前髪を戻して私の隣に座り直した。
「はい、邪魔者は片付けたから話の続きをしようか」
そしてフフッと笑った。
「それにしても……みんないいヤツらだよね」
「はい?」
「いやさ、普通は魅了にかかった人間はみんな、僕を押し倒して本懐を遂げようとするんだよ」
「………………」
「でも……キミもだけどさ、エリアスさんもルパートもアルも若い二人も、自分の欲求を抑え込もうと必死に悶えて戦ってくれる」
「そりゃ嫌がるキース先輩に、強引にえっちなことはしたくないですもん」
「えっちって……」
あぎゃー。またストレートに言葉にしちゃったぁ!
「ぷふっ……。だからさ、みんないいヤツだなって」
キースは本当に嬉しそうだった。そんな彼を見て、私も何だか嬉しくなってしまった。
「みんなキース先輩が好きなんですよ。だから私みたいに、魅了に負けない第一号になろうとしているんです」
「………………」
キースの口元からずっと形成していた笑みが消えた。
「今の、反則……」
だが今日一番に熱が込められていた。
「ロックウィーナ……」
…………あれ、キースの顔が近いような。あれあれあれ? もうすぐ鼻と鼻が触れそうな距離まで彼の顔が接近してきた。
トントントントン!
その時、早いリズムで扉が再び叩かれた。ノックしているのはたぶんせっかちな性分の人物だ。
「……鬱陶しいな、いいところで」
忌々し気に小さく呟いたキースは完全に男だった。彼はまた前髪を搔き上げて来訪者を撃退しに扉へ向かった。
そこに居たのは、セクシーポーズで身体をくねらせたアルクナイトだった。
は? 何してんの阿保魔王と私は呆気に取られた。おそらくはキースも。その隙を突いて(?)アルクナイトが叫んだ。
「我を求めよ!」
何だかピンク色の風が吹いた気がした。飛び交うハートマークも見えた気がした。
頭を振って幻覚を祓っていると、「あぐっ」と声を漏らしてキースがへたり込んだ。え、どうしたのと私がイスから立ち上がると、アルクナイトが後方へ吹っ飛んでいった。廊下の壁に当たったのか大きな音がした。
「???」
訳が解らなくて私は立ち尽くした。
扉が開けっ放しの部屋の入り口に、エリアスとルパートがヒョイと顔を出したので、彼らに状況を説明してもらおうと思った。しかし彼らも揃って壁へ吹っ飛んだ。
「ちょっとみんな大丈夫? 何してんの!? キース先輩?」
「駄目だロックウィーナ! 今の僕に触れるな!!」
肩に触れようとした私をキースが制止した。すっごい切ない声で。
「あ、あの……」
「今は説明……する余裕が無い。へ、部屋に戻っているんだ……。くうぅっ!」
「先輩!?」
「ハ……ハァッハァッ。夕食時に……食堂で会おう。早く行け!」
息が荒いキースに急かされて、私は自分の部屋へ戻った。男達が転がる廊下は地獄絵図のようだった。
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