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第七師団と合流(3)
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「でも馬車六人乗りですよ?」
既に五人乗っている。ここに二人加わると定員オーバーだ。車輪が痛むまではいかないだろうが、狭い空間にすし詰め状態になるのは勘弁願いたい。
「おまえがあちらへ移れワンコ」
「えっ、普通に嫌です」
「じゃあ詰めろ」
「いやギュウギュウになりますし」
「今すぐ瘦せろ」
「無茶言わないで下さい」
押し問答をするアルクナイトとマキア。エンが余計な提案をした。
「アルがまた少年の姿に変身すればいいのでは? 成人男の時よりもだいぶ嵩が減るでしょうから」
「ナイスな意見だ忍者。子供になって小娘のお膝の上に乗るとしよう」
「何言ってんのアンタ」
本当にやりそうなので私は焦ったが、ちょうど戻ってきたルパートとエリアスが止めてくれた。
「ロックウィーナを困らせることをするな馬鹿。少し目を離すとこれだ」
「何だ、やけに早かったんだなエリーにチャラ男」
「ルービック殿が話の早い方だったんでな」
「俺達ギルド班は、師団長の乗る馬車のすぐ後ろに付けることになったよ」
これにはみんな驚いた。
「師団長の後ろとは……破格の待遇ですね」
「俺達VIP扱いじゃん、レンフォード!!」
「流石はモルガナン家ですな」
モルガナンの名の恩恵というのはもちろん有るだろう。だけどルパートのおかげでもあるんじゃないかな。ルービック団長は聖騎士時代のルパートを目にかけていたようだし。
ルパートは御者に指示を出した後、アルクナイトとキースを振り返った。
「ほい、じゃあ俺達は向こうの馬車に戻りましょうや」
「いや、俺はここで小娘のお膝の上に乗らないといけないんで」
「私の剣の錆になりたくなかったら大人しく戻れ」
「それではロックウィーナ、皆さん、お邪魔しました」
嵐のような四名は去って行った。
「あはは、フィースノー支部の人達は話しやすくていいよね! みんなロックウィーナのことが好きなんだね」
明るく表現してくれたけど、内心マキア呆れてないかい? 私はフォローした。
「あの……、今は私を取り巻いて変な感じになっているけど、ルパート先輩もキース先輩もやる時はキッチリやる人達だから。助っ人のエリアスさんやアルも」
「それは解っている。昨日一緒に出動したが、ルパートさんの指示は的確だった」
エンが話に乗り、マキアもうんうん頷いた。
「キース先輩も、アルを助けに行った時に防御障壁で活躍したよな! あの障壁が無かったらとても俺なんか、魔物の軍勢を中央突破できなかったからね」
「エリアスさんとアルの強さは言うまでもないな。あの域に達するまでに相当の鍛錬を積んだのだろう」
「そう、そうなのよ! みんな本当は凄い人達なの! 普段馬鹿やってるけれども!!」
マキアが私を見て笑った。
「ロックウィーナも、あの人達のことが好きなんだね」
「えっ……?」
「だって褒められたのはあの人達なのに、自分のことのように喜んでるよ?」
「………………」
うん。みんな好きだ。ちょっと困った所も癖も有るけれど、みんな根は優しくて強い人達だ。私は彼らが大好きなんだ。
だから困る。迷う。
告白してくれたのが一人だけだったのなら、迷わずその人にOKを出していただろう。それがまさか四人もの相手に求婚されるとは。
黙り込んだ私の顔を、対面に座るマキアが覗き込んだ。
「ごめん、何か困らせること俺言っちゃった?」
「あ、ううん、違うの」
マキアのせいじゃない。悪いのはハッキリしない私だ。キースはゆっくり考えて答えを出していいと言ってくれたけど……。
「ロックウィーナ?」
下を向いた私の顔を更に覗き込もうと、マキアが身を乗り出した。その彼の胸にエンの水平チョップが入った。
「いてっ! 何だよエン!」
「近い」
「へっ……?」
「ロックウィーナに近付き過ぎだ。彼女はおまえの弟妹じゃない」
「解ってるよ、そんなこと」
「解ってない。おまえの距離感は変だ。それで何度も周りの女を誤解させて、向こうから告白されて断り切れずに付き合い、結局上手くいかずに別れるを繰り返しているだろう?」
「わっ、馬鹿! そんなコトここで暴露すんな!!」
一気に顔を赤くしたマキアが抗議したが、エンは静かに言い放った。
「いい加減、学べ」
「~~~~~~!」
言い返せなかったマキアは唇をキュッと結んだ。
エンは何故か私に視線を合わせて言った。
「コイツは恋の話題が大好きなクセに、誰かに本気で恋をしたことが無いんだ」
ええっ!? それは意外だった。マキアは恋に恋をするタイプだったの?
「…………うるせーよ」
マキアは不貞腐れた表情になって、そっぽを向いてしまった。
ガタン。
ちょうど出発の時間となったようで、私達が乗る馬車が動き出した。
アンダー・ドラゴンの本拠地とされる場所まで片道三日かかると聞いた。長旅だ。だというのにムードメーカーのマキアが黙ってしまったよ。馬車の中がとても気まずい空気だよ。原因となったエンは素知らぬ顔で読書を始めた。コラ。
このまま重い雰囲気が続くのかなと心配し始めた頃、隣に座るリリアナがタイミング良く話題を振ってくれた。
「お姉様はよく旅をなさるんですかぁ?」
天の助け。流石は客の要望を叶える商人さん。私は全力で乗ることにした。
「ううん。ギルドの出動で近場のフィールドへはちょくちょく出かけるけど、半日以内に戻ってきているから旅と呼べるものではないね。故郷の村からフィースノーへ出てきた時も一日かからなかったし」
「エザリの村のご出身なんですよね?」
あれ私、村の名前まで彼に伝えてたっけ? ああファイリングされた私の履歴書を見たのか。
ちまみにエザリは簡単な地図なら省かれてしまうくらい、小さくて地味な故郷だ。
「どんな所なんですかぁ?」
「のどかな村だよ。羊の数が人間より五倍も多いんだ。だから女の私が羊飼いになったのも珍しいことじゃないんだよ」
「えっ、ロックウィーナは羊飼いだったの?」
沈んでいたマキアが食いついてきた。良い傾向だ。
「そう。18歳でギルドへ来る前は羊飼い。羊を襲う狼を追い払えるように、鞭の習得は必須だったんだ」
「徒手空拳も故郷で身に付けたのか? アンタはなかなかの使い手だ」
本のページをめくりながらエンも混ざってきた。
「素手での格闘技はギルドへ来てから習ったんだよ。マスターとルパート先輩に」
「たった七年であの域に到達したのか。大したものだ」
「うん……。連絡係を拳でボコボコにしたロックウィーナは強かったね……」
「ほぉ、それはわたくしも直に拝見したかったです」
よしよし。暗い空気が取っ払われた。
既に五人乗っている。ここに二人加わると定員オーバーだ。車輪が痛むまではいかないだろうが、狭い空間にすし詰め状態になるのは勘弁願いたい。
「おまえがあちらへ移れワンコ」
「えっ、普通に嫌です」
「じゃあ詰めろ」
「いやギュウギュウになりますし」
「今すぐ瘦せろ」
「無茶言わないで下さい」
押し問答をするアルクナイトとマキア。エンが余計な提案をした。
「アルがまた少年の姿に変身すればいいのでは? 成人男の時よりもだいぶ嵩が減るでしょうから」
「ナイスな意見だ忍者。子供になって小娘のお膝の上に乗るとしよう」
「何言ってんのアンタ」
本当にやりそうなので私は焦ったが、ちょうど戻ってきたルパートとエリアスが止めてくれた。
「ロックウィーナを困らせることをするな馬鹿。少し目を離すとこれだ」
「何だ、やけに早かったんだなエリーにチャラ男」
「ルービック殿が話の早い方だったんでな」
「俺達ギルド班は、師団長の乗る馬車のすぐ後ろに付けることになったよ」
これにはみんな驚いた。
「師団長の後ろとは……破格の待遇ですね」
「俺達VIP扱いじゃん、レンフォード!!」
「流石はモルガナン家ですな」
モルガナンの名の恩恵というのはもちろん有るだろう。だけどルパートのおかげでもあるんじゃないかな。ルービック団長は聖騎士時代のルパートを目にかけていたようだし。
ルパートは御者に指示を出した後、アルクナイトとキースを振り返った。
「ほい、じゃあ俺達は向こうの馬車に戻りましょうや」
「いや、俺はここで小娘のお膝の上に乗らないといけないんで」
「私の剣の錆になりたくなかったら大人しく戻れ」
「それではロックウィーナ、皆さん、お邪魔しました」
嵐のような四名は去って行った。
「あはは、フィースノー支部の人達は話しやすくていいよね! みんなロックウィーナのことが好きなんだね」
明るく表現してくれたけど、内心マキア呆れてないかい? 私はフォローした。
「あの……、今は私を取り巻いて変な感じになっているけど、ルパート先輩もキース先輩もやる時はキッチリやる人達だから。助っ人のエリアスさんやアルも」
「それは解っている。昨日一緒に出動したが、ルパートさんの指示は的確だった」
エンが話に乗り、マキアもうんうん頷いた。
「キース先輩も、アルを助けに行った時に防御障壁で活躍したよな! あの障壁が無かったらとても俺なんか、魔物の軍勢を中央突破できなかったからね」
「エリアスさんとアルの強さは言うまでもないな。あの域に達するまでに相当の鍛錬を積んだのだろう」
「そう、そうなのよ! みんな本当は凄い人達なの! 普段馬鹿やってるけれども!!」
マキアが私を見て笑った。
「ロックウィーナも、あの人達のことが好きなんだね」
「えっ……?」
「だって褒められたのはあの人達なのに、自分のことのように喜んでるよ?」
「………………」
うん。みんな好きだ。ちょっと困った所も癖も有るけれど、みんな根は優しくて強い人達だ。私は彼らが大好きなんだ。
だから困る。迷う。
告白してくれたのが一人だけだったのなら、迷わずその人にOKを出していただろう。それがまさか四人もの相手に求婚されるとは。
黙り込んだ私の顔を、対面に座るマキアが覗き込んだ。
「ごめん、何か困らせること俺言っちゃった?」
「あ、ううん、違うの」
マキアのせいじゃない。悪いのはハッキリしない私だ。キースはゆっくり考えて答えを出していいと言ってくれたけど……。
「ロックウィーナ?」
下を向いた私の顔を更に覗き込もうと、マキアが身を乗り出した。その彼の胸にエンの水平チョップが入った。
「いてっ! 何だよエン!」
「近い」
「へっ……?」
「ロックウィーナに近付き過ぎだ。彼女はおまえの弟妹じゃない」
「解ってるよ、そんなこと」
「解ってない。おまえの距離感は変だ。それで何度も周りの女を誤解させて、向こうから告白されて断り切れずに付き合い、結局上手くいかずに別れるを繰り返しているだろう?」
「わっ、馬鹿! そんなコトここで暴露すんな!!」
一気に顔を赤くしたマキアが抗議したが、エンは静かに言い放った。
「いい加減、学べ」
「~~~~~~!」
言い返せなかったマキアは唇をキュッと結んだ。
エンは何故か私に視線を合わせて言った。
「コイツは恋の話題が大好きなクセに、誰かに本気で恋をしたことが無いんだ」
ええっ!? それは意外だった。マキアは恋に恋をするタイプだったの?
「…………うるせーよ」
マキアは不貞腐れた表情になって、そっぽを向いてしまった。
ガタン。
ちょうど出発の時間となったようで、私達が乗る馬車が動き出した。
アンダー・ドラゴンの本拠地とされる場所まで片道三日かかると聞いた。長旅だ。だというのにムードメーカーのマキアが黙ってしまったよ。馬車の中がとても気まずい空気だよ。原因となったエンは素知らぬ顔で読書を始めた。コラ。
このまま重い雰囲気が続くのかなと心配し始めた頃、隣に座るリリアナがタイミング良く話題を振ってくれた。
「お姉様はよく旅をなさるんですかぁ?」
天の助け。流石は客の要望を叶える商人さん。私は全力で乗ることにした。
「ううん。ギルドの出動で近場のフィールドへはちょくちょく出かけるけど、半日以内に戻ってきているから旅と呼べるものではないね。故郷の村からフィースノーへ出てきた時も一日かからなかったし」
「エザリの村のご出身なんですよね?」
あれ私、村の名前まで彼に伝えてたっけ? ああファイリングされた私の履歴書を見たのか。
ちまみにエザリは簡単な地図なら省かれてしまうくらい、小さくて地味な故郷だ。
「どんな所なんですかぁ?」
「のどかな村だよ。羊の数が人間より五倍も多いんだ。だから女の私が羊飼いになったのも珍しいことじゃないんだよ」
「えっ、ロックウィーナは羊飼いだったの?」
沈んでいたマキアが食いついてきた。良い傾向だ。
「そう。18歳でギルドへ来る前は羊飼い。羊を襲う狼を追い払えるように、鞭の習得は必須だったんだ」
「徒手空拳も故郷で身に付けたのか? アンタはなかなかの使い手だ」
本のページをめくりながらエンも混ざってきた。
「素手での格闘技はギルドへ来てから習ったんだよ。マスターとルパート先輩に」
「たった七年であの域に到達したのか。大したものだ」
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